【神戸市が「居住と税制のあり方に関する検討会」を設置。都心タワマンの非居住問題や新たな法定外税創設を含む議論のポイントと今後の論点を整理。】
神戸市が都心マンションの非居住問題に本腰
2025年5月30日、神戸市役所で『第1回 居住と税制のあり方に関する検討会』が開催されました。
タワーマンションの空き部屋を巡る課題と法定外税の可能性が中心議題となり、久元喜造市長は「持続可能な都心へ向け政策パッケージを検討する」と強調しました。
本記事では、公開された議事録を引用しつつ、論点と今後の展望を整理します。
- 検討会設置の背景と神戸市特有の都市構造
- タワーマンション空き部屋増加によるリスク
- 法定外税を含む5つの論点と委員の初期意見
- 今後のスケジュールと市民・事業者への影響
■ 目次
1. 検討会の設置目的と都市課題
神戸市は山と海に挟まれた細長い市街地という地形的制約から、都心部(三宮)と郊外ニュータウン・里山が混在する独自の都市構造を有しています。
近年、郊外から都心への回帰や一戸建てからマンションへの住み替えが進む一方、都心部ではタワーマンションの高層階を中心に住民登録のない部屋が増加。
久元市長は「空室が修繕・建替え合意を阻害し、最悪の場合は廃墟化リスクを生む」と危機感を示しました。
2. 初回会合の主な議題と発言要旨
- 都心機能誘導地区でのマンション規制効果
2020年7月から三宮駅周辺の商業地域で住宅容積率を引き下げ、タワマン新築は事実上ストップ。 - 既存タワマンの課題整理
2024年1月の有識者会議報告書を踏まえ、①管理状況届出の義務化、②災害備蓄・非常電源へのインセンティブ、③非居住者への経済負担──などを検討対象に設定。 - 委員からの初期提案
・政策目的の明確化(適正管理 vs 居住促進)
・課税対象エリア・物件の範囲再考
・水道使用量など客観データで空室判定
・管理組合・事業者へのヒアリング実施
3. 議論の焦点:非居住部屋への経済的負担
報告書では「法定外税の創設」が提案されましたが、委員からは
「税はハエをミサイルで撃つような大味な手段になりがち」「まずは対象・目的・データを精査すべき」など慎重論が大勢。
一方で、管理組合の空室連絡コストや将来的な廃墟化リスクを考慮し、課税+規制+支援のパッケージを模索すべきとの意見も出ました。
4. 関係者ヒアリングと次回までの宿題
委員からの要望で次回までに以下のデータ・意見集約が求められました。
- 固定資産税・住民税の滞納状況(タワマン/大規模マンション別)
- 神戸市マンション長寿命化促進税制の利用実績
- 管理組合届出率・管理計画認定制度の申請数
- 水道メーターデータ等による空室把握の可否
- 管理組合理事長・管理会社・デベロッパーのヒアリング計画
5. 今後のスケジュールと実務への影響
第2回検討会は2025年7月28日開催予定。
2026年度中の報告取りまとめ→条例改正・法定外税協議→2028年度施行というロードマップ案も示唆されました。
不動産オーナー・管理会社は空室状況の可視化と長期修繕計画の見直しを早めに進めておくと安心です。
まとめ:持続可能な都心へ向けて
検討会は「空き部屋問題=税だけで解決せず、規制・支援と組み合わせる」という方針を共有。
次回以降、データに基づく論点整理と関係者ヒアリングが進み、“神戸モデル”の政策パッケージが具体化する見通しです。市民・事業者は動向を注視し、適正管理と利活用の準備を進めましょう。
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