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2025年11月10日

東京都が「アフォーダブル住宅」を供給へ――家賃2割安の官民連携、その狙いと上手な使い方(不動産鑑定士のやさしい見解)

 

東京都は、子育て世帯などが手頃な家賃で暮らせる「アフォーダブル住宅」を、民間と連携して来年度以降約300戸供給すると発表しました。市場家賃より2割程度安い水準をめざし、新築だけでなく中古マンションや空き家の活用も想定。都は複数の官民連携ファンドを立ち上げ、都の出資金に対する利回りを低めに設定することで、低家賃を実現するビジネスモデルを組むとしています(入居要件の詳細は今後検討)。
出展:日本テレビ「『アフォーダブル住宅』都が供給へ 官民連携し“低家賃”で」(2025/11/7)

 

1. 何が始まるの?(かんたん整理)

・対象:まずは子育て世帯など(所得制限や世帯要件は今後決定)
・家賃水準:周辺の市場家賃から約2割安
・戸数:来年度以降、約300戸(新築の一部・全戸/中古・空き家の活用を含む)
・仕組み:官民ファンド+都出資の低利回り=事業者は家賃を低く設定しやすい

要するに「民間の開発・運営力」に「公的な資金の後押し」を組み合わせ、家賃の“段差”を埋める試みです。

 

2. 不動産鑑定士の見解:市場への影響は?

① 足元の家賃下支えに“すき間”の受け皿
家賃が高止まりするなか、「対象までいくと公営・公的住宅には届きにくい」「市場家賃は厳しい」という世帯の受け皿になります。規模はまず300戸と限定的ですが、実績が積み上がると拡大が見込めます。

② 空き家や中古の“活かし方”が進む可能性
新築だけでなく中古・空き家の活用も想定。エリアや建物状態の選別が進み、「住めるのに使われていないストック」に改修投資が向かえば、街の安全・景観にもプラスです。

③ 近隣相場への直接影響は限定的
戸数が大きくないため、周辺相場を一気に下げる圧力は小さいでしょう。ただし、同種の供給が広がれば、ファミリー向け賃貸での価格競争の緩和につながる可能性はあります。

 

3. 応募を考える人へ:ここをチェック

  • 入居要件:所得制限、世帯構成(子どもの年齢など)、就労要件、居住年数の上限・更新条件。
  • 家賃の算定方法:基準となる市場家賃、2割安の具体額、更新時の改定ルール(物価・近隣相場・収入変化の反映有無)。
  • 初期費用:敷金・礼金・仲介手数料・保証会社料、退去時の原状回復基準
  • 立地と生活:駅距離、保育・学校・病院・公園、買い物の動線、夜間照度や治安も夜に現地確認。
  • 建物の状態(中古・空き家活用の場合):断熱・設備更新状況、インスペクションや改修履歴の開示。

ポイント「2割安」=「全体が安い」ではありません。総額・更新・諸費用まで見て家計に無理がないかを確認しましょう。

 

4. オーナー・事業者にとっての意味

オーナー(空き家・区分所有者):改修・賃貸運営のハードルが高い物件でも、ファンド経由の取得・募集設計で活用余地が広がります。入居者の安定性(所得要件・子育て支援)と、行政連携の相談窓口を確認しましょう。

事業者:新築は一部住戸をアフォーダブル枠として組み込むスキームが想定されます。中古・空き家は、改修前の性能把握(断熱・耐震)工事・募集の短期化生活支援のパートナー連携が成否を分けます。都の出資利回りが低くなる分、家賃ディスカウントに回る構造を正しく説明できると、ESG投資・インパクト金融とも相性が良いでしょう。

 

5. よくある質問(Q&A)

Q. 2割安はずっと続きますか?
A. 継続方針や改定の仕方は、契約と制度設計次第です。募集要項・賃貸借契約で改定ルールを必ず確認しましょう。

Q. 公営住宅と何が違いますか?
A. 民間事業者が運営する賃貸で、立地や建物の選択肢が広がりやすい一方、家賃補助=ゼロではなく家賃水準を引き下げた民間賃貸という位置づけです(入居要件は別途設定)。

Q. 家賃以外のコストは?
A. 敷金・礼金・仲介手数料・保証会社料・保険・更新料などは個別条件です。合計コストで比較しましょう。

 

6. まとめ:家賃負担を軽くする“新しい受け皿”。数字と現地で、賢く使いましょう

アフォーダブル住宅は、家賃負担を緩和しながら、子育て世帯の暮らしを支える新しい選択肢です。ただし、入居要件・家賃改定・初期費用・立地・建物性能を数字で確かめ、夜の現地確認も行ってから申し込みを。きちんと比べれば、「2割安」を暮らしの安心に変えられます。

 

出展:
日本テレビ「『アフォーダブル住宅』都が供給へ 官民連携し“低家賃”で」(2025/11/7)

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