近年、M&A(企業の合併・買収)の現場で不動産が大きな注目を集めています。
例えば、企業が保有するオフィスビルや工場用地などの不動産資産が、M&A時に重要な価値評価の対象となるケースが増加中。また、投資会社やファンドが企業と不動産を一体で取得し、その再編を行うことも少なくありません。
このような状況の中、法人の財務担当者や経営企画部門としては「不動産の扱いをどうすればいいのか?」という課題に直面することが多いでしょう。そんなとき、不動産の専門家である不動産鑑定士の意見が大きな助けとなります。
なぜ不動産M&Aが注目されるのか
企業M&Aでの不動産活用には、以下のようなポイントが存在します。
1. バランスシート上の含み益・含み損の洗い出し
企業が保有する不動産は、帳簿価格や税務上の評価と、実際の時価がかけ離れていることがあります。
M&Aの際に不動産の時価を正しく把握しないと、譲渡益や譲渡損の評価を誤る可能性があり、最終的なディールの価格交渉や財務リスクに大きく影響します。
2. 事業再編における不動産の有効活用
被買収企業や統合後の企業が保有するオフィスビル、物流拠点などの不動産を「どう再配置するか」「売却やリースバックするか」などの戦略的選択がM&A成功の鍵となります。
正確な不動産価値を把握することで、資金調達や事業効率化をスムーズに進められるのがメリットです。
3. 投資ファンドによる積極的な関与
不動産M&Aでは、投資ファンドや海外投資家が企業ごと買収し、不動産を再開発やリノベーションする事例も増えています。
こうした投資スキームでは不動産の収益力をしっかり評価し、将来的な売却や賃貸のシナリオを描く必要があり、専門的な不動産鑑定が欠かせません。
不動産鑑定士に相談するメリット
では、実際にM&Aの現場で不動産鑑定士を活用すると、どのような利点があるのでしょうか。以下に主なポイントをまとめます。
1. 財務・会計面でのリスク低減
不動産鑑定士は、不動産鑑定評価基準という公的ルールに基づき、客観的な評価額を算定します。
例えば、買収価格や譲渡価額の根拠として公的信用度の高い報告書を提示できるため、監査法人や税務当局への説明が円滑になります。
結果的に、財務リスクやコンプライアンス面での不安を大幅に軽減できます。
2. 交渉材料としての強力なエビデンス
M&A交渉では、不動産価値がディール全体の価格を左右するケースが多いです。
不動産鑑定士の評価書があれば、「なぜこの価格なのか」を数値と理論で説明できるため、売り手・買い手双方の理解を得やすく、交渉の説得力が増します。
3. 事業戦略に合わせた再開発・再配置アドバイス
不動産鑑定士は価格算定だけでなく、事業再編や再開発の観点でアドバイスを行うことも可能です。
例えば「オフィスを郊外に移転してコストダウン」「余剰地を売却して資金を設備投資に回す」など、企業が抱える不動産をどう有効活用するかの方向性を示してくれます。
まとめ
不動産を含むM&A案件は、企業価値や財務戦略に大きなインパクトを与えます。
- 不動産鑑定士は、公的ルールに基づく客観的評価を提供し、リスク低減と交渉力強化をサポート
- 財務担当者や経営企画部門が不動産価値を正しく把握することで、M&Aの成功確率が高まる
- 再開発や資産売却などの事業再編でも、不動産鑑定士の知見が強力な武器に
もし、不動産を含むM&Aを検討しているなら、ぜひ不動産鑑定士にご相談ください。企業の財務戦略と不動産の可能性を最大化するうえで、専門的な評価とアドバイスがお役に立つはずです。
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