所有している空き家の売却を試みたものの販売か長期化し、売れる見込みがたたないことで悩んでいる売主は多いです。
このような問題を解決するためには「空き家が売れない理由」を明確にし、対策することが重要です。
また、空き家を売却する際に起こり得るトラブルについても事前にチェックしておくべきです。
この記事では空き家が売れ残ってしまう主な理由と対策、空き家売却のトラブル事例について解説します。
空き家が売れない理由
空き家が売れない場合、「エリア」と「空き家の状態」が原因になっていることが多いです。
この章では空き家が売れない主な理由について、解説します。
人気のないエリアにある
都市部や人気のエリアにある空き家は公開した当日に売れることもあり、人気のないエリアはそもそも反響がないため売却のチャンスが少ないため売れ残ってしまいます。
このように空き家の売却は立地が非常に重要なポイントとなります。
特に郊外の市街化調整区域にある空き家はスーパーやコンビニ、病院、駅といった生活に必要な施設が近くにないことがあるため、生活のイメージが持てないことから買い手がつかない原因といえます。
築年数が古い
空き家の築年数が古いと買い手の修繕費用が高くなってしまい、初期費用が高くなります。
しかし空き家の購入を検討している人の多くは「価格が安い」という点に魅力を感じており、初期費用が高くなるのであれば候補から外れてしまいます。
特に建築年月日が昭和56年5月31日以前である「旧耐震」の家屋は住宅ローンが組めない可能性もあるため、注意が必要です。
再建築不可物件となっている
再建築不可物件は空き家を建て替えすることができないため資産価値が低く、じゅうたくローンも組めないことから買い手は現金で購入するしかありません。
さらに再建築不可の事由によっては生活がしにくくなってしまい、たとえば前面道路が4m未満であったり接道幅が2m未満の場合は駐車が困難です。
このような物件は駐車スペースが必須の買い手に選ばれることはないため、売れ残ってしまう可能性が高くなります。
空き家を売却するための対策
空き家を公開してすぐに売却できるのであれば問題ありませんが、売れ残ってしまった場合にはこの章で解説する対策を試みてみるのがおすすめです。
リフォーム済み物件として販売する
空き家をリフォームしすぐに住める状態にすることで買い手は生活イメージを持ちやすくなり、成約となる可能性を高めることができます。
特に耐震工事済みの物件は安心感を持たせることができることから、販売が長期化している空き家を売却する際に有効な方法です。
ただし耐震工事やリフォーム工事は費用が先行でかかる上に、早く売らなければ工事によって資産価値が向上した部分が劣化してしまい、工事費用分を回収できないリスクを抱えることになります。
そのためリフォーム済み物件として売却するかどうかは、工事前にしっかり検討する必要があります。
「古家付き土地」として販売する
反響数を増やすことで成約に繋がりやすくなるため、「中古物件」としてだけでなく「土地」としても物件公開することをおすすめします。
この場合、建物を「現況渡し」にするか「更地渡し」にするのかで価格設定を変えることが多いことから、どのような売却プランがもっとも売れやすいのか不動産会社に相談しながら決めることがポイントです。
「買取」を検討する
一番手っ取り早いのは不動産会社に仲介ではなく買取してもらう方法です。
この方法であれば買取額や引渡し条件に合意した時点で売買契約まで進むことができ、販売を完了させることができます。
さらに買取業者によっては残置物を撤去せず測量も不要という条件で買取してくれることから、どうしても売れない空き家の処分方法として多くの売主が選択しています。
空き家の売却に関するトラブル事例
遠方の空き家を相続した場合は周辺環境や家屋の状態を十分に把握しないまま物件公開するケースもあり、買い手が見つかり成約となった後にトラブルが発生することも少なくありません。
特に中古住宅の売買における「契約不適合責任」は売主の負担が増える原因になり得るため、正しく理解することが大切です。
この章では空き家の売却に関するトラブル事例について解説しますので、事前対策の参考にしてください。
引渡し後に修繕を要求された
不動産売買における「契約不適合」とは目的を達成できないことを示しており、買い手が安心安全に暮らすことができない状態になると売主は修繕などの責任を追及されることになります。
こうした責任は「契約不適合責任」と呼ばれており、引渡しから数ヶ月間設定されます。
たとえば雨漏りやシロアリ被害、重要な木部の腐食、家の傾きなどが契約不適合責任の対象事例となっており、買主はこれらのトラブルに対して修繕、代金減額請求、白紙解除、損害賠償請求などを売主に実施することができます。
そのため空き家について十分に調査できない場合は契約不適合責任免責で販売することもありますが、このような物件は買主のリスクが高くなるため反響数が減ってしまい、売れ残る可能性が高くなります。
このことことからも、仲介で物件公開するのであればなるべく契約不適合責任はつけたまま売却し、万が一のトラブル発生に備えておく必要があります。
重大な告知漏れがあった
売主は買主に対して契約不適合責任に該当する告知事項の有無を情報開示する義務がありますが、物件の理解が不十分なまま販売し後から重大な告知漏れが発覚することもあります。
この場合は買主から白紙解除や損害賠償を請求されることもあり、裁判まで発展した事例もあります。
このようなトラブルを回避するためにも不動産会社と一緒に物件の状況確認を行い、問題点をあらかじめ明確にした上で販売することが大切です。
税金を考慮しなかった結果、手残り額が減ってしまった
空き家の買い手が見つかり残代金が支払われると取引は完了となりますが、契約時には印紙税が発生し物件によっては譲渡所得税が発生します。
こうした税金を考慮しないまま売却価格を設定してしまうと結果的に手残り額が減ってしまい、イメージ通りの売却にならないこともあります。
そのため不動産売却に必要な費用と支払うタイミングについて全て把握し、想定した手残り額とズレないように進めることが重要です。
売れ残った空き家の対策は買取がおすすめ
築年数が古かったり市街化調整区域にある空き家は販売が難しく、売れ残ってしまうことも多いです。
そのためこうした空き家を売却する際にはリフォーム済み物件や古家付き土地として販売するという対策がありますが、先行して支出が発生する上にすぐ売れるかどうかは分からないというデメリットがあります。
そこで、売れ残った空き家は不動産会社に買取してもらう方法が有効です。
買取は築年数が古い家屋や事故物件など一般仲介では買い手がつかない物件であっても契約締結することが可能となり、さらにすぐに現金化できるというメリットがあります。
このことからも売れ残った空き家の処分で困っている人は、なるべく早くに買取業者へ相談することがポイントといえます。