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「再開発で立ち退きを求められたが、何から始めればいいのか分からない…」
都市再開発プロジェクトは魅力的な街づくりを相続させる一方で、既存住民や事業者には立ち退きという難題を突きつけます。本稿では、都内の再開発における立ち退き手続きを法的枠組みから補償交渉、実務ポイント、事例まで網羅的に解説します。
■ この記事でわかること
- 再開発と立ち退きの基本構造
- 都市再開発法・土地区画整理法の適用範囲
- 立ち退き補償の種類と計算方法
- 交渉―合意形成のステップ
- 代替地提供・移転支援のポイント
- 事例:都心部再開発での立ち退き交渉
- FAQ&チェックリスト
目次
1. 再開発と立ち退きの基本
1-1. 再開発の種類とスキーム
都内再開発は主に「市街地再開発事業」「土地区画整理事業」「地区計画による一体的開発」の3類型。事業主体(区市町村・民間都市再開発組合等)により手続きや立ち退き要件が異なります。
1-2. 立ち退きの法的位置づけ
都市再開発法や土地区画整理法では、公共的な事業の円滑化を図るため、一定の要件を満たせば収用に準ずる権限が認められています。ただし、事前協議・合意形成が原則です。
2. 法的枠組みと手続き
2-1. 都市再開発法の適用
再開発組合が権利変換計画を策定し、東京都の認可を受けることで、事業区域内の権利者は権利変換参加組合員となり、原則同意が得られない場合は換地処分で保護されます。
2-2. 土地区画整理法の適用
区画整理では事業計画に基づく保留地設定と交換補償が行われ、地権者は新たな宅地利用権を得る代わりに立ち退く仕組みです。
2-3. 権利変換と仮換地指定
仮換地指定から本換地処分までの間、立ち退き補償金および賃借人への賃料補填が行われ、仮換地使用承諾で移転負担が軽減されます。
3. 補償の体系と算定方法
3-1. 補償金の内訳
補償金は「直接補償」(建物・営業補償・移転費用)と「間接補償」(移転先造成費負担・賃料差額補償)に分かれます。
3-2. 建物補償と営業補償
建物は再築価額を基準に減価償却を考慮。営業補償は事業継続困難による逸失利益を算定します。
3-3. 移転先確保支援
移転先の賃料上昇分や引越費用を換算し、「移転補償」として別途支給。都心部では相場差が大きくなるため要注意。
4. 交渉・合意形成の実務
4-1. 事前説明会の開催
再開発組合・区市町村は事業計画説明会を複数回開催。書面だけでなく、個別面談で疑問・要望を吸い上げることが求められます。
4-2. 合意形成のプロセス
①権利変換説明 ②個別ヒアリング ③補償案提示 ④仮契約 ⑤本契約 のステップで合意を積み重ねます。
4-3. 調整会議の活用
紛争化を防ぐため、第三者である調整委員会を設置し、中立的な立場で助言・調整を行います。
5. 代替地提供・移転支援
5-1. 代替地の位置・規模
同一地区内の代替地提供が原則。面積・用途は従前権利と同等以上を確保します。
5-2. 移転支援制度
仮住まい手配、移転先の設計費用補助、引越一時金など、総合的な移転支援策を組み合わせます。
5-3. 生活再建支援
住民向けにはコミュニティ再構築支援、商店主には事業立ち上げ支援として研修や販路開拓補助を行うケースも。
6. ケーススタディ
事例:港区南部地区再開発
旧・商店街30戸では、権利変換に伴い代替地は同一商店街跡地のロードサイド型テナント区画。移転補償は総補償額3億円、移転支援金100万円/戸、営業補償で月額賃料の2倍を半年間支給。
7. FAQ(よくある質問)
Q1. 任意立ち退きと収用の違いは?
任意立ち退きは合意に基づく解約。収用は事業認可後、裁決により強制的に立ち退きを命じる手続きです。
Q2. 補償金で課税される項目は?
移転費用や代替地提供は非課税。営業補償・営業権譲渡益には所得税が課される場合があります。
Q3. 合意が得られない場合は?
組合は裁決申請により権利変換調停へ移行。裁決に従い権利を換地処分で保護します。
8. まとめ
都内再開発に伴う立ち退きは、法的手続きを理解し、補償・移転支援・交渉プロセスを適切に設計することが鍵です。専門家と連携し、権利保護と街づくりの両立を目指しましょう。
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