2025年6月1日更新
朝日新聞(2025年6月1日朝刊)は「40歳を過ぎて住宅ローンを組む人が過半数に達し、70代以降まで返済が続く世帯が急増している」と報じました。長期固定金利のフラット35利用者平均年齢は44.3歳、借入期間は平均32年――つまり40代で購入すれば、完済予定年齢は70代〜80代に届く計算です。
定年後の収入減、親や自分の介護、病気、想定外のリストラ……。こうしたリスクに備えずにローンを抱えてしまうと「住宅ローン破綻」に直面しかねません。
では、どう備えるべきか。ファイナンシャルプランナーや銀行相談窓口だけでなく、不動産鑑定士へ相談することが有効な「リスクヘッジ」になるのをご存じでしょうか? 鑑定士は価格算定だけでなく、資産価値・流動性・市場動向・法的リスクを多角的に診断できる“住宅購入前の総合ドクター”です。本記事では、40代夫婦がマイホームを購入・買い替えするときに鑑定士へ相談するメリットを分かりやすく解説します。
40代で組む長期ローンの「3つの落とし穴」
1. 収入ダウンと返済負担率の逆転
役職定年・転職・介護離職など40代以降のキャリアは不確定要素が増えます。返済開始時に返済負担率(年間返済額 ÷ 手取り)が25%でも、60歳時点で手取りが30%減れば負担率は35%超に跳ね上がります。
2. 予備費不足と突発支出
子どもの大学費用、実家の相続整理、医療費――生活防衛資金を厚く確保しないままフルローンを組むと、突発支出に対応できなくなります。
3. 資産価値の想定外下落
人口減少エリアや流通性の低い物件を選ぶと、売ってもローン残高を下回る「オーバーローン」に陥る恐れがあります。市場価値を読む眼が欠かせません。
不動産鑑定士が提供できる4つのソリューション
1. 適正価格と将来価値の“セカンドオピニオン”
価格査定は仲介会社が提示しますが、売り手寄りバイアスが入りやすいのも事実。鑑定士は取引事例比較・収益還元・原価法を併用し、独立した第三者価格を提示。「いま買って高値づかみにならないか」「将来いくらで売却できそうか」を数値で可視化できます。
2. 流動性と換価シナリオのシミュレーション
将来、リストラや介護で売却を余儀なくされた場合、何カ月で現金化できる市場か・賃貸転用は可能かをシナリオ分析。出口戦略を事前に描くことで「売れない家」に縛られずに済みます。
3. 法的・物的リスクの洗い出し
再建築不可、土砂災害警戒区域、長期修繕計画不備のマンション――こうした“隠れ地雷”を役所調査・現地調査で徹底チェック。のちの資産価値下落や追加コストを未然に防ぎます。
4. 住宅ローン設計へのフィードバック
鑑定士の価格・流動性評価を踏まえLTV(ローン残高/資産価値)を試算。頭金をいくら入れるべきか、繰上返済シナリオをどう組むか、ファイナンシャルプランナーと連携しながら“完済70歳問題”を回避するプランを提案できます。
相談タイミングは「買付申込前」がベスト
多くの夫婦はローン審査や重要事項説明の段階で慌てて調べ始めますが、買付申込(申し込み金支払い)前に鑑定士へ簡易調査を依頼するのが理想です。契約前なら条件交渉や購入見送りも柔軟に判断できます。
費用は「破綻コスト」と比べれば小さい
- 戸建て/中古マンションの簡易調査:10万〜15万円
- 正式な鑑定評価書・将来価値レポート:30万〜50万円
月10万円の返済が滞り、売却損と引越費用で数百万円失うリスクを考えれば、検査料=保険料として十分ペイします。
よくある質問(Q&A)
Q. 鑑定士は銀行が指定した人しか頼めない?
A. 自由に選べます。むしろ買主側が直接依頼することで、完全に中立な評価を受けられます。
Q. 価格以外の相談だけでもOK?
A. 可能です。例えば「流動性診断+リスク一覧表」だけのデューデリジェンスプランを設けている鑑定士事務所もあります。
Q. FPとどう違う? 一緒に頼むべき?
A. FPは家計キャッシュフローの専門家、鑑定士は不動産資産そのものの専門家。連携することで「買ってもいい物件か」「返せるローンか」を二重にチェックでき、破綻リスクを大幅に下げられます。
まとめ
40代で住宅ローンを組む世帯が増え、「完済年齢70歳問題」が現実味を帯びています。価格・流動性・法的リスクを総合診断できる不動産鑑定士に事前相談することで、高値づかみ・ローン破綻・オーバーローンを予防し、安心して老後を迎えられるマイホーム計画が実現します。
人生で一度の大きな買い物――「決断前に第三者のプロに診てもらう」。これが40代夫婦の住宅購入・買い替え成功の鍵です。
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