相続人がいないまま60年以上放置された空き家、行政が「命を守る代執行」に踏み切る
静岡県湖西市で10月20日、相続人不在の特定空き家に対し、ブロック塀や門柱などの撤去作業が「略式代執行」という形で実施されました。倒壊の危険が高く、前の道路が通学路だったことから、市が初の判断に踏み切ったものです。株式会社SAは、相続放置と所有者不明化が全国的に進む中、「安全確保のための行政介入」が今後さらに増えると分析しています。参照：TBS NEWS DIG｜湖西市で“相続人不在”特定空き家を略式代執行。
 

◆ 倒壊寸前、通学路に面した危険空き家

湖西市新所原駅近くの住宅街にある築60年以上の空き家。天井が抜けたガレージ、崩落寸前のブロック塀、鉄筋がむき出しの門柱──そのすぐ前は子どもたちの通学路でした。住民からは「いつ崩れるか分からない」との不安が寄せられ、市が調査を実施。老朽化が著しく、倒壊すれば通行者に危険が及ぶと判断し、門柱と塀の撤去に踏み切りました。“安全確保のための緊急対応”として、湖西市では初の略式代執行となりました。
 

◆ 相続人不在で進まない所有権処理

この建物はもともと法人所有でしたが、会社が消滅し、相続人・管理人ともに不明の状態が続いていました。土地・建物いずれにも登記上の所有者が存在せず、法的な手続きでは撤去が進まない典型例です。「相続登記義務化」が始まっても、既存の“空白不動産”は制度の外に取り残されている現実が浮き彫りになりました。湖西市都市計画課によると、市内ではこの建物を含めて2軒が特定空き家に指定、さらに約340軒が「注意物件」とされています。
 

◆ 略式代執行とは？

略式代執行は、所有者が不明または不在の場合に、行政が緊急的に危険箇所の撤去などを実施できる制度です。法的な手続きによる通常の代執行（勧告→命令→公告）よりも迅速に対応でき、住民の安全確保を最優先に実施されます。今回の費用は約40万円。市は今後、管財人制度などを活用し、費用の回収を検討しています。「誰の土地でもない土地」を、誰が守るのか──その問いに行政が一歩踏み出した事例です。
 

◆ 株式会社SAの視点：相続放置が「防災行政」の負担に

株式会社SAは、共有持分・底地・再建築不可などの「訳あり不動産」を専門に扱う再生企業です。今回の湖西市の代執行は、相続放置・登記放置の末に「所有者不明化」が進んだ典型的ケース。自治体が代わりに撤去費を立て替え、安全を確保する構造は全国で増加傾向にあります。SAでは、こうした課題に対し、①登記整理・権利確認の代行、②相続人不在物件の売却・寄附支援、③老朽不動産の再生・解体提案をワンストップで実施。「行政が動く前に、所有者が動く」──それが最も現実的な防災対策です。
 

◆ まとめ：相続放置の終着点は“社会リスク”

湖西市の事例は、所有者不明土地問題が「個人の資産管理」から「地域の安全問題」へと転化している現状を示しています。今後、全国で同様の代執行が増えることは確実です。株式会社SAは、行政・司法書士・土地家屋調査士と連携し、相続放置や登記未了の物件を整理・再生することで、「放置を未然に防ぐ仕組み」を構築しています。安全と資産を守るのは、手続きの一歩からです。
 

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