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2025年11月3日

株高・円安・日銀据え置き――いまの金融相場は不動産に何をもたらす?(不動産鑑定士のやさしい見解)

 

日経平均が続伸し、最高値を連日更新しました。背景には、日銀の金利据え置き(0.5%)と、それに伴う円安進行、さらに米国のハイテク株高を受けた半導体関連の買いがあります。売買代金は東証プライムで過去最高。金融市場が強い動きを見せる中、不動産にはどんな影響があるのかを平易に解説します。
出展:日本経済新聞「東証大引け 日経平均は続伸 連日最高値 半導体株に買い、日銀据え置きも支え」(2025/10/30)

 

1. まず「金利・為替・株価」が示すこと

金利:据え置き…当面、変動型ローンや短期資金の上昇圧力は小休止。ただし、FRB(米国)の姿勢次第で先行き上がる可能性は残ります。
為替:円安…1ドル=153円台まで円安が進みました。輸入資材・設備のコストは上がりやすく、新築や大規模修繕の費用に影響します。
株価:半導体・AIがけん引…データセンター・半導体工場・物流など「成長分野」に資金が向かっています。

 

2. 住宅(買う・借りる)への影響

買う人:金利は据え置きでも、将来の上振れに備えて返済ストレス試算(+0.5%、+1.0%)を実施。返済+税・管理修繕の合計が手取りの25~30%に収まるかが目安です。円安で建材・設備の価格が上がるため、新築の価格やリフォーム費は高止まりしやすい点に注意。
借りる人:雇用が堅調なら家賃は下がりにくい傾向。更新や住み替えは、省エネ設備・遮音・ネットなどコスパの良い条件を中心に比較しましょう。

 

3. 収益不動産(投資・賃貸経営)への影響

ホテル・観光:円安は訪日需要の追い風。稼働・単価の上振れが期待できる一方、人件費と仕入れのコスト増をNOI(純収益)計画に織り込むことが重要。
物流・データセンター:AI・半導体投資の波は電力・通信・用途規制の目利きがカギ。賃料成長は見込めますが、用地・建設コストの上振れと工期遅延リスクに注意。
オフィス:株高で回復期待が強まる局面でも、立地とビルスペックで選別が進みます。BCP(非常電源・受水ポンプ・二重ルート)が弱い棟は賃料交渉の余地が生じやすい。
出口利回り:金利が据え置きならキャップレートの上振れ圧力は一服。ただし先行き不透明ならやや保守的に置くのが安全です。

 

4. 建設・修繕費は「円安」と「人手不足」に敏感

円安で輸入材・設備機器は上がりやすく、技能人材の不足も続いています。新築の坪単価・大規模修繕費高止まりが基本線。分譲・賃貸とも、長期修繕計画と積立水準を再点検し、必要に応じて前倒し発注・相見積もりで対策を。

 

5. 立場別「いまできること」チェックリスト

  • マイホーム購入:金利ストレス試算/固定・変動のミックス検討/中古はインスペクション・修繕履歴の確認/リフォーム費の上振れ余地。
  • 売却:市場が強い間に適正価格+初動の資料整備(図面・修繕履歴・性能報告)でスピード成約を狙う。
  • 投資:NOIは保守的に/レントフリー・TI(内装負担)をCFに反映/LTV抑制・DSCR1.2~1.3倍確保/出口利回りはやや高めに。
  • 賃貸オーナー:小規模の省エネ改修・ネット無料・宅配BOXなどで成約スピード改善/修繕費のインフレを前提に積立見直し。

 

6. まとめ:金融市場は強いが、実需は「選別」。数字と現地で冷静に

株高・円安・据え置きは、不動産の追い風になり得ます。ただし、すべての物件が一律に上がるわけではありません。立地の普遍価値(駅距離・生活利便・災害リスク)建物の性能・管理が価格と賃料を左右します。数字(返済試算・NOI・修繕計画)と現地確認をそろえて、焦らずに判断しましょう。

 

出展:
日本経済新聞「東証大引け 日経平均は続伸 連日最高値 半導体株に買い、日銀据え置きも支え」(2025/10/30)

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