この記事の結論
国庫帰属土地の「最大93%評価減」は、一定の条件の下で国が土地を売り払う際の評価の仕組みです。相続した私有地の価格や、申請者の負担金が一律93%減る制度ではありません。取引条件の修正と、買受要望に応じた市場修正を区別します。
ADEX / 不動産鑑定の知識
この記事の結論
国庫帰属土地の「最大93%評価減」は、一定の条件の下で国が土地を売り払う際の評価の仕組みです。相続した私有地の価格や、申請者の負担金が一律93%減る制度ではありません。取引条件の修正と、買受要望に応じた市場修正を区別します。
財務省は2026年6月に、帰属後の土地の管理・処分や評価に関する取扱いを整えました。見出しの割引率だけで判断せず、どの土地の、どの段階の価格を指すのかを確認しましょう。

相続土地国庫帰属制度の申請・審査と、国庫に帰属した後に財務局等が土地を処分する手続は別です。財務省の取扱いでは、取得等の要望を受け付け、隣地所有者等への随意契約や、一定の場合の現状有姿の売払いを認めています。通常の処分が適当な土地、複数の買受要望がある場合などで取扱いは異なり、すべての帰属土地を同じ率で安く売る仕組みではありません。
6月の審議会資料では、調査省略や責任分担などの取引条件を反映する修正を標準で30%減、残価率70%としています。さらに買受要望等がない場合の市場修正を段階的に行い、その残価率の下限は10%です。この二つを組み合わせると、修正前100に対して100×70%×10%=7となり、93%減に相当します。単に毎回の直前価格へ7%を掛けて下げる計算ではありません。
現行の国有財産評価基準では、一般取得等要望の受付終了後、取引修正を考慮した参考価格の公表から3か月経過後を市場修正の最初の区切りとし、その後も修正価格の公表から3か月ごとの条件を定めています。要望がないこと等を確認する仕組みで、相続した日から一定期間待てば誰でも下限価格で買えるわけではありません。購入を検討する場合は財務局の個別公告、現地の状況、境界・埋設物等の調査範囲と契約条件を確認します。
| 段階 | 確認すること | 93%減との関係 |
|---|---|---|
| 帰属申請前 | 申請資格、土地の状態、費用、売却等の代替案 | 私有地の市場価格へ一律適用しない |
| 帰属の審査・負担 | 法務局が案内する承認要件・負担金 | 負担金を93%減らす制度ではない |
| 帰属後の売払い | 売払い方法、参考価格、要望の有無、修正条件 | 一定の評価手法と条件の下での価格修正 |
判断できません。調査の省略や契約上の責任分担、利用制限、測量・整備等の負担も確認する必要があります。購入額だけでなく、利用可能性と総費用を比べます。
本記事の価格修正の仕組みから、申請前の鑑定を一律に必須とすることはできません。法務局に必要資料を確認し、売却・保有等と比べるために価格分析が必要かを判断します。
参考資料・確認日:2026年10月15日
資料の確認手順や比較表は当社による実務上の整理です。個別案件では、契約・資料・適用制度に応じた確認が必要です。
記事の制度・市場情報は、本文で示した時点と条件に基づきます。個別物件の評価では、依頼目的、価格時点、権利関係と資料の確認が必要です。鑑定評価の業務と進め方もご覧ください。
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