みずほ銀行が10月から変動型の基準金利を+0.25%(2.875%へ)に引き上げ、最優遇金利も0.775%にします。固定型は大手5行すべてが引き上げ、10年固定の最優遇は三菱UFJ 2.04%/三井住友 2.2%/みずほ 2.1%/三井住友信託 2.285%/りそな 2.485%となります。背景には日銀の利上げと長期金利(10年国債利回り)の上昇があります。
出展:日本経済新聞「みずほが変動型住宅ローン金利0.25%上げ 10月、固定型は大手5行も」(2025/9/30)
1. いま何が起きている?
変動型は利用者が多く(全体の約8割)、今回の0.25%の上げ幅は、新規借入やこれから金利適用を受ける人にとって負担増になります。固定型は、10年国債利回りの上昇を受けて大手5行すべてが引き上げに動いています。日銀が今後も利上げする場合、変動型の上昇が続く可能性があります。
2. 家計にはどう響く?(大まかなイメージ)
返済額は借入額・期間・ボーナス返済の有無で変わりますが、金利が0.25%上がると、35年返済・数千万円規模の借入では月の返済が数千円程度ふえるのが一般的です(条件により幅があります)。
すでに変動型で返済中の方は、金利は毎月見直しでも、返済額は5年ごとに改定・増額上限125%などのルールがあることが多いです。毎月額がすぐに急増しない仕組みでも、元金の減りが鈍ることがあるため、トータルの返済負担はじわじわ重くなる点に注意してください。
3. 不動産鑑定士の見解:変動と固定の考え方
変動型は当面の金利が低く、月の返済額を抑えやすい一方、今後の上昇リスクを家計が背負います。固定型は金利が高めでも、返済額が読みやすく安心です。どちらが正解というより、次の3点で決めると失敗が少なくなります。
- 「持てるか」を優先:金利がさらに0.5%上がった想定で、毎月返済が家計の25〜30%内に収まるか試算。
- 保有期間:5〜7年で住み替え予定なら、変動や短め固定にメリット。10年以上の長期保有なら、部分固定・全期間固定の検討価値が高まります。
- 収入の安定性:収入が波打つ職種や家計に余裕が少ない場合は、固定比率を高めて安心を買う選択も有効です。
4. これから借りる人へ:行動の順番
- 事前審査は2〜3行で:同じ人でも銀行ごとに金利・優遇・団信条件が違います。比較の手間は効果的です。
- 金利タイプの「混ぜ方」を検討:借入の一部を10年固定、残りを変動にするなどミックスも有力。上げ下げ両方に備えられます。
- 総支払いで判断:金利だけでなく、保証料・繰上げ手数料・団信上乗せ(がん団信など)まで入れた総コストで比較しましょう。
5. すでに返済中の人へ:点検ポイント
- 金利の見直し時期:自分の契約が「金利は半年ごと」「返済額は5年ごと」など、いつ何が変わるのか確認。
- 繰上げ返済の使い方:元金の減りが鈍いと感じたら、少額でも早めの元金カットが効果的。無理のない範囲で。
- 借り換えの損益分岐:諸費用(事務・保証・登記)の回収が3〜5年で見込めるか。条件が大きく改善しないなら、借り換えない勇気も選択です。
6. 「金利だけ」で決めない——家の総コストで考える
金利動向は大切ですが、住まいの費用は金利だけではありません。固定資産税・管理費・修繕積立金(または戸建の将来修繕)・保険・更新・リフォーム費まで含めた10〜20年の総コストで比べましょう。新築・中古、マンション・戸建、立地の違いで結果は大きく変わります。
7. まとめ:焦らず、でも放置せず。数字で備える
金利は上げ下げを繰り返します。だからこそ、家計が耐えられる範囲を先に決め、変動か固定か(またはミックスか)を選びましょう。1度決めたら終わりではなく、見直し時期に合わせて手を打つのがコツです。将来の安心は、今日の小さな点検から生まれます。
出展:
日本経済新聞「みずほが変動型住宅ローン金利0.25%上げ 10月、固定型は大手5行も」(2025/9/30)