【出典】国土交通省「既存住宅販売量指数(令和7年12月分)」
住宅が売れている。
しかも、新築ではなく「中古」が。
国土交通省の発表によると、2025年12月の既存住宅販売量は前月比3.6%増加。
戸建・マンションともに取引は伸びています。
数字だけ見れば、市場は活発です。
しかし、体感は違うはずです。
「住宅が高すぎて買えない」
「賃貸も上がり続けている」
増えているのに、届かない。
ここに、いまの不動産市場の歪みがあります。
中古住宅は増えている。でも“欲しいもの”は増えていない
既存住宅販売量指数は上昇しています。
これはつまり、
「売買されている量」が増えているということです。
しかし重要なのはここです。
「流通している住宅」と「欲しい住宅」は一致していない。
例えば、
- 築古で修繕が必要な物件
- 立地が弱い住宅
- 再建築不可・権利関係が複雑な不動産
こうした物件は市場に出てくる。
一方で、
- 駅近
- 築浅
- 管理状態が良い
こうした「欲しい物件」は不足したままです。
不動産鑑定士の視点① 数字は市場の“温度”ではない
販売量指数は上がっている。
しかし、それは市場が良くなっている証拠ではありません。
むしろ、
「動かざるを得ない不動産が増えている」
という可能性があります。
例えば、
- 相続で手放す
- 維持できず売却する
- 空き家の処分
つまり、需要ではなく「事情」で動く取引です。
不動産鑑定士の視点② 市場はすでに二層化している
いまの不動産市場は一つではありません。
完全に分かれています。
- 価格が上がり続ける市場(都心・優良物件)
- 売れずに滞留する市場(地方・築古・問題物件)
この2つは、同じ「不動産」でも別の世界です。
既存住宅の取引増加は、
この下の市場が動き始めているだけの可能性もある。
不動産鑑定士の視点③ 「30㎡未満」が意味するもの
今回の統計では、30㎡未満の小規模マンションの動きにも言及されています。
これは単なるデータではありません。
投資用ワンルーム市場の拡大を示しています。
つまり、
- 住むための住宅
- 投資としての住宅
この2つが同じ市場に混在している。
その結果、
価格が生活から切り離される
という現象が起きます。
まとめ|増えているのは「住宅」ではなく「ズレ」
中古住宅の取引は増えています。
しかし、それは供給が増えたというより、
需要とのズレが拡大しているサイン
です。
市場は活発に見える。
でも、生活は苦しくなる。
この矛盾は偶然ではありません。
不動産が「住むもの」から「動かすもの」へ変わっている
その途中に、いまの市場があります。
【出典】
国土交通省「既存住宅販売量指数(令和7年12月分)」

