「親名義の不動産を放置したまま、高齢になってしまった」「いずれ相続することはわかっているけれど、どう手をつければいいのかわからない」――こうした状況は、家族で共有している物件や田舎の実家などでよく見受けられます。実は、高齢の親が所有している不動産を長く放置すると、相続税対策や資産有効活用の機会を大きく損ねるリスクがあります。本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士が、高齢の親名義の「訳あり物件」を早めに売却・整理しておくことで相続争いと税務リスクを回避する具体的テクニックを解説します。
高齢の親名義で放置するリスク
両親が元気なうちは問題ないと思いがちですが、以下のリスクが潜んでいます。
1. 遺言書や所有権が曖昧で相続争いが発生
親が突然認知症になったり亡くなったりすると、強い意思表示ができないまま相続が始まるため、兄弟姉妹で共有になった物件をめぐる紛争が深刻化しがちです。遺言書がないと意見調整に時間とコストがかかります。
2. 土地建物の老朽化やトラブルで価値下落
長年放置している間に雨漏りや境界問題、違法建築などのリスクが積み重なり、不動産価値が大幅に下がる恐れがあります。資産を売りたいと思っても、後になって修繕費や測量費が膨らむケースも多いです。
3. 登記義務化による過料リスク
相続登記が義務化される流れのなかで、名義変更を怠ると過料が科される可能性が高まっています。親が亡くなってから焦って登記手続きや相続税申告をしようとしても、スムーズにいかないことが多いでしょう。
相続と税務リスクを最小限に抑える方法
親が高齢のうちに動き出し、名義を整理しておけば、相続争いや多額の税負担を回避できる可能性が高まります。以下、具体的な対策を見てみましょう。
1. 生前贈与や遺言書の準備
親が健在のうちに生前贈与を利用して名義変更を行ったり、公正証書遺言を作成してもらうのが理想的です。法定相続分に配慮しつつ、誰がその不動産を相続するのか明確化することで、共有を避けてトラブルも防げます。ただし、贈与税や遺留分の問題があるので、弁護士や税理士と相談しながら進めるのが得策です。
2. 不動産鑑定士による評価で節税戦略を立案
高齢の親名義の物件が「雨漏り」「老朽化」など訳あり要素を抱えているなら、不動産鑑定士が評価額の減額要因をしっかり反映してくれる可能性があります。これによって相続税評価が下がり、節税できるケースも十分考えられます。
3. 売却タイミングを選ぶ
売るなら親が健在のうちが交渉しやすい場合が多いです。認知症などで判断能力が失われると、成年後見制度を利用せざるを得なくなり、手続きや承認が煩雑化します。市場の好況や立地も考慮しながらベストな売却時期を検討しましょう。
“訳あり物件”売却テクニック
親が高齢で放置していた物件が実は“訳あり”だった――そんな場合でも、売り方を工夫すれば意外な高値で取引できることがあります。
1. 問題点を先に解消or開示
雨漏りや境界不明、耐震不足などは、売却前に適度な修繕や測量を行ったり、買い手に明確に告知することで交渉がスムーズになります。隠しておくと瑕疵担保責任を問われたり、後から値引き要求を受けるリスクが高まります。
2. 投資家向けにアピール
老朽化や再建築不可物件でも、投資家はリノベーションや建替えの余地を考えて興味を持つケースがあります。複数の不動産会社に声をかけ、投資家への広い告知を行うと買い手が見つかりやすくなります。
3. 弁護士やコンサルタントとの連携
もし親が契約手続きに不安を感じているなら、弁護士や不動産コンサルタントを交えて売買契約や立退き交渉(賃貸がある場合)を進めると安心です。書類整備や税務署への説明もスムーズになります。
まとめ
高齢の親名義で「訳あり」の不動産を長期間放置していると、相続争いだけでなく大きな税務リスクや資産価値の下落を招きかねません。以下のポイントを参考に、早めの対策を講じましょう。
- 生前贈与や遺言書で共有状態を回避し、誰が相続するか明確化する
- 不動産鑑定士の評価を取得し、雨漏りや老朽化による減価要因を反映して相続税を軽減
- 売却時期は親が判断能力を持つうちに進めると手続きを円滑に行える
- 譲渡所得税の長期・短期の判定や各種特例(小規模宅地等)で税負担を減らす
- 投資家に訳あり部分をオープンに伝え、複数の不動産会社を通じて売却機会を広げる
大切な親の資産を無駄にしないためにも、早めに情報収集と専門家への相談をスタートしてください。決断を先送りにするほど、相続や税務の問題は増大する可能性があります。
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