新築マンション高騰の要因として「外国人購入」が注目される中、国交省が初めて実態調査を公表しました。東京23区で2025年上半期に新築マンションを買った海外居住者の比率は3.5%。一方で、オラガ総研・牧野氏は「統計が捉えるのは一部に過ぎず、局所的には外国人比率が高い物件もある」と指摘。さらに「中国人の爆買いはピーク越え、今後は売り手に回るリスク」「2026年は金利上昇で右肩上がり相場が終わる可能性」との見方を示しました。
出展:MSN(ロイター転載)「中国人の不動産「爆買い」ピーク越え、今後は売り手に? 2026年は金利で転換点」(2025/11/11)
1. この記事が言っていること(やさしく要約)
- 国交省の統計では、海外居住者の新築購入比率は3.5%。ただし名義貸し等は捕捉できず、局所的に高比率の物件もある。
- 中国の不動産不況で資金繰り悪化 → 日本の物件を売る動きが出始めているとの指摘。
- 円高転換時には、為替差益狙いの売りが強まる可能性。
- 短期売買(1年以内)の多くは日本人。若手富裕層の投資的“回転売買”が価格を押し上げた面も。
- 2026年は日銀の利上げで住宅ローン金利が上がり、価格調整が進む可能性。湾岸など一部では在庫増・買い希望減のサイン。
2. 不動産鑑定士の見解:何をどう受け止めるか
(A)数字の読み方
3.5%は「海外住所の人」の購入比率です。在日外国人の購入は統計では分かりにくく、また特定エリア(都心・湾岸・タワー・高額帯)に限ると、外国人比率が高いケースは実務でも見受けられます。つまり、全体は小さく、局所は大きいと理解するのが妥当です。
(B)需給の変化
中国発の売り圧力、円高への転換、国内の金利上昇が重なると、高額帯や投資色の強いエリアから価格の調整が先行しやすい。一方で、実需が厚い駅近・管理良好のファミリー物件は粘りやすい。市場は二極化へ向かいます。
(C)短期売買の実像
この数年、国内の回転売買(新築~引渡し後短期売り)が相場を押し上げた面があります。引渡し前の転売禁止などのルールが広がれば、過度な加熱は収まり、価格形成は落ち着く方向です。
3. これから動く人の「やることリスト」
買う人(自用)
- 金利ストレス試算:金利+0.5%/+1.0%でも返済+税・管理修繕の合計が手取り25~30%内か。
- 出口可能性:賃貸でも売却でも良い立地・間取りか。周辺の成約事例・在庫日数をチェック。
- 管理力:マンションは修繕積立金の水準・長期修繕計画の健全性が資産価値の要。
売る人
- 適正価格の初期設定:在庫増・金利上昇で買い手が選別に。図面・履歴・性能報告を整えてスピード成約を狙う。
- 期限の設計:ローン承認・引渡しまでのリードタイムを長めに見ておく(審査厳格化の可能性に備え)。
投資・セカンドホーム
- NOIを保守的に:空室・賃料下振れ・修繕費上振れを織り込む。LTVは抑え、DSCR1.2~1.3倍以上を目安に。
- 為替も見る:円高局面は海外投資家の売り圧力に。高額帯・湾岸・タワーは需給を要注視。
4. よくある誤解を正す(短く)
誤解1:「外国人が価格を全部上げている」
事実:全体比率は小さい。一方、局所的に効く物件は確かにある。地域・物件ごとに見るのが正解。
誤解2:「金利が上がればすぐ暴落」
事実:影響はエリア・価格帯で違う。実需の厚い立地×管理良好は粘る。投資色の強い部分から調整が入りやすい。
5. まとめ
外国人購入は市場全体では一部ですが、局所的に価格を動かす力を持つ場面があります。さらに2026年に向け、金利・為替・中国景気という外部要因が重なる可能性あり。だからこそ、私たちが取れる最善策は、金利ストレス試算、出口可能性、管理力の3点を数字で確認し、現地の成約データで裏付けること。これが、どんな相場でもブレない不動産選び・売却の近道です。
出展:
MSN(ロイター転載)「外国人購入の実態と今後のリスク(牧野氏インタビュー)」(2025/11/11)

