大阪・キタの不動産で、他人になりすまして所有権移転登記を行った疑いで司法書士らが逮捕されました。80代所有者の運転免許証や印鑑登録証明書が偽造され、ペーパーカンパニーへの売却を装った虚偽申請が行われたと報じられています。
出展:読売新聞オンライン「大阪・キタを舞台にした「地面師」不正登記事件、司法書士らが80歳代の不動産所有者の免許証を偽造していたことが判明」(2026/01/15)
1. 何が起きたの?(要点)
- 司法書士と不動産会社元代表が共謀し、偽造の委任状・免許証コピー・印鑑登録証明を法務局に提出。
- 所有者(80代)の免許証写真は60代別人の顔写真に差し替え。
- 売却先の法人は設立間もない実態希薄(ペーパーカンパニー)。
- 容疑は電磁的公正証書原本不実記録・同供用など。捜査は継続。
ポイント:登記実務の“本人確認の穴”を突いた典型的な地面師手口です。専門家(司法書士)が関与していても、100%安全とは限りません。
2. 所有者(個人・法人)が今すぐできる「自衛策10」
- 登記の見張り:登記情報提供サービスや民間の登記監視メールで、自分の不動産に変動が出たら通知を受ける。
- 住所変更登記を放置しない:転居後の住所未登記は狙われやすい。相続登記・住所変更登記は早めに。
- 登記識別情報(権利証)の厳重管理:コピーを出回らせない。紛失なら司法書士へ相談し、事前通知制度等の利用を検討。
- 印鑑証明をむやみに渡さない:提出先・用途・回収方法を明確化。有効期限の短い原本のみ、余部は保管せず破棄。
- 郵便管理:固定資産税や法務局からの郵便が届かないと気づけない。長期不在・空き家は転送・見守り体制を。
- 代理・委任の乱用に注意:面前での実印押印・拇印、ビデオ通話での本人確認、IC免許証の真贋読取り等を実施。
- 決済の安全化:法務局/金融機関での対面立会い、買主口座名義一致確認、エスクロー/司法書士預りを活用。
- 怪しい接触の遮断:「すぐに現金」「委任状だけでOK」「高齢者宅への持ち回り契約」は要注意。家族・顧問にワンクッション。
- 法人相手の背景調査:履歴事項全部証明・法人番号、資本金、オフィス実在、設立時期、役員、サイト・電話。
- 被害疑いの初動:仮登記・仮差押・登記抹消仮処分を弁護士と即時検討。警察相談センター、法務局にも通報。
3. 買主・仲介・司法書士の「二重チェック」実務
- 本人確認を二系統で:顔写真付ID(IC読取り)+公的補助資料(住民票の写し・戸籍附票・固定資産税納税通知等)。
- 登記名義人への接触:現住所・連絡先へ直接電話/書面で意思確認(代理人のみ対応は要疑義)。
- 書式の精査:委任状・印鑑証明の一致・日付整合、印影の不自然さ。スキャナ合成の痕跡にも注意。
- 資金流の透明化:送金先名義、資金の出所(KYC/AML)、司法書士の本人預り口座の利用。
- クロージングの場所:可能な限り法務局または金融機関で同席・同時履行。
鑑定士メモ:「本人を見て、書面を見て、第三者が見る」の三段構えが基本です。
4. よくある誤解を正す(短く)
誤解1:司法書士がいれば安全 → 事実:本人確認の最後の砦ですが、今回のような偽造には限界も。依頼者側の予防が不可欠。
誤解2:権利証があれば大丈夫 → 事実:委任状+印鑑証明+本人確認が揃えば登記申請は進む。郵便・登記監視・家族共有で早期発見を。
5. まとめ:地面師は「本人確認の穴」を狙う。仕組み+家族+専門家で“穴”をふさぐ
登記の世界は、“書面の真実らしさ”との戦いです。行政の本人確認強化や通知サービスを活用しつつ、郵便・住所登記・権利証管理という足元から整えましょう。少しでもおかしいと感じたら、即日で専門家と法的な仮処分へ。スピードが、そのまま資産防衛になります。
出展:
読売新聞オンライン「大阪・キタを舞台にした『地面師』不正登記事件、司法書士らが80歳代の不動産所有者の免許証を偽造していたことが判明」(2026/01/15)

