企業が保有する不動産(オフィスビル、工場、物流拠点、社宅など)は、CRE(Corporate Real Estate)戦略の一環として、適切に管理・運用することで大きな付加価値を生み出します。
昨今の経営環境では、単なる保有から有効活用へとシフトし、さらには不要資産の売却や拠点再配置を通じて企業価値を高める取り組みが注目されています。
本記事では、企業の経営者や財務担当者に向けて、「なぜ不動産鑑定評価がCRE戦略において役立つのか」をわかりやすく解説します。
なぜCRE戦略に鑑定評価が重要なのか
CRE戦略を検討する際、不動産を「持つ」「借りる」「売る」「買う」などの選択肢があります。しかし、それぞれの選択肢の影響は短期的なコストだけでなく、企業の中長期的な経営資源の配分にも大きく関わります。
ここで重要なのが、不動産の価値を正しく把握すること。曖昧な判断で資産を処分したり投資に踏み切ってしまうと、後から実は思ったより値打ちがあった、あるいは過剰投資だったと気づくリスクも否定できません。
不動産鑑定士による客観的で公正な鑑定評価があれば、データに基づく意思決定を下しやすくなり、CRE戦略の精度が格段に高まるのです。
1. 企業不動産の「実勢価格」を見極める
バランスシート上の帳簿価額や固定資産税評価だけでは、市場価格とのギャップが生じることがあります。
不動産鑑定士は市場動向や地域特性、用途地域の制限、再開発計画など、多角的な視点で「実勢価格」を算出するため、保有資産の真の価値を把握できます。
2. 資産の最適配置と拠点再編の裏付け
事業拠点の統廃合や本社移転など、大規模なCRE戦略の実行には周到なコスト分析と将来予測が欠かせません。
不動産鑑定評価をもとに、「どの物件を持ち続け、どれを売却・移転すべきか」を検討すれば、企業全体の収益性や効率性を向上させる根拠が明確になります。
3. 財務戦略や投資計画との連動
不動産資産の活用は、資金調達や投資余力にも直結します。
・担保価値として金融機関からの融資条件を改善
・売却益を使って新規事業投資を加速
これらの戦略を練るうえでも、不動産鑑定評価は確かな根拠を与えてくれる存在です。
不動産鑑定評価がもたらす具体的メリット
不動産鑑定士による評価を導入することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。以下に代表的なポイントを整理します。
1. 経営判断の迅速化・明確化
「この物件を売るのは得か?」「統合拠点としてこの施設は妥当か?」といった疑問に対し、数値や市場事例を交えた説明が可能になります。
不動産鑑定評価は、投資委員会や取締役会での意思決定を後押しし、スピーディーかつ納得感のある合意形成をサポートします。
2. 外部ステークホルダーへの説得力
金融機関や投資家との交渉、あるいは株主への報告でも、公的資格者の鑑定評価は大きな信頼材料となります。
「この不動産にこれだけの価値があり、戦略的にこう活用する」というクリアな説明ができるため、企業の信用力が向上します。
3. 不良資産リスクの顕在化と早期対応
保有不動産が実際には思ったほど収益を生み出していない、または法的制限で転用が難しいといった潜在リスクが、現地調査や権利関係の精査を通じて明らかになります。
リスクを早期に認識し、売却や開発計画の練り直しといった手を打てる点も、大きなアドバンテージです。
まとめ
企業が持つ不動産を、単なる固定資産ではなく経営資源として最適に活用することは、現代の競争環境で生き残るために欠かせません。
・CRE戦略の基盤として客観的評価を得ることで、売却・保有・再配置の判断が明確化
・不動産鑑定士の分析が、投資委員会や取締役会、外部ステークホルダーへの説明を補強
・中長期的な視点でリスクと機会を把握し、企業価値を高める
不動産鑑定評価を取り入れてこそ、CRE戦略はより実効性のあるものへと進化していきます。
ぜひ、不動産鑑定士による専門的な知見と客観的データを活用し、資産の最適活用と再配置による経営力強化を実現してください。
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