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2025年6月30日

借地権の地代改定とは?法的根拠・相場算定・交渉フローを不動産鑑定士が徹底解説

 

 

「地代を上げたい/下げたいが、相場がわからない」
借地権の地代改定は、借地借家法11条・32条により増額請求・減額請求が認められていますが、実務では鑑定評価・裁判例を踏まえた専門的根拠が欠かせません。本稿では、改定の法的枠組み、地代の相場算定方法、具体的交渉・調停・訴訟の流れを約5,000字で詳解。不動産鑑定士が一次データと最新判例をもとに解説します。

 

■ この記事でわかること

  • 地代改定の法的根拠と手続
  • 地代水準の鑑定評価・相場算定ロジック
  • 増額・減額交渉の実務フロー
  • 裁判例にみる認容率・改定幅の傾向
  • 借地人・地主それぞれのリスクと対策

 

 

1. 地代改定とは

1-1. 定義と背景

借地権の地代改定は、地価・税負担・経済事情の変動を理由に、地主(増額)または借地人(減額)が適正な地代への見直しを求める制度です。

 

1-2. 適用対象

普通借地契約(旧法・新法)、事業用定期借地権(期間20年以上)のいずれも対象ですが、契約条項による改定禁止特約の有効性には判例上制限があります。

 

1-3. 共起語・関連キーワード

「借地借家法11条」「借地契約」「増額請求」「減額請求」「相当の地代」「不動産鑑定評価」「裁判外紛争解決」「調停」「賃料改定指数」「路線価倍率」など。

 

2. 地代改定の法的根拠

2-1. 借地借家法11条・32条

経済事情の変動・租税公課の増減その他の事情により地代が相当でなくなったとき、当事者は地代の増減額を請求できます。

 

2-2. 改定請求の手順

  • 請求通知:内容証明で改定趣旨と根拠地代を提示
  • 協議期間:双方の資料を交換し60〜90日程度協議
  • 調停申立:合意に至らない場合、簡裁または地裁の民事調停
  • 訴訟:調停不成立で訴訟へ(地代支払義務は係争中も続く)

 

3. 地代相場の算定方法

 

鑑定評価では、倍率方式・スライド方式・賃貸事例比較方式を併用します。

方式 概要 適用場面
倍率方式 公示地価×借地権割合×利回り 住宅地・標準画地
スライド方式 改定前地代×(路線価/基準年度路線価) 路線価変動が顕著な都市部
賃貸事例比較 周辺借地の実勢地代を比較 事業用・特殊用途地

 

裁判例の改定幅

  • 増額:年5〜15%
  • 減額:年▲5〜▲20%

※経済事情の変動幅と租税公課増減に連動する傾向があります。

 

4. 増額・減額交渉の実務フロー

4-1. 資料収集

公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額、固定資産税納税通知書、鑑定評価書草案などを準備し根拠の客観性を高めます。

 

4-2. 交渉戦略

  • 地主側:改定前後の税負担率を示し、地代総収益率を適正化
  • 借地人側:近隣賃貸事例と収益還元利回りを提示し、妥当地代を算定

 

4-3. 調停・訴訟の留意点

裁判所は鑑定委託を行い、鑑定評価額に近い水準で和解勧告する例が多い。時間・費用を考慮し、調停段階で折り合う方が実務的メリットが大きいです。

 

5. ケーススタディ

 

事例:都心住宅地の地代減額請求
借地人Eさんは路線価下落(▲10%)と固定資産税評価額減を理由に地代の15%減額を請求。
 

項目 現行 請求 合意
年間地代 720,000円 612,000円 648,000円
路線価指数 100 90
地主税負担増減率 −8% −8%

 
簡裁調停で10%減額が妥当と判断され、合意成立。

 

6. 借地人・地主別チェックポイント

 

| 借地人の視点 | 地主の視点 |
|————–|———–|
| 路線価・公示地価の変動幅 | 税負担増減の証明 |
| 契約条項(改定禁止・固定地代等) | 契約更新時期と違約条項 |
| 近隣賃貸事例の水準 | 固定資産税・都市計画税相当額 |
| 鑑定評価書の取得費用対効果 | 鑑定評価依頼・鑑定人費用 |
| 調停・訴訟のコスト試算 | 調停・訴訟の勝率と時間軸 |

 

7. ADEXの専門支援

 

アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社は、地代改定に関する鑑定評価、交渉代理、税務シミュレーションをワンストップで提供します。

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8. FAQ(よくある質問)

 

Q1. 地代の改定周期に決まりはありますか?

法定周期はありませんが、実務では3〜5年ごとに協議条項を定めるケースが多いです。

 

Q2. 改定禁止特約は有効ですか?

最高裁判例により、改定禁止特約は「相当期間経過後における経済事情の極端な変動」があれば無効となる可能性があります。

 

Q3. 鑑定評価書は必ず必要ですか?

裁判では鑑定評価が重視されるため、調停段階から取得しておくと交渉を有利に進められます。

 

9. まとめ

 

借地権の地代改定は客観的根拠適切な手続が鍵です。公示地価・路線価・鑑定評価を活用し、早期に専門家と連携してスムーズな合意を目指しましょう。

 



 

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