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「賃料を見直したいが、どのように請求すればいいの?」
借主との既存契約賃料が市場相場に対して乖離している場合、賃料増額請求権を行使して賃料改定が可能です。本稿では、賃料増額請求の法的根拠から事前準備、具体的手続き、計算方法、交渉のコツ、トラブル回避まで、不動産鑑定士が約5,000字で徹底解説します。
■ この記事でわかること
- 賃料増額請求の法的根拠と適用要件
- 請求前の市場調査と資料準備のポイント
- 増額請求の手続きフローと必要書類
- 増額幅計算の方法(差額配分法など)
- 交渉戦略と更新契約時の注意点
- トラブル事例と回避策
- ADEXのサポートメニュー
目次
1. 賃料増額請求の法的根拠
1-1. 民法と借地借家法
借家権の賃料改定は、借地借家法24条の規定に基づき、契約期間中であっても一定の要件下で請求できます。また、契約更新時には借地借家法29条により市場相場に応じた賃料へ見直しが可能です。
1-2. 正当事由の要件
賃料改定には「相場の変動」「公共料金の高騰」など正当事由が必要。単なる賃料増収目的だけでは認められにくいため、具体的な事由を明示することが重要です。
2. 請求前の準備
2-1. 市場調査とデータ収集
周辺類似物件の賃料相場や取引事例を収集。賃貸ポータルサイトや公租公課データ、仲介業者のレポート等を活用し、資料として整理します。
2-2. 証拠資料と社内決裁
相場比較表・鑑定評価書・収支シミュレーションを作成し、社内決裁を経て法的根拠と増額幅の根拠を明確にしておきます。
3. 請求手続きの流れ
3-1. 増額請求通知書の作成
請求書には請求理由、希望賃料、適用時期、法的根拠を明示。内容証明郵便で送達し、法定通知期間を確保します。
3-2. 回答期限と催告
回答期限(通常2週間)を設定し未回答の場合は催告を実施。やむを得ず対応拒否された際の次の措置を想定しておきます。
3-3. 調停申立の検討
当事者間で合意が得られない場合は地方裁判所へ賃料増額調停を申し立て、裁判所の判断を仰ぎます。
4. 増額幅の算定方法
4-1. 差額配分法
現行賃料と市場賃料の差額を残存期間で年金化し、年間改訂額を算定する手法。計算根拠が明確で説明しやすいメリットがあります。
4-2. 固定利回り法
対象物件の純収益を期待利回りで割り戻し、市場利回りに応じた適正賃料を算定。投資家視点の合理性を示せます。
4-3. ハイブリッド評価
上記手法を併用し、両者の差異を平均化することで、双方にとって納得感のある賃料を提案します。
5. 交渉・合意形成のコツ
5-1. Win-Win提案
賃料増額だけでなく、設備更新や契約期間延長などを組み合わせた提案で、借主のメリットを示すことで合意を得やすくなります。
5-2. 段階的増額案
初年度は一部増額、その後段階的に移行する案を提示し、借主のキャッシュフロー負担を平準化します。
5-3. 相続対策・長期安定提案
借主が法人や事業者の場合、長期安定利用を前提とした賃料設定で、事業計画との整合性を示すと効果的です。
6. トラブル回避のポイント
6-1. 契約書への明文化
増額後の賃料・適用期日・調停手続き方法を契約書に盛り込み、将来紛争を未然に防ぎます。
6-2. 社内ルール整備
請求基準・手続きフローを社内マニュアル化し、担当者ごとの対応違いをなくします。
6-3. 定期的な見直しの仕組み
契約更新時や一定年数ごとに賃料見直しの条項を設け、自動的に市場追随できる仕組みを導入します。
7. ADEXの専門支援
アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社は、賃料増額請求の調査・算定・交渉支援、調停申立書作成までワンストップでサポートします。
- 市場調査レポートの提供
- 差額配分法による賃料算定
- 請求通知書・調停書類作成代行
- 交渉戦略立案・代理交渉
8. FAQ(よくある質問)
Q1. 一度請求した賃料は減額できますか?
賃料減額請求は別途正当事由が必要です。増額請求書内で減額条件を併記することも可能ですが、契約変更が必要です。
Q2. 借地契約でも増額請求は可能ですか?
借地借家法33条により、借地の場合も賃料改定が可能です。手続きは類似しますが、借地権特有の評価要件があります。
Q3. 合意できなければどうなる?
調停で解決を図るか、裁判で賃料改定訴訟を提起します。早期に専門家へ相談しましょう。
9. まとめ
賃料増額請求は正当事由の明示、市場調査、適切な手続きフロー、交渉戦略が鍵となります。契約書への明文化や定期見直し条項を整備し、トラブルを回避しながら収益最適化を図りましょう。
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