【出典】日本経済新聞「マンション短期転売対策、57社中41社が導入意向 不動産協会調査」(2026年3月12日)
近年、都市部のマンション価格は大きく上昇しています。2026年1月の東京23区の新築マンション平均価格は、前年同月比16%上昇し、1億2126万円という高水準となりました。
こうした価格上昇の背景の一つとして指摘されてきたのが、マンションの短期転売(いわゆる投機目的の売買)です。購入後すぐに売却し、価格差による利益を狙う動きが見られるようになったため、不動産業界では対策を進めています。
不動産会社の約7割が転売対策を検討
不動産協会の調査によると、分譲マンション事業を行う企業57社のうち、41社が短期転売対策を「導入決定」または「前向きに検討」と回答しました。
不動産協会には大手デベロッパーなど162社が加盟しており、業界全体として転売対策が広がりつつあります。
背景には、都心マンションの価格高騰の中で、実際に住む人(実需層)が購入しづらくなっている問題があります。
具体的な転売対策の内容
2025年11月に不動産協会が打ち出した主な対策は次の通りです。
- 物件引き渡しまでの転売活動の禁止
- 購入戸数の制限
- 契約者名義・登記名義の厳格化
各社は2026年以降に販売する新築マンションで、任意にこれらの対策を取り入れ始めています。
例えば、三菱地所レジデンスは東京23区と大阪市を対象に導入。住友不動産も首都圏や大阪市、神戸市、京都市の物件などで対策を進めています。
短期転売は本当に価格高騰の原因なのか
ただし、不動産協会は短期転売だけが価格上昇の原因ではないとしています。
建築費の高騰や住宅供給の不足など、需給バランスの影響が大きいと指摘されています。
つまり、マンション価格の上昇は
- 建築費の高騰
- 都市部の住宅不足
- 低金利環境
- 投資資金の流入
など複数の要因が重なって起きているということです。
不動産鑑定士として見る市場のポイント
短期転売対策は、マンション市場の「過熱感」を抑える一定の効果はあると考えられます。
しかし、不動産価格は本質的に需要と供給のバランスで決まります。
現在の都市部では
- 住宅用地不足
- 建築コスト上昇
- 人口集中
という構造的要因が存在します。
そのため、転売規制だけで価格が大きく下がるとは考えにくく、今後も都心マンションは高値圏が続く可能性があります。
購入検討者が注意すべきポイント
マンション購入を検討する場合、短期的な価格動向だけで判断するのは危険です。
特に重要なのは次の3点です。
- 将来の金利動向
- 人口動態
- 物件の立地と資産性
価格上昇局面では「今買わないともっと上がる」という心理が働きやすくなります。しかし不動産は長期保有が前提となる資産です。
市場の動きを冷静に見ながら、生活や資産計画に合った判断をすることが重要です。
まとめ
マンションの短期転売対策は、投機的な取引を抑え、実際に住む人が購入しやすい市場環境を整えるための取り組みです。
ただし、不動産価格は単一の要因で決まるものではありません。建築費や需給バランスなど、複合的な要素が価格を動かしています。
マンション市場を理解するためには、短期的なニュースだけでなく、都市構造や人口動向といった長期的な視点もあわせて見ることが大切です。

