不動産の価格は、一物四価という言葉で表現されることがあります。これは、「地価公示価格」「地価調査基準値価格」「相続税の路線価」「固定資産税の路線価」という4つの公的な指標を指します。
さらに、「売買の成約価格」を含めて一物五価と呼ぶことも。しかし、実際に不動産を売買したり、税務・法務上の問題を解決したりするとき、この公的指標だけでは当事者双方を納得させられない場合が多いのも事実です。
ここで活躍するのが、不動産鑑定評価の専門家である不動産鑑定士です。一物五価のいずれとも違う、問題解決に役立つ価格を示すことで、スムーズな合意形成をサポートします。
不動産鑑定士が評価する価格はどこに位置する?
「地価公示価格」や「固定資産税評価額」など、公的な指標はそれぞれ独自の目的で設定されたものです。
- 地価公示価格や地価調査基準値価格は公的な指標としての役割
- 相続税・固定資産税の路線価は税金計算のための基準
- 売買の成約価格は市場動向に直接反映
しかし、不動産鑑定士が提示する鑑定評価額は、いずれの価格指標にも必ずしも一致するわけではありません。
鑑定評価では、不動産鑑定評価基準に則り、客観的・専門的な手法を用いて、一物五価とは別次元の価格を算出するのです。
なぜ不動産鑑定評価が「問題解決のための価格」になるのか
不動産鑑定士の示す鑑定評価額は、単なる数値だけでなく、問題解決に役立つ“納得感のある価格”を提供します。その理由は以下の通りです。
1. 細かな要因を反映する専門的アプローチ
不動産鑑定士は、個別要因(立地、道路付け、建物の構造、築年数、権利関係など)や地域特性(需要と供給のバランス、再開発計画など)を調査し、客観的データに基づいて評価額を算定します。
公的指標には表れない細かな条件を踏まえて価格をカスタマイズできるのが、問題解決に直結する大きな強みです。
2. 当事者双方が理解しやすい根拠を示す
不動産鑑定評価書は、「なぜその価格になるのか」を丁寧に説明した報告書です。
- 複数の評価手法(取引事例比較法、収益還元法、原価法など)の使い分け
- 事例選定や補正の理由
これらを明確に示すことで、当事者双方が理解しやすく、合意形成をスムーズにします。
3. 裁判所や税務当局などでも強い証拠力
不動産鑑定士が作成する鑑定評価書は、裁判所や税務調査の場面でも公的に認められる証拠書類としての力を持っています。
・遺産分割や共有物分割での価格交渉
・借地借家問題や境界紛争での価格算定
これらのケースで、高い客観性と公的裏付けがある評価は、解決への大きな後ろ盾となります。
鑑定評価を依頼するタイミング
不動産鑑定評価の専門家である不動産鑑定士に依頼すべき典型的なケースを挙げてみます。
1. 売買交渉で価格差が埋まらないとき
売り手と買い手が公的指標や感覚に頼った価格設定をすると、意見のズレが大きくなる場合があります。
鑑定評価額を基に交渉すれば、根拠が明確になり、お互いが納得できる合意点を探りやすくなります。
2. 相続・離婚などの財産分割
相続税計算で用いる「路線価」と、実際の市場価値は必ずしも一致しません。
相続人や当事者同士で公平感を持たせるには、不動産鑑定評価により、個別要因を詳しく反映した価格を提示するのが有効です。
3. 係争や調停、税務調査への備え
紛争や調停、税務上の問題が起きる前に、中立な専門家による評価を得ておけば、事前のリスク回避と解決策の準備が可能になります。
まとめ
不動産には一物五価とも言えるさまざまな指標がありますが、どの指標も目的や前提が異なるため、単純に比較しても問題解決に至らないケースが多いのが実情です。
- 公的指標はあくまで特定の用途のために設定されたものである
- 実際の取引や紛争解決では、客観性と柔軟性を兼ね備えた「鑑定評価」がカギ
- 不動産鑑定士は、問題解決に資する納得できる価格を提示する
不動産で困ったことがあれば、ぜひ不動産鑑定評価の専門家である不動産鑑定士に相談してみてください。公正な基準と多角的な分析によって、スムーズかつ円満な合意形成をサポートいたします。
お問い合わせ
不動産鑑定評価でお悩みではありませんか?
経験豊富な不動産鑑定士が無料でご相談を承ります。
どんな些細な疑問でも、お気軽にご連絡ください。
https://sakk.jp/adex