【出典】朝日新聞「『二つの拠点で生活する魅力を』二地域居住フォーラム 東京で初開催」(2025年9月26日)
都市と地方の2つの拠点を行き来して生活する「二地域居住」というライフスタイルが、近年注目されています。2025年9月、東京ビッグサイトで「二地域居住推進フォーラム2025」が初めて開催されました。
このフォーラムは、1100以上の自治体や法人で構成される「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム」が主催し、自治体や企業など43団体が参加。空き家のリフォーム、地方移住支援、就農支援など、二地域居住に関するさまざまな取り組みが紹介されました。
「二地域居住」とは何か
二地域居住とは、都市部の住まいと地方の住まいの2つの拠点を持ち、状況に応じて行き来しながら生活するスタイルを指します。
例えば
- 平日は都市部で仕事
- 週末は地方の家で生活
- テレワークを活用して地方滞在を増やす
といった暮らし方です。
講演を行ったシェアリングエコノミー協会の石山アンジュ代表理事は、自身の東京と大分での二拠点生活の経験を紹介し、「地域とのつながりそのものが資産になる」と語りました。
空き家活用との相性が良い
二地域居住が注目される理由の一つが、空き家の活用です。
日本では現在、空き家が約900万戸に達しているとされています。特に地方では、人口減少や高齢化により空き家が増え続けています。
二地域居住は、この空き家を
- セカンドハウス
- 週末住宅
- テレワーク拠点
として活用する可能性を持っています。
実際に栃木県那須町では、二地域居住者向けのスマートフォンアプリを提供し、地域の情報提供や特典制度を通じて移住促進を進めています。
不動産鑑定士として見る「二地域居住」の可能性
不動産市場の視点から見ると、二地域居住は次のような影響をもたらす可能性があります。
- 地方空き家の需要創出
- 都市部の過密緩和
- 地方住宅価格の底上げ
これまで地方不動産は「人口減少=需要減少」という構造の中にありました。しかし二地域居住が広がれば、必ずしも「定住人口」だけが不動産需要を決めるわけではなくなります。
つまり、「利用人口」が増えることで不動産価値が維持される可能性があるのです。
一方で課題も多い
ただし、二地域居住がすぐに広く普及するかというと、まだ課題も多くあります。
- 交通費や維持費などのコスト
- 仕事環境の確保
- 地域コミュニティとの関係
- 医療や教育など生活インフラ
また、地方住宅は老朽化しているケースが多く、購入後にリフォーム費用がかかることも少なくありません。
まとめ
二地域居住は、都市集中が続く日本社会にとって新しい生活モデルとして注目されています。
特に
- テレワークの普及
- 地方空き家の増加
- 都市住宅価格の高騰
といった社会環境の変化を背景に、今後も議論が広がる可能性があります。
不動産の視点から見ると、これは「移住」ではなく居住の分散という新しい需要の形です。
今後、地方の住宅市場や空き家対策にどこまで影響を与えるのか、注目していく必要があるでしょう。

