住宅のリフォームは「高い買い物」という印象を持たれがちですが、実は国や自治体の補助制度と減税制度を正しく組み合わせることで、実質負担を大きく抑えることができます。
国土交通省は、リフォームを検討する消費者向けに、制度活用の考え方を整理しています。
出展:国土交通省 住宅局「リフォームをお考えの消費者の方」
1.まず押さえたい基本原則:リフォームは制度ありき
不動産鑑定の立場から見ると、リフォーム費用は単なる「支出」ではありません。
建物の性能・寿命・市場価値を引き上げる投資です。
そしてこの投資は、国が明確に後押ししている分野でもあります。
特に重要なのは、次の3点です。
- 補助制度と減税制度は別物であり、併用できるケースが多い
- 制度ごとに対象者・住宅・工事内容・金額要件が細かく決まっている
- 減税は自動適用されず、自分で申告が必要
2.補助制度の考え方:まず「国」、次に「自治体」
補助金は大きく国の補助と地方自治体の補助に分かれます。
国の制度で中心になるのが、いわゆる省エネリフォーム支援です。
断熱窓、高効率給湯器、断熱改修などは特に手厚く、
内容によっては数十万円から百万円単位の補助が出ることもあります。
一方、自治体の補助は地域差が大きいものの、
- 耐震改修
- バリアフリー化
- 空き家活用
などで独自支援を行っている自治体も少なくありません。
鑑定実務では、「国の補助だけ見て終わり」「自治体制度を知らなかった」というケースをよく見かけます。
両方を必ず確認することが重要です。
3.減税制度の本質:リフォーム後の価値を税で評価する仕組み
減税制度は、リフォームによって住宅性能が向上したことを、
税金の軽減という形で評価する仕組みです。
代表的なものは次の2系統です。
- 住宅ローン減税(増改築)
一定のリフォームを10年以上のローンで行った場合、年末残高の一定割合を所得税・住民税から控除 - リフォーム促進税制
ローンの有無に関係なく、耐震・省エネ・バリアフリー等の工事で所得税や固定資産税が軽減
不動産鑑定の観点では、これらの制度は
「建物価値を社会的に認める基準」とも言えます。
耐震性や省エネ性能を高めた住宅は、市場でも評価されやすく、
将来の売却や賃貸でも有利に働きます。
4.見落としがちな注意点:減税は「申告制」
制度活用で最も多い失敗が、
「条件は満たしていたのに申告しなかった」というケースです。
減税を受けるには、
- 確定申告
- 工事内容を証明する書類
- 住宅・申請者の要件確認
が必要です。
リフォーム会社や不動産会社は申請を代行できません。
最終的に動くのは消費者本人である点は、必ず理解しておく必要があります。
5.不動産鑑定士としてのまとめ
リフォームは、
- 暮らしを良くするための行為であると同時に
- 建物の資産価値を再設計する行為
です。
国の補助・減税制度は、「古い住宅を良質なストックとして使い続けてほしい」という明確な政策意図の表れです。
制度を知らずにリフォームするのは、割引券を捨てて買い物をするようなもの。
リフォームを考えた時点で、必ず制度を前提に計画を立てる。
それが、家計にも不動産価値にも、最も合理的な選択だと言えるでしょう。
出展:
国土交通省 住宅局「リフォームをお考えの消費者の方」

