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2026年1月5日

東京都の「アフォーダブル住宅」—家賃2割安・約300戸の官民ファンド、何ができて何が課題か(不動産鑑定士のやさしい見解)

 

東京都が官民ファンドで住宅を購入・改修し、子育て世帯などに相場より2割安の家賃で貸す「アフォーダブル住宅」事業が動き出しています。都は100億円出資(総額200億円超)、運営事業者候補に野村不動産、SMBC信託銀行など。築古戸建てや空き家も活用し、2026年度以降に入居開始の見通しです。
出展:TOKYO MX「東京都が住宅を購入し子育て世帯などに安価で提供、家賃は2割安…都が推進する“アフォーダブル住宅”に注目」(2025/12/22)

 

1. 事業の中身(かんたん整理)

  • 都が官民ファンドを通じて戸建て・マンションを取得(中古・空き家も活用)し、子育て世帯などに賃貸。
  • 家賃は市場相場の約2割安。例:23区ファミリー平均24.96万円 → 2割安でも約19.97万円(記事の試算)。
  • 初期規模は200億円超・約300戸。入居開始は2026年度以降
  • 改修事例:参画候補の不動産会社が築43年戸建てを全面リフォーム(内装更新、キッチン交換、屋根防水、階段手すりの安全配慮、角の面取りなど)。

鑑定士メモ:新築建設よりストック活用(中古・空き家再生)を組み込む点は、コストとスピードの両面で合理的です。

 

2. 何が期待できる?(メリット)

  • ターゲットが明確:子育て世帯の通学・買物圏に近い既存ストックを再生して供給。
  • 住戸の安全・機能向上:築古でも、水回り更新・断熱改善・防水・安全配慮で暮らしの質を底上げ。
  • 空き家対策にも寄与:放置されがちな空き家の再流通・資産化を後押し。

 

3. どこが課題?(正直な論点)

  • 規模の小ささ:初弾は約300戸。都営住宅の入居資格がある「住宅困窮世帯」は約69万世帯とされ、足元の需要には全く追いつかない。
  • 家賃の“2割安”でも高い:家賃水準が高いエリアでは、2割下げても20万円前後。低所得層には届きにくい。
  • 継続性と運営力:物件選定・改修品質・管理・更新まで、官民が地道に積み上げる体制が不可欠。

ポイント:この事業は「即効薬」ではなく、モデル構築(型づくり)としての意味合いが大きい。良い事例を積み増せるかが勝負です。

 

4. 応募を考える人のチェックリスト

  1. 入居要件:世帯年収・年齢・子どもの人数・勤務地域などの条件、優先順位の有無。
  2. 家賃水準と総額:家賃2割安に加え、敷金・礼金・更新料・共益費・保険の合計負担。
  3. 改修内容:断熱(窓・断熱材)、水回り更新、屋根防水、配管健全性、安全配慮(階段・手すり・段差解消)。
  4. 立地と生活圏:通学路の安全、学校・保育・医療・スーパー、雨の日の徒歩ルートも実地確認。
  5. 運営窓口:故障・修繕の受付、レスポンスSLA(目安対応時間)、多言語対応の有無。

 

5. オーナー・売主にとってのチャンス

  • 流通困難な築古・空き家の出口:行政系ファンドの買い取り・賃貸化は再生の近道。適法性(建ぺい・接道・用途)・構造健全性の資料を揃えて相談を。
  • コスト最適化の改修:水回りの更新、内窓等の断熱、屋根・外壁の防水、安全配慮を優先。写真・保証書を残し、見える価値に。

 

6. 中長期の処方箋(鑑定士の見解)

  • 供給のスケールアップ:官民ファンドを積層化(複数基金)し、地方公共団体や企業年金、金融機関の資金を呼び込む。
  • 使い分け:2割安の中間所得層向けと、より安い低所得層向け(家賃補助・住宅扶助連動)を併走。
  • ストック横断のデータベース:空き家・中古・耐震・断熱・修繕履歴の標準化された情報公開で、選定と改修の生産性を向上。

 

7. まとめ:これは“はじまりの300戸”。数字と現地で、賢く活用を

アフォーダブル住宅は、家賃高騰の局面で実需を支える新しい器です。ただし、当面は規模も家賃水準も「足りない」。だからこそ、良い事例を積み上げて拡大できるかがカギ。申込みを考える方は、入居要件・家賃総額・改修の質・生活圏を数字と現地で丁寧に確認してください。所有者・オーナーは、適法性と性能の見える化を揃えて、一緒にストック活用の輪に加わりましょう。

 

出展:
TOKYO MX「東京都が住宅を購入し子育て世帯などに安価で提供、家賃は2割安…都が推進する“アフォーダブル住宅”に注目」(2025/12/22)

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