──収益還元法の還元利回りとの関係を解説
■ ニュースの概要・引用元の紹介
ニュースURL:
日本経済新聞(2025年4月11日)
概要:
2025年4月11日の日経新聞によると、長期金利の代表指標である10年もの国債利回りが一時1.345%にまで上昇しました。これは新年度の動き出しとともに債券市場で国債が売られ、価格が下落した結果とみられます。長期金利が上昇することは、住宅ローン金利や企業の資金調達コストに影響を与えるだけでなく、不動産鑑定評価における収益還元法(還元利回り)の水準にも波及する可能性があります。
■ 不動産鑑定評価の概要
不動産鑑定評価では、大きく「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つの手法があります。そのなかでもオフィスビルやマンションなど収益性不動産の評価で重視されるのが「収益還元法」です。
収益還元法では、投資不動産が生み出す賃料などの純収益(NOI)を、将来的にも安定して得られると想定し、その収益を「還元利回り」(キャップレート)で割り戻して不動産の価格を求めます。
この還元利回りは、一般に「無リスク金利(長期国債の利回りなど)+リスクプレミア」の考え方で算定されることが多いため、長期金利が上昇すれば、「還元利回り」も上昇する傾向があります。
■ 問題点・深刻化する理由
-
1. 投資家の収益率要求水準が上がる
長期金利が上昇すると、国債や預金の金利が高まります。すると、不動産投資家はより高い収益率(=還元利回り)を求めるようになり、結果的に不動産価格の下落圧力が働く可能性があります。 -
2. 金利上昇による借入コスト増
不動産投資や開発プロジェクトでは多くの場合、銀行借入を利用します。長期金利が上がれば借入コストも増えるため、収益性が低下しやすくなります。これも還元利回りを上昇させる要因となります。 -
3. 新年度の投資行動への影響
4月から始まる新年度で、投資家がリスク評価を厳しく見直す時期に重なります。金利上昇のニュースを機に、投資マインドが慎重化すると、高リスク・高コストの不動産案件が敬遠されやすくなります。
■ 不動産鑑定士の視点でみる具体的な対策
「国家資格」を有する不動産鑑定士は、「専門職業家」として不動産の適正価格を導き出すため、長期金利の動向にも注意を払っています。収益還元法における還元利回りの設定には、以下の視点が重要です。
● 1. 無リスク金利の適正把握
還元利回りを算定するうえでの基本的な指標として、長期国債利回りなどを参考にします。今回のニュースのように金利が1%台中盤に上昇してきた場合、収益物件で要求される利回りが従来よりどの程度上がるかを精査し、依頼者にわかりやすく提示する必要があります。
● 2. リスクプレミアの検討
不動産投資には空室リスクやテナントの信用リスク、修繕リスクなど様々なリスク要因が存在します。これらのリスクを考慮して、国債利回りに上乗せするリスクプレミアを設定します。投資家や金融市場の状況、物件の所在地域や用途などにより、リスクプレミアの幅を適切に判断することが大切です。
● 3. 相続や事業承継での適切な評価
相続や事業承継など、時価評価が重要な場面では、不動産鑑定士が算定した還元利回りが直接的に税務上の計算根拠となる場合があります。金利上昇局面では、将来の不動産価格が下がるリスクも考慮し、複数のシナリオで評価を提示することが信頼性向上につながります。
● 4. 市場動向のモニタリング
不動産価格は金利だけでなく、経済成長率やインフレ率、外国人投資家の動向など多面的な影響を受けます。不動産鑑定士は「中立的な立場」で継続的にマーケットを分析し、依頼主に対してアップデートされた情報を提供することで、「不動産の問題解決」に貢献します。
■ まとめ(読者への注意喚起・アドバイス)
2025年4月11日の日経新聞報道では、長期金利が1.345%に上昇したとのことです。金利が上がると、住宅ローンや銀行融資が借りにくくなるだけでなく、不動産鑑定評価の収益還元法で用いられる「還元利回り」にも影響を及ぼす可能性があります。
還元利回りが上昇すれば、不動産価格の下落圧力が強まりやすく、投資家の資金計画や取得判断が見直されるでしょう。とはいえ、不動産価格は金利だけで決まるものではなく、立地条件や不動産の品質、将来的な需要など複合的な要因によって左右されます。
今後の金利動向が不透明な中でも、早めに情報収集を行い、「専門職業家」である不動産鑑定士の意見を取り入れることで、リスクの低減と最適な意思決定につなげていただければ幸いです。
■ 「不動産鑑定評価の依頼のススメ」
不動産鑑定士は、「国家資格」を持ち「中立的な立場」で不動産の価格を評価し、「相続」「事業承継」「投資判断」など様々なシーンで「不動産の問題解決」を支援します。
例えば、
・金利上昇を反映した収益還元法の還元利回りの設定
・投資用不動産の将来価値を踏まえたファイナンス戦略の検討
・相続税や贈与税を見据えた不動産時価評価のアドバイス
など、専門家による丁寧な評価とレポートで安心して資産を活用できます。
金利やマーケット動向を踏まえて不動産戦略を再検討したい方は、ぜひ下記公式サイトにご相談ください。
公式サイト:https://sakk.jp/adex
※本記事は一般的な見解に基づくもので、特定の法的アドバイスを提供するものではありません。
不動産鑑定評価等でお困りの場合は、弊社の相談窓口にご相談ください。