国土交通省から発表された最新の地価公示価格によると、東京都内の区部では地価の上昇が続いているとのこと。
このように地価が上がっている局面で、不動産会社が「老朽化したビルは早く売りましょう」とオーナーに声をかけるケースが増えています。一見魅力的な提案に思えますが、焦って売却してしまうと本来得られるはずの利益を逃す可能性も。
また、急にテナントに退去を迫られ、「このままでは営業が続けられない…」と不安を抱えている方もいるかもしれません。
そこで注目したいのが、不動産の専門家である不動産鑑定士への相談です。以下では、その理由をわかりやすく解説します。
なぜ地価上昇期は強引な取引が起こりやすいのか?
地価が上がっている時期には、「今が売り時!」と囁かれる一方、実際には物件の本当の価値や周辺再開発の計画などを把握しきれないまま、オーナーが安値で売ってしまうケースが後を絶ちません。
また、テナントに対しては、
「建物老朽化のため、すぐ出て行ってください」
と一方的に告げられ、適切な補償や立ち退き料が支払われない状況も起こりがちです。
こうした不十分な情報や強引な勧誘が蔓延しやすいのが、地価上昇期の特徴といえるでしょう。
不動産鑑定士を活用するメリット
では、強引な取引に流されず、公正な価格や適切な権利関係を守るために、不動産鑑定士が果たす役割を見てみましょう。
1. 物件の「本当の価値」を客観的に知る
地価が上がっているからと言って、目の前の提示価格が妥当かどうかは別問題です。
不動産鑑定士は、市場動向だけでなく、建物の老朽度や法的制限、再開発の可能性などを包括的に分析し、適正価格を算出します。
「実はもっと高値で売れる」「いま売らずに建て替えやリノベを考える方が有利」といった提案が受けられるかもしれません。
2. オーナーとテナント双方の意見を整理
老朽化ビルの所有者とテナントの間では、立ち退き問題が大きな争点となりやすいです。
不動産鑑定士は、立ち退き料や継続賃料の査定も専門領域として扱っており、公正な評価を示すことが可能。
これによって、「テナントがどのくらい補償を受けるべきか」「今の家賃や敷金、退去条件は妥当か」など、対立を数字で解消する道筋が見えてきます。
3. 交渉や調停での有力なエビデンスに
不動産の取引や立ち退き交渉がうまくいかず、裁判や調停にまで発展するケースもあります。
その際、不動産鑑定士の鑑定評価書は、裁判所が信頼を置く公的資料としての力を発揮。
「不動産会社の査定書」とは異なり、不動産鑑定評価基準に基づく客観性の高い資料であるため、交渉における説得力が格段に増します。
急いで売らず、まずは「正しい情報」を得ることが大切
地価が上昇しているからといって、目先の“高く売れそう”というイメージだけで判断するのはリスクが高いもの。
老朽化しているビルであっても、再利用やリノベーションによりさらに価値を高める方法があるかもしれません。
また、テナントとの契約状況次第では、補償額や立ち退き条件にもっと有利な交渉ができる可能性も否定できません。
まとめ
東京都心の地価上昇期には、「一刻も早く売るべき!」と急かしてくる不動産業者がいる一方、本当の価格や将来の可能性を知らないまま契約してしまうと、後で損をするリスクが高まります。
・不動産鑑定士なら、建物の老朽化や周辺相場を踏まえた真の価値を算定可能
・オーナー・テナント双方にとって、立ち退き交渉や賃貸条件を数字でクリアにできる
・裁判所や調停でも通用する公的証拠として、不利な取引を回避
地価上昇期に踊らされず、安心してビルを活用・売却・交渉するためにも、ぜひ不動産鑑定士に相談してみてください。
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