三菱地所が、ペットと暮らすことを前提にした賃貸マンション「P-manプロジェクト」の事業化検討を発表しました。マンション内にペットシッター常駐、預かり・保育機能、ドッグラン、動物病院の往診やペットブランド連携など、単身者・共働き・高齢ペットのケアまで視野に入れた「共生型」の住まいを目指します。2024年度の検証では想定以上の反響があり、2025年度内の開業を目指すとしています。
出展:日本経済新聞「三菱地所、ペット共生の賃貸マンション 高齢犬ケアやドッグラン設置」(2025/8/20)
1. 何が新しい?(サービス内蔵型の「共生」)
従来の「ペット可」は“飼ってもよい”に留まりましたが、今回の構想は建物と運営がペット前提で設計されます。具体的には、犬の保育園・預かり、シッター常駐、ドッグラン、トリミング・しつけ監修、往診連携など、暮らしの課題を建物側で解決するモデルです。日中家を空けることが多い世帯や、高齢ペットのケアが必要な世帯にフィットします。
2. 借りる側のメリットと「入居前チェック」
メリット
- 安心と時短:急な残業・出張時でも預かり・散歩代行が館内で完結。
- 健康・運動:屋内/屋外ドッグランやケアサービスで運動不足を軽減。高齢ペットもケアが受けやすい。
- コミュニティ:同じ価値観の住民が集まり、騒音・ルールの相互理解を得やすい。
入居前チェック(重要)
- 契約条件:頭数・体重上限、犬種制限、ワクチン・狂犬病接種の証明、しつけ要件(吠え対策・排泄ルール)。
- 費用:家賃以外にペット礼金・敷金(上乗せ)・月額ペット費・清掃費があるか。
- 設備の実力:床材(滑りにくい/爪に強い)、遮音(床・壁)、換気・脱臭、共用動線(ペット同乗可エレベーター・洗い場・足拭き)。
- サービス品質:シッターの資格・人数体制、預かりの受付時間・緊急対応、動物病院の連携範囲(夜間/往診)。
- トラブル対応:クレーム時のルール、損害賠償・保険(個人賠償責任、ペット保険)の必須化の有無。
鑑定士メモ:共生型は「住み心地の質」で家賃プレミアムが乗りやすい半面、月次のオプション費が膨らみがち。総額家計で比較しましょう。
3. オーナー・投資家の視点(差別化の好機とリスク管理)
機会
- 差別化×満室化:都市部で高稼働・長期入居を狙えるコンセプト。家賃プレミアムや付帯収入(預かり・ケア)の余地。
- ストック活用:築古の改修でも、床・水回り・換気・動線の設計で十分に共生仕様へ転換可能。
留意点
- オペレーション難易度:騒音・臭気・共用部の衛生が肝。換気計画・消臭設備・清掃頻度をPL(損益)に織り込む。
- 安全・法令:動物取扱業の届出、感染症対策・ワクチン確認、咬傷事故時のマニュアル、個人賠償保険の加入義務化など。
- 設計のコツ:滑りにくい耐尿性床材、段差解消と手すり、足洗い場の給排水能力、ゾーニング(ペット可/不可動線の分離)。
鑑定士メモ:共生型は賃料プレミアム>運営コスト増の設計が条件。稼働・付帯収入・退去原状回復費を保守的に置いた事業計画が必要です。
4. 周辺住民・一般入居者への配慮(共存の設計)
- ルールの明文化:エレベーター使用、共用部の移動、夜間の無駄吠え対策、ドッグラン利用時間。
- 衛生管理:排泄の後始末、消臭・殺菌の運用、粗相時の原状回復費用のルール。
- アレルギー配慮:ペット不可ゾーンの設定、空調系統の分離・フィルタの管理。
5. 市場インパクト(鑑定士の見解)
ペット共生は、単なる「可」からサービス一体型へ進化しています。体験価値が高いため賃料の説明力があり、共働き・単身・子育て世帯など都市実需と相性が良い。一方で、オペレーションと設計の質が資産価値を左右します。臭気・騒音・衛生・事故対応の水準が、リーシングにも売却(出口)にも直結します。
6. まとめ
「ペット共生」賃貸は、都市生活の課題(留守番・運動不足・高齢ケア)を建物側で解く、新しい住まいの形です。借りる人は契約条件・総額費用・設備とサービス品質を丁寧に確認を。貸す側は、法令順守・衛生安全・換気遮音・運営体制を数値で設計し、プレミアムとコストのバランスを可視化しましょう。適切な設計と運営があれば、人もペットも快適に暮らせる“共生”は、しっかり価値に変わります。
出展:
日本経済新聞「三菱地所、ペット共生の賃貸マンション 高齢犬ケアやドッグラン設置」(2025/8/20)

