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2025年12月16日

9㎡の「極小アパート」に若者が集まる理由と、住む前・貸す前に知っておく現実(不動産鑑定士のやさしい見解)

 

都内の家賃上昇を受け、主要駅近の専有面積 約9㎡(居室3畳+ロフト等)の極小アパートが人気です。家賃は周辺相場より3割以上安い設定が多く、入居者の大半は20~30代。一方で、在宅勤務の広がりから築30年以上の広めの「築古」アパートに住み替える動きも出ています。
出展:産経ニュース「わずか9平方メートル…都心に近い『極小』アパートが若者に人気 狭くても“住めば都”」(2025/12/14)

 

1. なぜ「極小」が選ばれる?(メリット)

  • 家賃を下げつつ、通勤時間を短くできる:都心近くで月6万円台など、手取りに対する圧迫を軽減。
  • 初期費用が抑えやすい:専有面積が小さいため、敷金・礼金・保険・家具家電のコストも相対的に小さくなりがち。
  • ミニマルな暮らしとの相性:衣類・持ち物を減らす、サブスク・コインランドリー・サードプレイスの活用など、都市型の生活スタイルにフィット。

鑑定士メモ:1㎡あたり賃料は高めでも、月額の総額が低いことが家計に効きます。都市部では「広さより場所」の価値が勝つ局面が続いています。

 

2. デメリットと「住む前チェック」

  • 収納・動線:家具の設置で通路が塞がれやすい。ドアの開閉半径・ロフト梯子の傾斜を内見で実測。縦収納(ポール・壁面フック)は必須。
  • 水回り:シャワールームのみの物件が多い。コインランドリー距離・浴室乾燥の有無を確認。カビ対策で換気扇の風量も要チェック。
  • 温熱・音環境:小さな空間は暑さ寒さ・結露の影響が大きい。窓の仕様(複層/遮熱)、日射方位、上階・隣戸の生活音を時間帯を変えて内見。
  • 光熱費:面積が小さくてもエアコン・給湯の負荷で単価が高くなることあり。設備の年式・効率を確認。
  • 宅配・ごみ動線宅配ボックスの有無・戸数に対する台数、ごみ置場までの距離や時間帯ルール。
  • 契約条件:短期違約金、更新料、インターネット(無料/上限速度)、管理会社のレスポンスを事前に確認。

 

3. 「極小」か「築古 広め」か――迷ったらこの順で比べる

  1. 総住居費:家賃+共益費+ネット+移動時間(時給換算)+光熱費の目安。
  2. 生活導線:駅・職場・ジム・病院・スーパー・公園までの徒歩/自転車時間(雨の日も想定)。
  3. 健康・快適性:採光・通風・静音・温熱。築古は断熱窓/内窓の有無で体感が大きく変わる。
  4. 柔軟性:在宅勤務や趣味(楽器・撮影・配信)の可否、ベッド・デスクが同居できるか。

ポイント:「築古 × 広め × 低家賃」は魅力的でも、修繕不足・結露・配管劣化のリスクがあるため、内見で臭い・床のたわみ・水圧を必ず確認しましょう。

 

4. オーナー側の視点:極小・築古を「選ばれる部屋」にする小改修

  • 極小向け:可動棚・有孔ボード・ハンガーパイプ、LED+白壁で明るさを確保。Wi-Fi無料、ミニ冷蔵庫置き場、宅配BOXの充実は費用対効果が高い。
  • 築古向け:水回りのピンポイント更新(便器・混合栓・洗濯パン)、内窓/玄関気密で温熱改善、床の部分補修で印象アップ。
  • 写真の見せ方間口の広さ・収納可視化・採光方向を伝える。家具配置のモデル図で生活イメージを補強。
  • 安全・衛生:防火設備・共用灯・ごみ置場の衛生を整えると、クレーム・退去率が下がる。

鑑定士メモ:小規模投資で稼働率と滞納・退去のリスクを下げる施策が、結果としてNOI(純収益)を押し上げます。

 

5. 背景にある「家賃の上昇」とどう付き合うか

23区の単身向け家賃は前年同月比+16.1%(記事出展より)と上昇が続く一方、初任給の伸びでは追いつかないのが現実。住宅手当のない企業も多く、単身者の受け皿不足は構造的です。短期的には「極小」「築古」の活用が広がる一方、中長期にはアフォーダブル住宅や共用型(コリビング)の供給、住宅手当の再設計など、政策と民間の両輪が求められます。

 

6. まとめ:月いくらで、どんな暮らしができるか――“総額×体感”で決める

極小は場所と家賃のバランスが魅力。築古は広さと費用対効果が魅力。どちらも「安いから」で飛びつかず、総住居費体感性能を同じ比重で比べてください。内見は平日夜と雨の日にも。数値(家計)と体感(生活)がそろえば、狭くても、古くても、あなたにとっての“都(みやこ)”になります。

 

出展:
産経ニュース「わずか9平方メートル…都心に近い『極小』アパートが若者に人気 狭くても“住めば都”」(2025/12/14)

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