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2026年4月10日

マンションを建てれば価値が上がるのか 「保育所用地の義務化」が示す現実

【出典】吹田市「大規模共同住宅の建築等における保育所等の用地確保について」(2026年3月12日)

マンションが建てば、街は豊かになる。
そう思われがちです。

しかし、吹田市の制度はその前提を静かに崩します。

「住宅を増やすなら、保育所の土地も確保しなければならない」

一定規模以上の住宅開発に対して、保育施設用地の確保を義務付ける。
これは単なる行政ルールではなく、不動産の本質を示しています。


何が義務付けられているのか

吹田市では、以下の条件を満たす住宅開発に対して、保育所等の用地確保が求められます。

  • 開発住宅数200戸以上
  • または1ヘクタール以上の住宅開発

戸数に応じて、必要な施設規模も決まります。

  • 200戸以上:定員80人規模の保育所など
  • 400戸以上:定員100人規模
  • 600戸以上:定員120人規模

つまり、

住宅を増やすほど、生活インフラの責任も増える

という構造です。


不動産鑑定士の視点① 住宅は単体では価値を持たない

不動産は「立地」で決まると言われます。

しかし正確には、

「生活できるかどうか」で決まる

のです。

保育所が足りない。
学校が足りない。
医療が追いつかない。

この状態では、いくら新築マンションが建っても、
長期的な価値は維持できません。


不動産鑑定士の視点② 開発は「利益」ではなく「負担」も生む

開発事業者の視点では、この制度はコストです。

  • 土地を住宅として使えない
  • 収益面積が減る
  • 事業採算が圧迫される

つまり、

住宅開発は「建てれば儲かる」ビジネスではない

という現実がここにあります。

行政は、開発によって発生する社会コストを、事業者に内部化させているのです。


なぜこうした制度が増えているのか

背景は明確です。

  • 共働き世帯の増加
  • 保育需要の拡大
  • 都市部の人口集中

住宅だけが増え、インフラが追いつかない。
この歪みを修正するための制度です。

言い換えれば、

「住む人」を受け入れる責任を、開発に持たせている

ということです。


不動産鑑定士の視点③ これからの不動産は「環境込み」で評価される

今後の不動産価値は、建物そのものではなく、

  • 子育て環境
  • 教育環境
  • 生活インフラ

を含めて評価される流れが強まります。

つまり、

「便利な場所」ではなく「持続できる場所」が価値になる

という変化です。


まとめ|住宅は増やせるが、暮らしは設計しないと成立しない

マンションは建てようと思えば建てられます。

しかし、

暮らしは建てるだけでは成立しません。

子どもを預ける場所、通う場所、支える場所。
それらが揃って初めて、街は機能します。

今回の制度が示しているのは、

不動産は「空間」ではなく「関係」で成り立っている

という事実です。

住宅を増やすほど、責任も増える。
そこを無視した開発は、必ずどこかで歪みとして表に出ます。


【出典】
吹田市公式サイト
「大規模共同住宅の建築等における保育所等の用地確保について」

https://www.city.suita.osaka.jp/kosodate/1020164/1018254/1041889.html

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