【出典】産経新聞「かつての『権利証』、今は『登記識別情報』に変わりました いずれも管理には気を付けて」(2026年5月25日)
不動産を所有している方であれば、一度は「権利証」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし現在、新たに不動産を取得した場合に交付されるのは「権利証」ではありません。2005年の不動産登記法改正により、現在は「登記識別情報」という制度に変わっています。
名前が変わっただけと思われがちですが、不動産所有者にとっては非常に重要な情報です。
権利証と登記識別情報の違いとは
かつての権利証(登記済証)は、法務局が発行する紙の証明書でした。
一方、現在の登記識別情報は、12桁の英数字による符号で管理されています。
形は変わりましたが、本質は同じです。
「この不動産の正当な所有者であることを証明するための重要な情報」です。
そのため、売却や住宅ローンの設定など、不動産に関する重要な手続きの際に必要となります。
不動産鑑定士の視点① 実は「土地や建物そのもの」より大切な場合もある
不動産の価値というと、多くの方は土地や建物を思い浮かべます。
しかし実務では、権利関係が整理されていることも同じくらい重要です。
どれほど価値の高い土地でも、
- 所有者が確認できない
- 相続が未整理
- 登記関係が複雑
という状態では売却や融資が難しくなります。
不動産の価値は「土地」だけでなく、権利が明確であることによって支えられています。
紛失したら再発行できない
登記識別情報で最も注意したいのはここです。
紛失しても再発行はできません。
これは権利証の時代から変わりません。
もし紛失してしまった場合は、
- 司法書士による本人確認情報制度
- 法務局の事前通知制度
- 公証人による認証制度
などを利用して手続きを進めることになります。
ただし、手続きが複雑になり、時間や費用がかかるケースもあります。
不動産鑑定士の視点② 高齢化社会で増える「どこに保管したか分からない」問題
近年、不動産相談の現場では、
「親が亡くなったが権利証が見つからない」
「登記識別情報をどこに保管したか分からない」
という相談が増えています。
相続が発生した後に探し始めるケースも少なくありません。
特に高齢化が進む中で、
- 不動産の所在
- 登記情報
- 権利証や登記識別情報の保管場所
を家族で共有しておくことが重要になっています。
外国人による不動産取得と登記制度の変化
記事では、外国人による不動産取得についても触れられています。
日本では原則として外国人による不動産取得に制限はありません。
一方で、近年は都市部を中心に外国人による不動産取得が増加し、その実態把握を求める声も高まっています。
そのため今後は、登記の際に国籍情報の提供が義務化される予定となっています。
これは所有を制限する制度ではなく、まず実態を把握するための制度整備と考えられます。
不動産鑑定士の視点③ 今後は「権利管理」が資産管理になる
不動産を持っているだけでは資産は守れません。
これからは、
- 登記が正しく整理されているか
- 相続対策ができているか
- 権利証や登記識別情報が管理されているか
といった「権利管理」そのものが重要になります。
特に相続や売却を予定している方は、今のうちに保管場所や内容を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
権利証は現在「登記識別情報」に変わりましたが、その重要性は変わっていません。
むしろ高齢化や相続件数の増加によって、
不動産の価値を守るためには、権利を管理することがますます重要な時代になっています。
土地や建物だけでなく、その権利関係まで含めて管理することが、本当の意味での資産管理と言えるでしょう。
【出典】
産経新聞
「かつての『権利証』、今は『登記識別情報』に変わりました いずれも管理には気を付けて」
https://www.sankei.com/article/20260525-UFENTC62L5L6JFLEJ5KLHCWZ7U/

