「空き家増加」と「住宅取得困難」への同時対応
国土交通省は、都市部を中心に増加が見込まれる高齢者世帯住宅をリフォームし、子育て世帯向け住宅や施設に再生する新たなモデル事業を始めます。放置空き家の抑制と現役世代の住宅取得支援を両立させる狙いです。
 

国土交通省は来年度、都市部やその周辺で増加する空き家対策の一環として「高齢世帯住宅の再生モデル事業」を開始します。具体的には、85歳以上のみが住む住宅や、住み替えや施設入居で空き家になる予定の住宅を対象に、国がリフォーム費用を補助。改装した住宅を市場に流通させ、子育て世帯が購入・活用できるようにします。
参照：読売新聞｜都市部の高齢者住宅、子育て世帯向けに再生…空き家抑制へリフォーム補助
 

総務省によると、放置空き家は2023年に過去最多の385万戸。国交省の推計では、関東1都3県では「85歳以上のみ世帯」の住宅が2023年の約34万戸から2033年には約94万戸へと急増。近畿2府4県でも約21万戸から約58万戸に増える見通しで、都市部を中心に空き家の急増リスクが示されています。
 

◆ モデル事業の仕組み

対象は高度経済成長期（1950～70年代）に整備された住宅地。所有者や購入者が国の補助で内外装のリフォームや水回り修繕を行い、住宅市場を通じて流通させます。再生後は、子育て世帯向け住宅のほか、託児所・子育て支援施設・ワークスペースなど多用途での活用を想定。数年単位での実施後、他地域へ拡大を目指します。
 

◆ 建築費高騰と住宅取得困難

国交省は「建築費高騰により、一般的な子育て世帯が新築住宅を取得しづらい状況が続いている」と説明。再生事業によって空き家の増加抑制と子育て世帯の住環境改善を同時に実現する方針です。来年度概算要求には事業費として数億円が盛り込まれています。
 

◆ 株式会社SAの視点

株式会社SAは、共有持分や再建築不可、底地などの「訳あり不動産」を再生し資産に変える取り組みを行っています。今回の国交省のモデル事業は、「空き家を負担から資産へ変える」という視点と一致しており、都市部の住宅市場における出口戦略の一例です。
老朽住宅や高齢世帯住宅を放置すれば「危険な空き家」になりかねません。制度と民間の実務を組み合わせることで、空き家再生は地域課題解決と次世代支援の両輪となります。
 

◆ まとめ

都市部の空き家は今後10年で爆発的に増えるリスクがあり、リフォーム補助による再生は「抑制」と「活用」を両立させる施策です。子育て世帯にとっても、新築に頼らず安心して暮らせる住環境を得る手段となります。
空き家は放置すれば社会的負担に、活用すれば地域の資源に。制度を活かし、動き出すことが求められています。
 

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