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2025年10月6日

Greater TOKYO(広域関東圏)に観光が集まると、不動産はどう動く?

 

関東観光広域連携事業推進協議会は、関東1都6県に山梨・長野・新潟・静岡・福島を加えた「広域関東圏=Greater TOKYO」を、訪日客が日本文化を短時間で体験できる“Trip Hub(小旅行の拠点)”として位置づけています。成田・羽田という国際ハブ空港を起点に、東京での滞在と周辺県への周遊を組み合わせて、継続的な誘客を目指す考え方です。
出展:関東観光広域連携事業推進協議会「関東広域の観光コンテンツネットワークを

 

1. まず、簡単に「何をしようとしているの?」

ポイントは3つです。① 成田・羽田に到着した訪日客に、まず東京で魅力を体感してもらう。② その勢いで、周辺の1都11県(山・海・温泉・食・アウトドアなど)へ短い周遊を促す。③ 何度も来たくなるリピート導線を作る。つまり、「東京で心をつかみ、広域で深く楽しませ、また戻ってきてもらう」設計です。

 

2. 観光の活性化は、不動産にどう効くの?

観光は「人の流れ」を生みます。人が集まる場所では、ホテル・飲食・物販・体験施設の賃料や稼働が上がりやすく、結果として地価や不動産価格を支える力になります。東京の主要駅周辺だけでなく、箱根・日光・河口湖・軽井沢・那須・秩父・銚子・三浦など、都心から1~2時間圏の観光地も恩恵を受けやすいです。

一方で、人気エリアに投資マネーが集中しやすく、地価や賃料の上昇、生活コストの上振れも起こり得ます。観光の追い風はプラス材料ですが、地域の暮らしとのバランスが鍵になります。

 

3. 生活者(買う・借りる・住み替える)への示唆

観光地に近い駅の周辺は、カフェやスーパー、交通の本数などの生活利便が上がる傾向があります。ただし、繁忙期は人が増え、静けさが失われることも。購入や賃貸を検討する際は、平日朝夕と休日昼の2回、現地の混雑や騒音を確かめてください。短期賃貸(民泊)やホテルが増えるエリアでは、地域のルール(条例・管理規約)も要確認。暮らしやすさを優先するなら、観光動線から少し外れた住宅地を選ぶのも有効です。

 

4. 小さく賃貸経営を考える人へ

民泊や簡易宿所は、需要が読めるときは強い収益源になりますが、規制・季節要因・清掃オペ・クレーム対応の難易度が高いのも事実です。初めての方は、一般賃貸で安定させる宿泊は運営委託を使う用途地域や条例を再確認の三点から始めると安全度が上がります。ホテル素地に近い立地なら、ワーケーション・長期滞在向けのミドルステイ(1~3か月)という中間ゾーンも検討の余地があります。

 

5. 店舗・体験施設(小商い)を始める人へ

訪日客が増える駅や観光動線では賃料が上がりやすいため、いきなり一等地で勝負より、賃料の重くない2等地でコンテンツを磨き、ファンを作る戦略が生きやすいです。物販より体験・学び・写真映えの要素を加えると、天候や為替に左右されにくくなります。契約では、フリーレント・原状回復・解約予告期間など「撤退のしやすさ」を数字で詰めておきましょう。

 

6. 別荘・リゾートマンションの注意点

都心から2時間圏のリゾートは値動きが大きく、管理費・修繕積立金の上昇がネックになることもあります。購入前に、長期修繕計画積立金の水準、直近の大規模修繕の有無、滞納率を確認しましょう。貸し出して利回りを狙う場合は、繁忙期と閑散期の差、清掃・鍵渡し・問い合わせ対応まで含めた実務コストを見積もってください。

 

7. 地域(自治体・地元事業者)へのヒント

観光の経済効果を平日・通年に広げると、不動産価値は安定します。おすすめは、① 公共交通・オンデマンド交通の拡充、② ワーケーションや合宿・カンファレンスの誘致、③ 地元の商店・農家・工房と連携した“体験×買い物”の導線づくりです。レガシー施設や空き公共施設の活用は、年間稼働日数・来訪者数・滞在時間といったKPIを持って運営すると、投資家や金融の評価が高まりやすくなります。

 

8. まとめ:観光の追い風は「立地の普遍価値」を強くする

Greater TOKYOの考え方は、東京で興味を掴み、広域で深く体験してもらう発想です。この流れは、駅・交通・商業・自然資源がそろうエリアの“普遍価値”を強くします。住む人は「暮らしやすさ」、投資する人は「安定したキャッシュフロー」、地域は「通年の稼働」をキーワードに、数字と現地確認で判断していきましょう。ワクワクする計画ほど価格が先に動きがちですが、最後に価値を決めるのは、便利さ・安心・楽しい体験が継続することです。

 

出展:
関東観光広域連携事業推進協議会「関東広域の観光コンテンツネットワークを

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