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「生産緑地で宅地化を制限されるのでは?」
生産緑地制度は、都市部に残る農地を長期的に確保し、緑地帯として維持するための特別措置です。相続税・固定資産税の優遇を受けながら、将来の売却・解除にも備えられる仕組みがポイント。本稿では、制度の成り立ちから指定要件、メリット・デメリット、申請・解除手続きの流れまで、不動産鑑定士が徹底解説します。
■ この記事でわかること
- 生産緑地制度の目的と法的根拠
- 生産緑地の指定要件と維持義務
- 税制優遇の内容と条件
- 解除申出・買取請求の手続フロー
- 活用上の注意点とリスク
目次
1. 生産緑地制度の概要
1-1. 制度の目的と法的根拠
1992年に「生産緑地法」が制定され、都市化が進む中で農地を保全し、都市の緑地を確保することを目的とします。指定後は30年間、宅地転用が制限され、農業継続が義務付けられます。
1-2. 制度の沿革
都市計画法との連携で開始され、2019年の30年期限到来に伴い、多数の農地が制度から解除されることで注目を浴びています。
2. 指定要件と維持義務
2-1. 指定要件
面積50㎡以上の市街化区域内農地が対象。市区町村長が審査し、農地の利用状況・土地利用計画への適合性を確認して指定します。
2-2. 維持義務
農地としての作付け・緑地管理を継続し、転用・貸借・売却の制限下で経営継続表の提出などが義務となります。
3. 税制優遇の仕組み
3-1. 相続税・贈与税の猶予
指定後は相続税評価額の100%を、10年間(延長可)猶予。農業継続を条件に税負担を先送りできます。
3-2. 固定資産税の軽減
宅地並み課税率の1/6が適用され、固定資産税負担を大幅に軽減できます。
4. 解除・買取請求の流れ
4-1. 解除申出の手順
指定30年経過後、土地所有者は市区町村に解除申出書を提出。農地転用許可の申請と同時に行います。
4-2. 買取請求制度
市区町村に対し、農地を公的価格(評価額)で買い取りを請求できます。請求後6か月以内に協議し、合意なき場合は裁定機関が価格を決定します。
5. 活用上の注意点
5-1. 指定期間中の転用制限
指定解除前の転用は禁止され、違反した場合は過料や税の追徴課税リスクがあります。
5-2. 相続発生時の負担
相続時に複数相続人で継続経営が困難な場合、解除・買取請求を検討せざるを得ず、事前の代償分割プランが重要です。
6. ケーススタディ
事例:市街化区域の生産緑地(200㎡)を相続
相続人2名で継続経営が困難なため、30年経過後に買取請求を行い、市区町村にて8,000万円で買取決定。固定資産税・相続税負担を大幅に軽減しつつ、現金化に成功。
7. ADEXの専門支援
アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社は、生産緑地の指定申請支援、税制優遇シミュレーション、買取請求手続代行までワンストップで提供します。
- 生産緑地法に精通した専門チーム
- 相続・事業承継プランとの連携提案
- 全国対応のオンライン相談
8. FAQ(よくある質問)
Q1. 生産緑地はいつでも指定申請できますか?
原則として年1回の申請期間があります。市区町村の募集要領を確認してください。
Q2. 継続経営が困難な場合、どうすべきですか?
相続前に代償分割や事業承継プランを策定し、買取請求までの流れを含めて専門家に相談しましょう。
Q3. 指定解除後も税優遇は受けられますか?
解除後は通常の宅地評価となり、生産緑地の税優遇は適用されません。
9. まとめ
生産緑地制度は都市農地の保全と税負担軽減を両立する有効策です。指定要件・維持義務を理解し、解除・買取請求のタイミングや相続対策を専門家とともに検討して、最適な活用プランを策定しましょう。
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