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2026年1月7日

小さく始めて、濃く稼ぐ。「狭小店舗」ブームをどう活かす?――賃料・立地・法規・収益の勘所(不動産鑑定士の見解)

 

地価高騰と人手不足のなか、3坪前後の狭小店舗が注目されています。賃料負担を抑え、1人運営(ワンオペ)で品質と接客に集中できる点が支持され、“人との距離が近い”体験価値も人気の追い風です。駅前のATM跡地など極小区画の活用も広がっています。
出展:テレビ朝日「狭小店舗が人気 地価高騰と人手不足の時代に合致 賃料抑え1人で切り盛り」(2026/1/7)

 

1. なぜ「狭小店舗」が今フィットするのか

  • 固定費が軽い:賃料は面積に比例。下北沢周辺で月6~8万円程度のケースも(記事より)。光熱費・内装費も小ぶりで済む。
  • 人手不足に強いワンオペで回せる動線とメニューに絞り、給与コストと採用リスクを最小化。
  • 体験価値で差別化:カウンター6席など、店主と客・客同士の距離が近い“濃い接客”がリピーター化を後押し。
  • 供給余地:キャッシュレス普及でATM店舗の撤退跡など極小区画が市場に出始めた(記事内識者コメント)。

 

2. 不動産鑑定士の見解:成功のカギは「地点力×業態適合×法規」

地点力(立地)が弱いと、固定費が安くても集客が足りません。反対に、地点力が強い場所でも業態適合(回転・客単価・準備動線)が噛み合わないとロスが出ます。さらに見落とされがちなのが法規適合。用途地域・建築・消防・保健の最低条件が満たせないと営業そのものができません。

 

3. 借りる前に絶対チェック(法規・設備・契約)

  • 用途地域/建築確認:飲食可か(近隣商業・商業がベター)。用途変更が要る場合の可否。
  • 保健所:飲食営業許可に必要なシンク(2槽)・手洗い・給排水・床材などの要件、換気量。
  • 消防:消火器、誘導灯、火気使用時のダクト・防火区画、席数・通路幅。
  • 電気容量・給排水:エスプレッソマシン・IH・冷蔵庫が同時稼働できるか(電気契約容量を必ず確認)。
  • 臭気・騒音対策:ダクト経路、脱臭設備、近隣住戸有無。苦情対応の想定。
  • 賃貸条件飲食可の明記、造作の扱い(買取・原状回復)、短期違約金、看板設置可否、前面の占用(立看・行列)のルール。

 

4. 3坪の「勝ち筋」レイアウトとメニュー設計

  • 一直線動線:入口→注文→提供→退出を干渉なく。カウンター集中で往復歩行を減らす。
  • 水場の最短化:シンク・手洗い・下げ場を1歩圏に。洗浄→乾燥→保管の衛生導線を崩さない。
  • 熱源・臭気の分離:火気使用なら客席との距離、IHや低臭調理への置き換えを検討。
  • メニュー最適化:品数を絞り、仕込み集中→提供回転を上げる。客単価×回転で日販を作る。

 

5. “極小でも回るか”を数字で試算(簡易PL)

例:月商の目安=客単価1,200円 × 席6 × 回転3回 × 25営業=54万円
固定費:賃料8万円/共益1万円/水光熱5万円/通信1万円/消耗品2万円=17万円
原価率35%なら原価19万円、その他雑費を見て、営業利益(=月商-原価-固定)約18万円
※実際は初期内装・保証金・機器リース・決済手数料・人件費(補助アルバイト)も加味。目安は月商=固定費の3倍を一つの基準に。

 

6. 借りる・買うオーナーのための「立地見極め」チェック

  1. 人流データ:昼夜・平日休日の歩行量(自分の目+オープンデータ)。
  2. 同質店舗の分布:競合の強さ×不足ニーズ。被りは差別化で勝てるか。
  3. 前面の可視性:階段下・路地奥でも視認トリック(色・照明・看板)で拾えるか。
  4. 近隣関係:住居・テナントの属性、臭気・行列クレームの感度。

 

7. ATM跡地など「極小区画」をどう活かすか

  • サービス販売(スタンド日本茶・コーヒー・ジェラート・立飲みなど)で回転×高粗利を狙う。
  • 物販は在庫の外部保管(近隣ストレージ)とセットで。EC連動で単価を補強。
  • テイクアウト中心なら客席最低限外の居場所(ベンチ・共用空間)を上手に使う。

 

8. よくある落とし穴(回避策付き)

  • 給排水が弱い:床上配管・小型グリストラップ・給水加圧で補う。ただし保健所協議は必須。
  • ダクトが出せない低臭メニューや電化調理へ切替。強力脱臭機を選定。
  • 原状回復の想定違いスケルトン戻し範囲を契約で明確化。写真記録を保管。
  • 行列トラブル整列導線の示図を掲示、近隣説明を事前に。

 

9. まとめ:小さく借りて、濃く設計する。法規と数字が“効率の良い繁盛”をつくる

狭小店舗は、小さな固定費×濃い体験価値で時代に合ったモデルです。成功の分岐は、立地の見極め法規の適合回る動線とメニュー、そして固定費3倍の月商目安を満たす数字設計。小さく始めて育てるために、現地で測り、所管(保健・消防)と早めに協議し、契約条項をクリアに――これだけで、リスクは大きく減らせます。

 

出展:
テレビ朝日「狭小店舗が人気 地価高騰と人手不足の時代に合致 賃料抑え1人で切り盛り」(2026/1/7)

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