アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社|鑑定評価で不動産の問題を“解決”へと導く

2025年3月13日

IR賃料を巡る不動産鑑定士の中立性を考える 【不動産鑑定評価ならアデックス】

■ ニュースの概要・引用元の紹介

ニュースURL: 共同通信(2024年5月28日)

引用内容:
カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の用地賃料を巡り、大阪市と訴訟で争っている原告団が2024年5月28日、不動産鑑定を担当した鑑定士10人の懲戒処分を大阪府不動産鑑定士協会に請求したと発表しました。原告団は、大阪市による「誘導」によって不当に安い鑑定評価額が算定され、市民の利益を著しく損なう深刻な事態だと主張しています。さらに、この10人とは別に8人の処分を5都県の協会に対し6月中に求める予定であり、今後も不動産鑑定士に対する懲戒請求が拡大する可能性があります。

■ 問題点の把握

今回のニュースにおいて、焦点となっているのは「不動産鑑定士」の職能と「不動産鑑定評価」の公正性です。カジノを中心としたIR(統合型リゾート)の用地に関する賃料評価という大規模案件では、鑑定士の中立的な立場が強く求められます。

不動産鑑定士は国家資格を有し、「不動産の問題解決」において公正かつ専門的な判断を行う「専門職業家」です。本来は利害関係者に左右されず、適正かつ公平な不動産鑑定評価を行うことが求められます。しかし、今回のケースでは大阪市からの依頼で複数の鑑定士がIRを想定しない前提で賃料を算定し、その結果として「安すぎる評価額」ではないかと指摘され、懲戒請求にまで発展しました。

IR用地の大規模さや公共性、さらに市民生活への影響力を踏まえると、不動産鑑定士は社会的な責務の重さを改めて認識する必要があります。不動産鑑定評価は相続や事業承継の際にも役立つ重要な業務ですが、その前提には信頼を失わない中立性があるはずです。今回のニュースは鑑定士に対する社会的信用を揺るがすものであり、業界全体にとって看過できない問題と言えるでしょう。

■ 問題点・深刻化する理由

  • 鑑定士の「中立的な立場」が疑われる
    不動産鑑定士は国家資格として、公平かつ客観的な鑑定評価を行うことが使命です。しかし、大阪市からの依頼であっても、本来は行政サイドの意向に流されず独立した判断を示すべき立場にあります。今回の懲戒請求は、「IRを考慮せずに算定された」という点が問題視されており、鑑定士の中立性に疑念を生じさせる原因となっています。
  • 市民の利益と「公共性」のバランスが問われる
    IR誘致には経済効果や雇用創出といったメリットが期待される一方で、カジノ関連のリスクや社会的コストも無視できません。自治体と大手企業が提携するこうした案件では、市民の利益がどこまで守られるのかが常に注目されます。賃料が不当に安く評価されれば、市民負担が増大する恐れがあり、問題が深刻化します。
  • 業界の信頼性が揺らぐ恐れ
    不動産鑑定士は「専門職業家」としての権威と信頼をベースに仕事をしていますが、一度でも鑑定評価の公正性が揺らげば、業界全体の信用に傷がつきます。特にIRのように莫大な投資が絡む案件では、評価額の数パーセントの差が大きな金額差につながります。そのため、鑑定結果に対する透明性やプロセスの適正性が厳しく問われるのです。

■ 不動産鑑定士の視点でみる具体的な対策

ここでは、不動産鑑定士の中立性や「不動産鑑定評価」プロセスへの疑念を払拭するために、どのような具体的な対策が考えられるのかを整理します。鑑定士自らの職業倫理の強化だけでなく、業界団体や行政側の監督体制の整備も重要です。

● 職業倫理規定の再確認と実践

不動産鑑定士には、鑑定評価の公正性を担保するための職業倫理規定があります。例えば、「依頼主が行政であっても、独立した鑑定評価を行う」ことが明文化されている場合もあるでしょう。まずは鑑定士一人ひとりがこの規定を再確認し、業務のあらゆる場面で徹底する必要があります。特に大規模案件や公共性の高い案件ほど、外部からの圧力に対して毅然とした態度を取らなければなりません。

● 第三者チェックや監査の導入

鑑定評価の結果やプロセスに関しては、第三者の専門家によるチェックや監査体制を構築することも有効です。たとえば同業他社の不動産鑑定士や学識経験者が評価書をレビュアーとしてチェックする仕組みを導入することで、客観的な視点を確保しやすくなります。IRのように投資額が巨大で市民生活にも影響が及ぶ案件こそ、より厳格な監査が求められるでしょう。

● 情報開示と説明責任の強化

不動産鑑定評価がどのような根拠と手法で行われたのか、依頼主とのコミュニケーション内容も含めて可能な範囲で情報開示を進めることが、鑑定士への信頼回復に寄与します。特に自治体が依頼主の場合は、公的資金や市民の利益に関わるため、説明責任(アカウンタビリティ)が一層重視されます。評価額の根拠や評価手法を詳しく説明することで、透明性を高めることができます。

● 業界団体・協会による監督と教育体制の拡充

不動産鑑定士協会などの業界団体は、鑑定士の懲戒処分を含めて監督機能を有しています。今回の懲戒請求のように、公正性を疑われる事例が発生した場合には、協会が的確に調査し、処分や再教育を行うことが求められます。併せて、不動産鑑定士に対する最新の実務研修や倫理教育を強化することで、「国家資格」としての責任感を再認識させる機会を増やす必要があります。

■ まとめ(読者への注意喚起・アドバイス)

今回のIR用地の不動産鑑定評価を巡る懲戒請求のニュースは、不動産鑑定士の「中立的な立場」と「専門職業家」としての責務を改めて考えさせる出来事です。大規模な開発案件であるIRでは、賃料や地価の鑑定結果が市民の経済負担や利益に直結するため、公正・公平な評価を行うことは社会的にも非常に重要といえます。

読者の皆様も、相続や事業承継など不動産に関わる問題に直面した際、不動産鑑定士の評価がどのように行われるかをチェックすることが大切です。もし評価方法や内容に疑問が生じた場合は、セカンドオピニオンとして別の不動産鑑定士に依頼したり、場合によっては弁護士や公的機関へ相談したりすることを検討しましょう。問題が大きくなる前に早期対応を行うことで、損失やトラブルを最小限に抑えることが可能です。

■ 「不動産鑑定評価の依頼のススメ」

「不動産鑑定士」は、専門的な知識と国家資格に裏打ちされた、公正な不動産鑑定評価を行うプロフェッショナルです。不動産の売買や開発案件だけでなく、「相続」や「事業承継」の際にも、適正価格や将来価値を判断するうえで大いに役立ちます。不動産鑑定士の活用事例としては、
・不動産トラブル(境界や賃貸条件など)解決のための評価
・企業の資産査定や担保評価に基づく資金調達
・公共事業や再開発プロジェクトにおける補償額の算定
など、幅広い場面で「不動産の問題解決」に寄与しています。

不動産鑑定評価や鑑定士への相談を検討している方は、下記の公式サイトからお問い合わせいただくとスムーズです。専門職業家としての立場から、わかりやすくご説明いたします。
公式サイト: https://sakk.jp/adex

※本記事は一般的な見解に基づくもので、特定の法的アドバイスを提供するものではありません。
不動産鑑定評価等でお困りの場合は、弊社の相談窓口にご相談ください。

まずは、お気軽に「不動産鑑定士」にご相談ください。

お客様のお悩みをしっかりお伺いし、
プロの視点で解決の糸口を見つけます。
以下の問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。