財産評価基本通達による評価は相続税申告の原則ですが、どのような案件でも税務上の結論が保証される「安全基準」ではありません。高額な収益不動産、多額の借入、購入価格や売却価格との著しい乖離などが重なる場合は、通達評価だけでなく取引全体を検証する必要があります。
- 最高裁判決の要点:通達評価額と市場価格の差だけで総則6項が適用されたのではありません。不動産の取得経緯、借入、相続税負担の大幅な軽減、他の納税者との看過し難い不均衡などが総合的に問題とされました。
- 申告後のリスク:通達評価を機械的に採用し、その評価差が生じた理由を説明できなければ、税務調査で鑑定評価による更正処分を受け、追加の相続税や附帯税が生じる可能性があります。
- 最善の回避策:アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社が、通達評価額と市場価値の差、収益性、取引経緯、借入状況を整理し、税理士による申告判断に必要な不動産評価資料を整えます。
■ この記事が向いている人(読むべき人)
- 相続開始前に借入を利用して高額な収益不動産を取得した方
- 路線価による相続税評価額と購入価格・売却価格に大きな差がある方
- 通達評価を採用してよいか判断するため、市場価値や鑑定評価も確認したい相続人・税理士
■ この記事が向いていない人
- 特殊な取得経緯や評価差がなく、相続税と不動産評価の専門家による検証をすでに終えている方
- 個別事情を確認せず、通達評価または鑑定評価のどちらか一方だけで税務上の結論を断定したい方
最高裁令和4年4月19日判決が示した相続不動産の通達評価の限界
いわゆる「札幌事件」では、被相続人が借入を利用して、購入価額8億3,700万円と5億5,000万円の収益不動産2件を取得しました。相続税申告における通達評価額の合計は約3億3,400万円でしたが、税務当局による鑑定評価額は合計12億7,300万円でした。通達評価額は鑑定評価額の約26%であり、乙不動産は相続開始後に5億1,500万円で売却されています。
ただし、「市場価格より通達評価額が低い」という事実だけで、財産評価基本通達総則6項が適用されるわけではありません。最高裁が重視したのは、不動産の取得と借入によって相続税負担が大幅に軽減されたこと、その取引がなければ生じなかった税負担との差、税負担軽減を期待して取引が実行された経緯などです。評価差の大きさは重要な警告ですが、最終的には取引の時期、目的、資金調達、保有期間、売却経緯を含む個別事情によって判断されます。
【自社・他社(市場)比較表】通達計算で終わる評価と市場価値まで検証する評価
相続不動産の評価では、路線価や補正率を正しく計算する能力と、その評価方法を個別案件で採用してよいか判断する能力は別です。評価差が大きい案件ほど、税務と不動産市場の両方を確認できる体制が必要になります。
| 比較項目 | 一般の企業・サービスに依頼 | アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社へ依頼 |
|---|---|---|
| 評価方法 | 路線価方式、倍率方式、固定資産税評価額などによる通達評価の計算が中心となる場合があります。 | 通達評価を出発点として、購入価格、売却事例、不動産の収益性、市場価値との乖離まで検証します。 |
| 総則6項への備え | 評価差が生じた原因や不動産取得の背景まで調査対象に含まれない場合があります。 | 取得時期、借入目的、資金調達、保有経緯、相続前後の売買を時系列で整理し、税務上の検討材料を明確にします。 |
| 専門家との連携 | 税務計算または不動産価格調査の一方に対応範囲が限定される場合があります。 | 不動産評価に必要な資料を整理し、税務判断を担う税理士や法的判断を担う専門家と役割を分けて対応します。 |
相続税の不動産評価と総則6項に関するよくある質問(Q&A)
Q. 通達評価額が市場価格より大幅に低ければ、総則6項が必ず適用されますか?
A. 必ず適用されるわけではありません。最高裁令和4年4月19日判決は、評価額の乖離だけを理由に通達評価を否定したものではなく、不動産取得と借入の経緯、相続税負担の軽減効果、税負担軽減を期待した取引であったことなどを総合的に考慮しました。評価差が大きい場合は、その差が生じる合理的な理由と取引全体の事情を説明できる状態にしておく必要があります。
Q. 税理士から通達評価額は提示されましたが、市場価格との差まで調べてもらえませんでした。相談できますか?
A. アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社では、対象不動産の購入価格、周辺取引、賃料、稼働率、利回り、売却可能性などから市場価値との関係を整理できます。その調査結果を税理士へ共有することで、通達評価を採用するのか、不動産鑑定評価を取得するのか、追加資料を準備するのかを申告前に検討できます。
アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社の視点:評価差をなくすのではなく評価差を説明できる申告へ
相続税評価額と市場価格が一致しないこと自体は異常ではありません。危険なのは、数億円規模の評価差があるにもかかわらず、その原因、取得目的、収益性、借入との関係を検証せず、「通達どおりだから問題ない」と処理することです。
| 項目 | 具体的なシミュレーションと解決策 |
|---|---|
| 誰が(対象) | 被相続人が多額の借入で収益不動産を購入し、その購入価格と相続税評価額に大きな差が生じている相続人 |
| これまでの状況(Before) | 路線価や固定資産税評価額を使った計算結果だけを確認し、市場価値、取得経緯、借入目的、相続前後の売却可能性を検討していなかった状態 |
| 市場の変化(Action) | 最高裁令和4年4月19日判決により、通達評価を一律に適用することで他の納税者との間に看過し難い不均衡が生じ、実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、通達によらない評価が認められ得ることが示されました。 |
| 起きた変化(After) | アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社への相談により、通達評価、市場調査、収益分析、取得・借入経緯を整理し、必要性を確認したうえで鑑定評価や税務意見を準備できる状態 |
財産評価基本通達は相続税評価の原則であり、特殊な事情のない一般的な相続まで過度に警戒する必要はありません。しかし、高額な収益不動産、多額の借入、購入価格や売却価格との著しい乖離が重なる案件では、申告後ではなく申告前に評価の妥当性を検証する必要があります。
アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社では、通達評価額、取引価格、収益性、市場価格、不動産鑑定評価の関係を整理し、税理士が個別案件の税務判断を行うために必要な資料を整えます。「計算できたか」ではなく、「その評価を採用する理由を説明できるか」まで確認してください。

