高齢化と相続が背景に
全国の別荘地で「プールやテニスコートを使っていないのに管理費を払うのは不公平だ」という訴訟が増えています。所有者の高齢化と相続の広がりが、長期契約の見直しを迫っています。
静岡県伊東市の別荘地「あかざわ恒陽台」で、管理費の支払いを巡る所有者と管理会社の対立が法廷に持ち込まれています。所有者側は「利用していない施設の費用を負担する義務はない」と主張し、管理会社は「契約解除はできない」と反論。訴訟は最高裁にまで持ち込まれる展開となっています。
参照:読売新聞|別荘地の共有プールやテニスコート、「使わないので管理費払う義務ない」…所有者と管理会社で訴訟相次ぐ
◆ 割れる司法判断
1審の静岡地裁沼津支部は「個別請求は可能」として契約解除を認め、所有者側が勝訴。
しかし、東京高裁は「施設ごとに利用料を請求するのは難しい」とし、「管理費を支払う所有者と支払わない所有者が混在するのは不公平」として逆転判決を下しました。現在は最高裁で審理が続いています。
同様の訴訟は栃木県那須塩原市や関西地方の別荘地でも起きており、司法判断が地域や事例によって割れているのが現状です。
◆ 高齢化と相続による構造的問題
総務省の調査によると、全国の「二次的住宅」(別荘など)は約38万戸。所有者の7割以上が60歳以上を占め、1988年の3割から大きく変化しています。
相続をきっかけに別荘を引き継いだ子ども世代は「使わないのに管理費だけ請求される」と困惑するケースも増加。管理契約の内容を理解しないまま承継することが、訴訟多発の背景となっています。
◆ マンションと異なる「意思決定の空白」
マンションの場合は区分所有法に基づき管理組合が設置され、住民全員で多数決を行い契約変更も可能です。
一方、別荘地には所有者全員で意思決定する法的仕組みがなく、管理会社と所有者が個別に争う構図になりがちです。専門家は「所有者が自主的に組織を作り、交渉の場を整える必要がある」と指摘しています。
◆ 株式会社SAの視点から
私たちが扱う共有持分や底地などの「訳あり不動産」と同様に、今回の別荘地問題も「共同で所有する仕組み」と「高齢化・相続」の組み合わせが原因でトラブル化しています。
「契約内容を理解しないまま相続する」ことこそ最大のリスクです。相続の段階で内容を確認し、早めに売却や権利整理を検討することが、将来の負担を減らす唯一の方法といえます。
◆ まとめ
別荘地を巡る管理費訴訟は「利用していない施設の負担をどうするか」という身近な問題であると同時に、高齢化社会と相続時代が突きつける構造的課題です。
司法判断が割れている現状では、所有者自身が主体的に契約内容を確認し、相続や利用方針を早めに家族と話し合うことが不可欠です。放置すれば「資産」ではなく「負動産」として家族に重荷を残すことになります。
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