2025年6月9日更新
東京・板橋区の築40年超マンションで「家賃を一気に2.5倍以上へ引き上げる」という通知が突如投函され、住民が動揺しました。
事実上のオーナーは中国在住の投資家。通知後は
・値上げ拒否の内容証明を出しても返答無し
・無届け民泊と見られる外国人宿泊客の出入り
・エレベーターの停止
――など、住環境が一気に悪化しました。
テレビ局がオーナーを直撃取材した結果、値上げは一転「撤回」と表明。しかし、退去を決めた世帯、高齢で移動が難しい世帯など、すでに生活基盤が揺らいだ入居者も少なくありません。
1. 何が起きたのか ― 5つのポイント
① 所有権移転を知らされないまま家賃値上げ
取引のたびに貸主変更を告げる義務はありますが、書面が届かないまま「ポストのビラ一枚」で告知されたケースでした。
② 増額幅は260~320%
従前賃料7万2500円→19万円へ。築年・立地・占有面積を踏まえても市場相場を大きく逸脱しています。
③ 無届け民泊
行政への届出が無いまま宿泊サイトに掲載。共用部での騒音・防災体制・ゴミ出しルール崩壊など管理不全が続出。
④ エレベーター停止
安全点検を理由に長期停止。高齢入居者の生活に重大な支障を来しました。
⑤ 退去ドミノ
20世帯→わずか数か月で5世帯退去、4世帯退去予定。
「出ざるを得ない」弱い立場が顕在化しました。
2. 家賃は自由に決められない ― 法的枠組み
賃貸住宅は借地借家法により、「社会的・経済的事情を踏まえ “相当” と認められる賃料」しか請求できません。従前賃料と比較し著しく高い場合、
- 入居者は増額拒否の意思を内容証明で送付
- 合意に至らなければ調停・訴訟で決着
- 裁判所は不動産鑑定士の「継続賃料鑑定評価書」を重要根拠として判定
つまり、一方的な通知だけで家賃は確定しません。泣き寝入りする必要はまったく無いのです。
3. 「継続賃料鑑定」とは?
項目 | 概要 |
---|---|
目的 | 現在の契約条件・周辺相場・物価動向などを分析し、 「適正な賃料レンジ」を算定 |
主な手法 | 差額配分法/利回り法/スライド法など |
アウトプット | ① 鑑定評価額(円) ② 算定根拠(数値・図表) ③ 将来予測とリスク評価 |
活用場面 | 増額・減額交渉/調停・訴訟/サブリース条件見直し |
4. 不動産鑑定士に相談すべき5つの理由
- 相場の「物差し」を入手 … 感情論を排し、数字で交渉の土台を作れる
- 訴訟リスクを抑止 … 鑑定書を示せば和解に至る確率が大幅アップ
- 民泊・管理不全の影響も考慮 … 共用部劣化は賃料減額要因になる
- 高齢・低所得入居者のセーフティネット … 公的支援・助成制度との
連携アドバイスが可能 - 将来の住み替え判断 … 退去費用・新賃料・諸経費を
キャッシュフロー化し意思決定を支援
5. 相談の流れ(ステップ式で安心)
- 無料ヒアリング(オンライン可/30分)
通知書・契約書・管理状況を整理 - 簡易アドバイス(3万~5万円)
周辺相場レポート+増額拒絶テンプレートの提供 - 継続賃料鑑定評価(15万~30万円)
鑑定評価書+交渉シナリオ+弁護士連携をセット - 交渉・調停フォロー
代理人(弁護士)と二人三脚で適正賃料へ着地
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 鑑定料が高く感じるのですが…
増額幅が月10万円なら年120万円の負担増。鑑定費用を投資して数万円~数十万円の増額に抑えられれば、費用対効果は極めて高いと言えます。
Q2. 高齢で交渉が難しい親の代わりに依頼できますか?
もちろん可能です。委任状により代理人(子ども・ケアマネ・弁護士)と協力しサポートします。
Q3. 民泊・エレベーター停止も賃料交渉に影響しますか?
共用設備停止・用途違反は居住環境の劣化として減額要因。
鑑定評価では修繕費留保率などを調整し数値化します。
まとめ
家賃は「貸主が好きな額を言えば決まる」ものではありません。
借地借家法が守るのは、適正相場と生活の安定です。
今回のようにオーナーが海外投資家であっても、継続賃料鑑定という客観的“ものさし”を提示すれば、交渉の主導権を取り戻せます。
泣き寝入りせず、まずは不動産鑑定士へ相談――それが最も速く、最もコストを抑え、生活を守る近道です。
お問い合わせ
賃料増額・減額交渉、管理不全マンションでお困りではありませんか?
経験豊富な不動産鑑定士が初回相談無料で対応いたします。お気軽にご相談ください。
https://sakk.jp/adex