(債権回収・融資時)
金融機関や債権者が融資や債権回収を行う際、担保となる不動産の評価は非常に重要なポイントです。担保不動産が適正に評価されていなければ、過度に多いまたは少ない融資を行ってしまうリスクがあり、債権者・債務者の双方にとって大きな不利益となり得ます。
こうしたリスクを回避し、債権保全や融資審査を円滑に進めるために、有効なのが「不動産鑑定士」の専門知識を活用すること。ここでは、弁護士・税理士・金融機関担当者・その他債権者の皆様が、不動産鑑定士を利用する具体的なメリットをご紹介します。
不動産鑑定士が担保評価で果たす役割
不動産鑑定士は、不動産鑑定評価基準に基づき、客観性・公平性を重視した正当な価値評価を行う国家資格者です。担保評価の現場では、以下のような専門的知見が大いに役立ちます。
1. 適正な担保評価額の算定
担保不動産の評価額が高すぎると、金融機関は過度な融資を行ってしまい、不良債権化するリスクが高まります。逆に低すぎれば、本来よりも低い融資額しか借りられず、債務者の事業計画に支障を来すことがあります。
不動産鑑定士は、立地・建物の物理的状況・法的制限などを総合的に分析し、実勢価格や将来性を踏まえた評価を行うため、適正な担保評価額を算出しやすくなります。
2. 調停・訴訟時にも通用する客観的根拠
債務者が返済を滞った場合など、担保不動産の処分や競売を巡って、調停や訴訟に発展するケースがあります。
このような場面でも、不動産鑑定士が作成する鑑定評価書は法的手続きにおいて公的な証拠資料として活用できます。弁護士が主張の根拠として示す際にも、客観的・専門的な裏付けがあることで、裁判所や相手方への説得力が高まります。
3. 税務上のトラブル回避
債権回収の過程では、相続税や譲渡所得税など、不動産関連の税務問題が絡む場合が少なくありません。
不動産鑑定士の評価があれば、税理士と連携して課税価格を調整する際の根拠としても活用できます。
結果として、過大な納税リスクや税務当局との揉め事を回避することが期待できるのです。
具体的な活用シーンとメリット
弁護士・税理士・債権者などが不動産鑑定士の知見を活かすことで、以下のような具体的メリットを得られます。
ケース1:事業融資の審査
新規融資や既存融資の見直しに際して、不動産を担保とする場合は、担保価値が正しく把握されているかどうかが融資リスクを大きく左右します。
不動産鑑定士の評価報告書を取得しておけば、融資担当者はより正確なリスク評価を行い、無理のない融資条件を提示しやすくなります。
ケース2:根抵当権の設定・変更
既に根抵当権が設定されているが、追加融資や担保条件の変更を検討する場合、担保余力を判断するために不動産の再評価が必要となることがあります。
不動産鑑定士が最新版の評価を提示することで、担保余力を正確に測定し、権利設定の見直しを円滑に進められます。
ケース3:強制執行・競売手続き
債務者が返済不能となり、強制執行や競売に踏み切らざるを得ない場合、不動産の「適正価格」を押さえておくことが大切です。
競売にかけるよりも、不動産鑑定評価による任意売却を検討した方が有利な結果を得やすいケースもあるため、回収額の最大化という観点で不動産鑑定士の意見は有益です。
まとめ
担保不動産の価値評価は、融資リスクや債権回収の成否を左右する重大な要素です。
・不動産鑑定士による適正な価値評価は、過大・過小評価を防ぎ、リスク管理に直結
・弁護士や税理士と連携することで、法的手続きや税務対応の根拠資料として有用
・競売や任意売却のシーンでも、回収額最大化のための指針を示してくれる
金融機関、企業の経営者、弁護士、税理士など、さまざまな立場の方が不動産鑑定士を活用することで、担保不動産に関わるリスクを最小化し、最良の結果を得ることが可能となるでしょう。
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