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2025年10月10日

「アパート派」が増えています――なぜいま見直されるのか。借りる前に知っておきたいポイント

 

テレビ朝日の報道によると、東京23区でアパートの問い合わせが前年同月比+59%と大きく増え、マンション(+25%)を上回りました。背景には、家賃の差が過去最大まで広がっていることがあります。8月時点の平均家賃はアパート 6万9,278円(前年比+約4%)マンション 10万3,952円(+10%超)で、アパートの方が3割以上割安でした。
出展:テレビ朝日ニュース「『アパート派』増加 平均家賃はマンションより3割以上割安で見直す動き広がる」(2025/10/9放送)

 

1. なぜアパートに注目が集まっているの?

理由はシンプルです。家賃差が広がったからです。近年、建設費や人件費の上昇で賃貸マンションの新規賃料が上がりやすくなりました。その結果、中古や木造中心のアパートとの価格差が拡大。生活コストを抑えたい人が、設備は必要十分にしつつ、「場所と広さ」を優先してアパートを選ぶ動きが強まっています。

また、アパートでも宅配ボックス・防犯カメラ・無料インターネットなどの設備が後付けで整う物件が増え、以前ほどの「設備面の見劣り」が小さくなってきたことも追い風です。

 

2. アパートとマンション、実際のちがいは?(ざっくり比較)

  • 構造:アパートは木造・軽量鉄骨が中心。マンションは鉄筋コンクリート(RC)が中心。
  • 遮音・断熱:一般にRCの方が遮音・断熱で有利。ただし築年・仕様により差があります。遮音等級・壁厚は現地で確認を。
  • 設備・共用部:マンションはオートロック・エレベーター等が整いやすい。アパートも後付けの設備が増えていますが、物件ごとの差が大きいです。
  • 家賃:同エリア・同条件ならアパートが割安になりやすい。今回の統計では3割以上の差。
  • 維持費:アパートは共益費が抑えられることが多い一方、光熱費は断熱性能に左右されます。

 

3. 借りる前に、ここだけはチェック(短時間で失敗を減らすコツ)

① 騒音・生活音:平日夜と休日昼の2回、時間帯を変えて内見。上階・隣室の音、道路・線路・店舗の音を確認。木造は配置・壁厚・床材で体感が変わります。

② 断熱・光熱費:窓の種類(ペアガラス/サッシの材質)、日当たり、すきま風。冬は暖房費、夏は冷房費が変わります。可能なら前入居者の光熱費の目安を仲介に聞いてみましょう。

③ 雨・湿気・におい:水回りの換気(24時間換気の有無)、押し入れ・床下の湿気、共用廊下の雨だれ。浴室乾燥があると便利です。

④ セキュリティ:共用灯の明るさ、通りからの視線、ドア・窓の錠の数と種類、防犯カメラの有無。1階なら面格子や補助錠があるか確認。

⑤ ネット・宅配:在宅勤務や動画視聴が多いなら回線の種類・実測速度が重要。宅配ボックスは有無だけでなく個数も要チェック。

⑥ 周辺の生活:スーパー・ドラッグストア・病院・公園・ゴミ置場の位置。夜間の明るさと帰宅ルートの安全性を歩いて確認。

 

4. 申し込み前の小ワザ(初期費用と条件)

  • 初期費用:敷金・礼金・仲介料・鍵交換・消毒・24Hサポートの内訳を明細で確認。不要なオプションは外せるか相談。
  • フリーレント:空室が長い物件は賃料1か月無料などの交渉余地があります。相場と滞留期間がヒント。
  • 更新料・解約:更新料の有無、解約予告(1か月/2か月)、短期解約違約金に注意。

 

5. こんな人はアパートの「割安メリット」を活かしやすい

  • 立地最優先で、設備は必要十分でいい(駅近や職場・学校に近い)
  • 家賃を抑えて、家具・家電・趣味に回したい
  • 在宅時間が少ない(遮音に神経質にならなくてよい)
  • 短〜中期で住み替え予定(初期費用と家賃を抑えるメリットが大きい)

一方で、在宅勤務が多い/音や温熱環境に敏感/在宅時間が長い人は、RCマンションや高断熱仕様のアパートも含めて比較すると満足度が上がります。

 

6. オーナー・投資家へ(需要の波に合わせた“軽リノベ”)

問い合わせの伸びは賃料の価格帯に需要が厚いサインです。アパートの空室対策は、コスパの良い改修が効きます(例:LED照明・室内物干し・温水洗浄便座・TVモニターホン・Wi-Fi無償化・宅配ボックス)。清潔感の見える化(床・水回り・コーキング)は写真の印象を大きく改善します。賃料は+1,000〜3,000円の小幅アップでも、費用回収が早い施策が狙い目です。

 

7. まとめ:家賃が上がる時代は「賢いトレードオフ」で選ぶ

今は、同じエリアでアパートの方が3割以上安いという市場状況です。大切なのは、自分の暮らしに必要な条件を決めたうえで、アパートとマンションを公平に比べること。音・断熱・安全・ネット環境・生活動線をチェックし、納得できるトレードオフで選べば、アパートでも快適に暮らせます。数字だけでなく、現地の体感で判断しましょう。

 

出展:
テレビ朝日ニュース「『アパート派』増加 平均家賃はマンションより3割以上割安で見直す動き広がる」(2025/10/9放送)

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