事業承継やM&Aの場面では、株式の評価が大きな鍵を握ります。特に企業が保有する不動産は、会社の財務内容を左右する重要な資産です。その価値を正しく算出することで、株式評価の精度を高め、円滑な事業承継やM&Aを実現することが可能になります。
ここでは、不動産の専門家である不動産鑑定士の視点から、株式評価における不動産鑑定評価の活用がどのように有益であるかを解説します。
事業承継時の株式評価で不動産鑑定評価が重要になる理由
企業が保有する不動産は、場合によってはバランスシートの大部分を占めることがあります。
そのため、株式評価を行う際、不動産の評価が過大または過小になってしまうと、企業全体の評価額に大きな影響を及ぼす可能性があります。
正確な株価を算定するためにも、不動産鑑定士による客観的かつ専門的な評価が欠かせないのです。
1. 過大・過小評価のリスク回避
一般的に財務諸表上は、取得原価や税務上の評価額(固定資産税評価額など)で不動産を計上するケースが多く、市場価格とは乖離が生じることがあります。
不動産鑑定評価により、実勢価格に近い評価額を算出できれば、株式の価値を適正化でき、事業承継時のトラブルやリスクを最小限に抑えることが可能です。
2. 税務や会計上の対応をより明確に
株式評価の結果は、相続税や贈与税、M&A時の譲渡益など、様々な税務面に影響を及ぼします。
また、公認会計士や税理士が財務諸表を監査・作成する際にも、不動産の正当な評価額が明確になっていれば、会計上の処理がスムーズに進みます。
不動産鑑定士の評価書があれば、監査法人や税務当局に対しても説明責任を果たしやすくなり、企業の内部統制強化にも寄与します。
3. M&Aや資本提携時の交渉材料
企業がM&Aや資本提携を検討する際、不動産を含む資産価値は交渉の重要ポイントになります。
不動産鑑定評価があれば、客観的な資産価値を示すことができるため、買収価格や資本参加割合などについて交渉を円滑に進められます。
また、企業オーナーとしても、外部投資家や金融機関とやり取りする際の信用度が向上します。
不動産鑑定評価を活用する具体的なステップ
では、実際に事業承継やM&A時に不動産鑑定評価を活用する際の流れを簡単にご紹介します。
1. 現地調査と資料収集
不動産鑑定士は、対象不動産の現地調査を行い、立地条件や建物状態、周辺環境などを確認します。
さらに、登記簿謄本や固定資産税評価証明書、賃貸契約書(賃貸物件の場合)などの各種資料を揃え、法的規制や収益性をチェックします。
2. 評価手法の選定
不動産鑑定評価には、原価法・取引事例比較法・収益還元法などの手法があります。
物件の種別や利用形態に応じて手法を選び、複数のアプローチを組み合わせることで、より正確な評価額を算定します。
3. 不動産鑑定評価書の作成・活用
最終的な評価額とその根拠をまとめた「不動産鑑定評価書」が完成したら、株式評価において含み益や含み損を明確に把握できます。
公認会計士・弁護士・税理士などと連携しながら、事業承継スキームやM&A戦略を検討する際のベース資料として有効活用しましょう。
まとめ
事業承継やM&Aにおける株式評価では、企業が保有する不動産の価値を正しく把握することが不可欠です。
・不動産鑑定評価は、実勢価格に基づく専門的な根拠を示し、リスク回避や交渉力強化に貢献
・税務・会計上の処理や、監査法人・金融機関からの信用度アップにも有効
・公認会計士や弁護士などと連携し、最適な事業承継スキームやM&A戦略を構築
正確かつ公正な不動産評価を得ることで、企業経営者や関係者は長期的な視点で大切な経営資産を守り、次世代へスムーズに引き継ぐことができるでしょう。
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