所在が分からない共有者の持分を取得したい場合と、その持分も含めて第三者へ売りたい場合には、それぞれ裁判所の制度があります。自分の持分だけの売却とは異なるため、誰の持分をどうしたいのかを先に整理します。
内容確認・更新:2026年10月16日
持分取得と、持分譲渡の権限付与の違い
| 制度 | 目的 | 申立先 |
|---|---|---|
| 所在等不明共有者の持分取得 | 裁判により、不明者の持分を申立てた共有者が取得する | 不動産の所在地を管轄する地方裁判所 |
| 所在等不明共有者の持分譲渡の権限付与 | 不明者以外の共有者全員が持分全部を同じ第三者へ譲渡することを条件に、不明者の持分も譲渡できる権限を得る | 不動産の所在地を管轄する地方裁判所 |
2023年4月1日施行の民法改正で設けられた制度です。家庭裁判所が特別代理人を選べば一括売却できる、という仕組みではありません。
返答がないだけで、所在不明者として扱えるわけではない
共有者が誰か分からない、または所在を知ることができない場合が対象です。住所や居所を把握している人が売却に反対している場合や、返事をしないだけの場合と区別します。
申立てに向けては、登記、戸籍・住民票等の調査結果、連絡を試みた経過などを整理します。必要な調査や資料は、申立先の案内に沿って確認します。
未分割の相続持分には、相続開始から10年の条件がある
対象となる不明者の持分が、共同相続人間で遺産分割をすべき相続財産に属する場合、相続開始から10年を経過していないと、これらの裁判はできません。
相続した持分がすべて一律に10年間扱えないわけではありません。単独相続なのか、遺産分割がすでに終わっているのかなど、対象持分の取得経緯を確認します。
裁判の決定だけでなく、供託と登記まで見通す
- 1 / 4調査・申立て所在の調査と持分・価格資料を提出
- 2 / 4審理・公告裁判所が要件や異議の有無を確認
- 3 / 4供託裁判所が定めた金額を供託
- 4 / 4裁判の確定・登記効力発生後、取得者が移転登記を進める
不明者の持分を無償で取得する制度ではありません。持分取得では時価相当額を基礎に供託金額が定められます。譲渡の権限付与でも、供託や、権限を得た後の譲渡期限に注意が必要です。
不在者財産管理人の制度とは区別する
不在者財産管理人は、不在者の財産を管理するため家庭裁判所が選任する別の制度です。不動産の売却や遺産分割など、通常の管理権限を超える行為には、原則として家庭裁判所の権限外行為許可が必要です。
一方、自分の共有持分だけを売る場合は、原則として他の共有者の同意は不要です。不明者の持分を扱う裁判制度を利用しないと、自分の持分も売れないわけではありません。
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