アデックスリサーチアンドコンサルティング株式会社|鑑定評価で不動産の問題を“解決”へと導く

2025年9月4日

中野サンプラザはどうなる?――再開発白紙から「再利用170億円」まで、いま起きていることをやさしく解説

中野の象徴「中野サンプラザ」をめぐる計画が、ここにきて大きく揺れています。区はこれまで、建て替えを前提に再開発を進めてきましたが、工事費の高騰などで計画は白紙に。では、そのまま使い続ける道はあるのか――区が改めて試算したところ、再利用の修繕費は以前の想定より大きく膨らみ、約170億円(従来試算の約1.7倍)にのぼる見通しになりました。

なぜ費用が増えたの?

理由はシンプルで、物価高や人件費の上昇が続いているためです。区はこれまでも「使い続けるには大きなコストが課題」と説明してきましたが、同じ算出方法で改めて見積もっても、現在の価格水準では負担がさらに重くなるという判断です。区は引き続き、建て替えの必要性について理解を求める姿勢を示しています。

当面はどう使われるの?

いきなり閉じてしまう、ということではありません。区は管理コストを抑えるため、第三セクターからの寄付を受ける形で、9月5日に土地と建物を区有化します。そのうえで、10月から南側広場をダンサーやミュージシャンに開放する予定です。1階エントランスホールの一部を暫定的に活用したり、建物の壁面にアニメ事業者の広告を掲出したりする案も検討中です。大規模な工事が始まるまでの「つなぎ」として、地域に開かれた使い方を模索していく方針です。

白紙になった再開発計画とは?

もともとは、サンプラザ跡に地上61階・高さ約250メートルの複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」をつくる壮大な計画でした。ところが2024年秋、事業者側(野村不動産など)から、人件費や資材価格の高騰で工事費が900億円超も増えるとの連絡があり、区はその年度の着工を断念。完成時期も見直しが必要になりました。

その後、事業者側はコストを抑えるために住宅比率を増やした「ツインタワー」案を提示しましたが、区は「区民が集える交流機能が後退する」などの理由で今年3月に受け入れを拒否。6月末には事業推進の協定も解除され、計画は白紙に戻りました。

今後のスケジュールは?

区は、住民や関係団体の意見を踏まえて、再開発の基本となる「再整備事業計画」を作り直します。2026年3月にも新しい計画案を示す方針です。つまり、これから約1年半〜2年ほどかけて、地域として納得できる現実的なプランに組み替えていく段階に入ります。

私たちの暮らしにどう関係する?

短期的には、南側広場の開放やエントランスの暫定活用など、街に開かれた使い道が始まります。イベントや文化活動の場が続くことは、地域のにぎわい維持につながります。一方で、再利用でも建て替えでも大きな費用がかかることは変わらず、「どの機能を残し、どう負担していくか」という現実的な議論が避けられません。区が示す新プランに対して、区民が意見を伝える機会も増えるはずです。

ポイントを一言で

「中野サンプラザをどうするか」は、文化・にぎわい・地域経済・コストをバランスさせるパズルです。再開発の白紙化で時間はかかりますが、そのぶん現実に合った解をゼロから描き直すチャンスでもあります。暫定活用で場を動かしつつ、2026年3月の新計画に向けて、地域としての「ほしい未来」を言葉にしていく――今はその入口に立っている、と考えると分かりやすいでしょう。

まずは、お気軽に「不動産鑑定士」にご相談ください。

お客様のお悩みをしっかりお伺いし、
プロの視点で解決の糸口を見つけます。
以下の問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。