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2025年9月21日

2025年「基準地価」全国+1.5%――バブル期以来の高水準。私たちの暮らしと不動産に何が起きる?

 

国土交通省が公表した2025年の基準地価(7月1日現在)は、全国平均で+1.5%と4年連続の上昇、上げ幅は1991年(+3.1%)以来の高さになりました。三大都市圏が相場を押し上げ、地方圏もプラス圏で底上げが続いています。この記事では、一般の方向けに「基準地価とは何か」「上昇が暮らしや資産にどう関係するか」をやさしく解説します。
出典:読売新聞オンライン「基準地価1.5%上昇、3%台だったバブル期以来の高水準に…商業地トップは20年連続『明治屋銀座ビル』」(2025/09/16)

 

基準地価ってなに?30秒で理解

基準地価は、都道府県が毎年7月1日時点の地価を評価し、公表する指標です。
・全国・都道府県・市区町村の相場の方向感が分かる
・土地取引、相続・贈与の参考、都市計画の材料にもなる
・1月1日の公示地価、実際の取引事例と合わせて見ると立体的に把握できます

 

今回のポイント(かんたん要約)

  • 全国(全用途):+1.5%(4年連続上昇、上げ幅は前年より拡大)
  • 三大都市圏:+4.3%(東京圏+5.3%、大阪圏+3.4%で加速/名古屋圏+2.1%は減速)
  • 地方圏:+0.4%(前年横ばいのままプラス継続)
  • 住宅地:全国+1.0%(大都市中心部・リゾート地が強め/地方の「その他地域」は30年ぶりにマイナス脱却)
  • 商業地:全国+2.8%(店舗・ホテル需要、インバウンド回復が追い風)
  • 最高価格地点(商業地):中央区銀座2丁目「明治屋銀座ビル」4,690万円/㎡(+11.4%、20年連続トップ)

※いずれも読売新聞オンライン記事の要約(前掲)

 

なぜ上がるの?──3つのドライバー

  1. 都市再開発とインバウンド回復:主要都市でオフィス・ホテル・商業が再編。訪日客の戻りで商業地の賃料期待が改善。
  2. 生活利便性の「勝ち残り」:駅近・医療・教育・商業がそろうエリアに実需が集中。住宅地も中心部とリゾートがけん引。
  3. 建設コストと金利・所得の綱引き:資材・人件費の高止まりが新規供給価格を押し上げ、相場の下支えに。

 

私たちの暮らしにどう関係する?(立場別のヒント)

① これから買う人(実需)

  • 総額と時間で選ぶ:物件価格だけでなく、10~20年の総保有コスト(金利・固定資産税・管理修繕費/将来修繕)と通勤通学の所要時間を見える化。
  • 「強い立地は高い」を前提に、築浅中古・駅徒歩×1~2ランク外も比較。管理状態とハザードを重視。
  • 相場が上がっても自分の家計が持てる範囲が基準。金利を0.5%刻みで上振れ試算を。

② すでに所有している人

  • 地価上昇=即売り時ではありません。固定資産税評価の見直しや相続の分割方針など、家族の台所事情から点検を。
  • 売却検討なら、周辺の成約事例とリフォームの費用対効果を確認。過度な改装は回収不能になりがち。

③ 投資・賃貸オーナー

  • 地価上昇局面は利回り圧縮が起きやすい。賃料・稼働・修繕の3点見通しを保守的に。
  • インバウンド・観光地は追い風でも、稼働の季節性と規制リスクを織り込み、出口利回りはやや保守化。

 

エリア別の読み方(簡潔)

  • 東京圏(+5.3%):再開発と雇用が牽引。駅近・管理良好・ハザード低の“普遍価値”は底堅い。
  • 大阪圏(+3.4%):インバウンド回復で商業地が支える。万博関連の一過性と恒常需要を見極めて。
  • 名古屋圏(+2.1%):価格・建築費上昇で実需の勢いが鈍化。価格抵抗感の強いサブエリアは選別が進む。
  • 地方圏(+0.4%):主要4市以外もマイナス脱却。雇用拠点・医療・教育の近接で差がつく。

 

買う前・売る前のチェックリスト

  1. 立地の“普遍価値”:駅距離、生活利便、学区、ハザード(洪水・土砂・液状化)。
  2. 管理と修繕:マンションは長期修繕計画と積立水準、戸建は外壁・屋根・設備の更新サイクル。
  3. 市場性:周辺の成約単価・賃料・在庫日数。高すぎる“売値”に流されない。
  4. 資金計画:金利上振れ・収入ブレに耐えられるか。返済比率は安全域を。

 

よくある質問(短答)

Q. 地価が上がったら、今すぐ買う/売るべき?
A. 地価は“相場の方向”の指標で、個別物件の適正価格は立地・管理・状態で決まります。焦らず総合点で判断を。

Q. これからも上がりますか?
A. 都市再開発やインバウンドが続けば強含みですが、金利・所得・供給(建築費)の綱引き。エリアと物件の選別が進みます。

 

まとめ:「地価上昇=チャンス」でも、判断軸は“暮らしと家計”

今回はバブル期以来の高水準と聞くと身構えますが、重要なのは自分の暮らしに合うか・家計に無理がないか・将来も選択肢を持てるか。数字に振り回されず、現地を歩き、総コストを見える化し、納得のいくタイミングで意思決定しましょう。

 

記事の引用元:
読売新聞オンライン「基準地価1・5%上昇、3%台だったバブル期以来の高水準に…商業地トップは20年連続『明治屋銀座ビル』」(2025/09/16掲載・同日更新)

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