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2026年5月29日

全国で1000万棟超か 「未登記建物」が抱える見えないリスクとは

【出典】四国新聞「【独自】未登記建物2割超、課税漏れも/災害復旧妨げに、法務省調査」(2026年5月28日)

建物を建てたら登記をする。

不動産に関わる人からすると当たり前に聞こえますが、実際にはそうなっていません。

法務省の調査によると、全国約3610万棟の建物のうち、約800万棟が未登記でした。回答のなかった自治体分も含めると、未登記建物は1000万棟を超える可能性があるとされています。

つまり、日本の建物の5棟に1棟以上は、法務局上では存在が十分に把握されていない状態なのです。


未登記建物とは何か

未登記建物とは、建物が実際には存在しているにもかかわらず、法務局に建物登記がされていない状態を指します。

よくある例としては、

  • 相続後に登記をしていない住宅
  • 増築部分だけ未登記になっている建物
  • 古い倉庫や車庫
  • 農村部の離れや作業場

などがあります。

特に地方では、親から子へ引き継がれる過程で登記が行われず、そのまま何十年も放置されるケースが少なくありません。


不動産鑑定士の視点① 未登記は「所有者不明不動産」の入口

未登記の本当の問題は、建物そのものではありません。

誰のものか分からなくなることです。

登記がなければ、

  • 相続人が把握できない
  • 売却が進まない
  • 解体ができない
  • 再開発が進まない

という問題が発生します。

近年問題になっている「所有者不明土地」も、突き詰めれば同じ構造です。

不動産は存在していても、所有者が分からなければ社会の中で活用できません。


災害復旧の妨げになる理由

法務省が特に問題視しているのが災害時です。

地震や豪雨で建物が倒壊した場合、

  • 撤去する
  • 補償する
  • 再建する

ためには、まず所有者を確認しなければなりません。

しかし未登記だと、その確認に時間がかかります。

東日本大震災や能登半島地震でも、所有者確認の遅れが復旧の妨げになった事例がありました。

不動産鑑定士の立場から見ると、未登記建物は単なる個人の問題ではなく、地域全体の復旧力にも関わる問題です。


不動産鑑定士の視点② 資産価値を下げる原因になる

未登記建物は資産価値にも影響します。

例えば売却時、

  • 登記手続きが必要になる
  • 相続関係を整理しなければならない
  • 金融機関の融資が難しくなる

ことがあります。

買主にとっては余計な手間やリスクとなるため、結果的に売却価格が下がるケースもあります。

「登記していないだけだから問題ない」と考える人もいますが、資産として見ると決して小さな問題ではありません。


固定資産税の課税漏れも

今回の調査では、固定資産税の課税漏れの可能性も指摘されています。

自治体は現地調査などで把握していますが、未登記建物が増えると行政側の管理コストも上がります。

実際に、回答した自治体の7割以上が「支障がある」と答えています。

これは行政実務の現場でも、未登記建物が大きな課題になっていることを示しています。


まとめ|建物は建てた瞬間より「引き継ぐ時」に問題が起きる

今回の調査結果で見えてくるのは、未登記建物の問題は建築時ではなく、相続時に発生することが多いという事実です。

親が建てた家をそのまま使っている。

相続手続きが面倒だから後回しにしている。

こうした小さな先送りが、将来の売却や相続、災害復旧を難しくします。

不動産鑑定士として強く感じるのは、

不動産は「持つこと」よりも「引き継ぐこと」の方が難しい

ということです。

未登記のまま放置されている建物がある場合は、資産価値を守るためにも早めの確認と整理をおすすめします。


【出典】
四国新聞(2026年5月28日)
「【独自】未登記建物2割超、課税漏れも/災害復旧妨げに、法務省調査」

https://www.shikoku-np.co.jp/national/main/20260528000871

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