共有名義の不動産を所有していると、「もう自分はこの不動産に関わりたくない」「トラブルを避けるために共有持分を手放したい」という状況が生じることがあります。そんなときに考えられるのが「共有持分の放棄」です。しかし、共有持分を放棄するには具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。本記事では、専門用語をなるべく使わずに、共有持分の放棄方法や注意点、実際の手順などをわかりやすく解説します。
共有持分とは?
共有持分とは、不動産を複数人で所有している場合に「誰が、どのくらいの割合を持っているか」を示す権利の割合のことです。例えば、親子で半分ずつ出資して購入した不動産であれば、親と子それぞれ50%の共有持分を持っているといったイメージです。このように一つの不動産に複数人が名義を持っている場合を共有名義といい、その名義ごとに分割された権利が共有持分です。
共有持分の放棄とは?
共有持分の放棄とは、文字どおり「自分の持っている持分を捨てること」です。不動産の持分を捨てる(権利を放棄する)ことで、その持分部分の権利を失います。放棄する人からすると、不動産に対する権利も責任も手放す形になります。ただし、この放棄が法的にどのような効果を持つか、またどのような手続きが必要かはしっかり理解しておく必要があります。
共有持分の放棄方法の大まかな流れ
共有持分を放棄するには、基本的に以下の流れで進めます。
- 放棄の意志を確認する(共有者間での話し合いなど)
- 法的な手続き(登記手続きなど)の準備をする
- 放棄に必要な書類を作成し、必要に応じて共有者・専門家の承認を得る
- 登記申請をして、名義の変更などを行う
ただ単に「私はもういらない」と口頭で伝えるだけでは法的な効果は生じません。書面や公的な手続きを経て初めて、不動産登記に反映され、正式に共有持分が消滅したり他人へ移転したりします。
共有持分放棄の2つのパターン
共有持分の放棄には大きく2つのパターンがあります。どちらのケースになるかで手続きが異なるので、まずはこの違いを押さえておきましょう。
パターン1:共有持分を他の共有者に譲り渡す
これは「放棄」というより、持分を他の共有者に譲渡(贈与や売買など)するケースです。例えば、自分の持っている30%の持分を他の共有者に無償(贈与)であげる、もしくは売買して買い取ってもらうというイメージです。この場合、贈与税や不動産取得税などの税金が発生する可能性があります。
パターン2:誰にも譲らずに権利を放棄する
もう一つの方法は「共有持分を誰にも渡さずに放棄する」方法です。このときは、放棄した持分がどうなるのかが問題となります。通常、不動産の権利は誰かが所有する必要があるため、法律上は「他の共有者に当然移転する」という扱いになります。この場合、他の共有者が放棄した分の持分を無償で取得したとみなされ、贈与税が課される可能性がある点に注意が必要です。
共有持分放棄に必要な書類・手続き
共有持分を放棄するには、登記の専門家である司法書士に依頼して書類を作成し、法務局へ申請するのが一般的です。放棄の内容によっては贈与や売買の扱いとなるため、通常は次のような手続き・書類が必要になります。
1. 放棄合意書(または譲渡契約書)
まず、放棄にあたっては相手方である共有者との間で「放棄する旨」「放棄した持分をどうするか」などをまとめた書面を作成します。譲渡の場合は「売買契約書」や「贈与契約書」という形になることもあります。
2. 印鑑証明書・住民票
不動産の登記手続きでは、放棄する人・譲り受ける人双方の印鑑証明書や住民票が必要になります。登記名義人の本人確認や住所変更の手続きなどに使われます。
3. 登記申請書
法務局に提出する書類です。共有持分放棄により名義に変更が生じる場合は、その旨を正確に記載して申請します。申請書の作成は司法書士に依頼するのが一般的ですが、自分で作成することも可能です。
4. 固定資産税評価証明書など
不動産の評価額を確認するために、市区町村役場で取得する「固定資産税評価証明書」が必要となる場合があります。これは、贈与税や不動産取得税が発生するかどうかを算定する際に役立ちます。
共有持分放棄の際にかかる費用・税金
共有持分を放棄する際には、以下のような費用や税金が発生する可能性があります。
登録免許税
法務局での登記手続きには登録免許税がかかります。放棄に伴う登記は「持分移転登記」などの手続きとされ、持分の評価額に基づいて課税されます。
司法書士報酬
登記申請を司法書士に依頼する場合、その報酬が必要です。報酬額は司法書士事務所によって異なりますが、複雑な案件ほど費用は高くなる傾向があります。
贈与税
放棄した持分を他の共有者が「タダでもらった」と判断されると、贈与税の課税対象となる場合があります。これを回避するために、有償(売買契約)として行うケースもありますが、その場合は不動産取得税など他の税金が発生する可能性もあるため、どちらが得策か専門家と相談しながら進める必要があります。
不動産取得税
持分を譲り受けた側が新たに不動産を取得したとみなされるため、不動産取得税がかかる可能性があります。ただし、もともと共有持分を持っていた人に移転する場合には減免措置があるケースもありますので、詳しくは専門家に確認しましょう。
共有持分放棄のメリット・デメリット
共有持分を放棄することで得られるメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリット
- 固定資産税や管理費などの支払い義務から解放される
- 不動産の処分について共有者間のトラブルに巻き込まれなくなる
- 将来的な相続トラブルを回避できる
デメリット
- 不動産の資産価値を放棄することになる(所有権がなくなる)
- 放棄による贈与税や費用が発生する場合がある
- 一度放棄すると、後から「やっぱり返して」は基本的に不可能
共有持分放棄の注意点
共有持分を放棄することで、共有不動産に対する一切の権利を失うため、「すぐにでも手放したい」と考える方も少なくありません。しかし、以下の点には十分に注意が必要です。
1. 共有者間のトラブル回避策として話し合いが必要
放棄の意思がある場合は、まず他の共有者との間でしっかりと話し合うことが大切です。放棄によって他の共有者が思わぬ税負担を抱える可能性もありますし、手続き上の混乱を防ぐためにも、互いに合意を得ることが重要です。
2. 税負担をシミュレーションしておく
贈与税や不動産取得税などの税負担がどの程度になるかを事前に確認しておくことは非常に大切です。放棄するといっても、結果として税金が高額になるケースもあるため、専門家に相談してシミュレーションを行いましょう。
3. 放棄だけで解決できない場合がある
共有者が複数いて、そのうち一部の人だけが放棄しても、他の共有者同士で意見が合わないと不動産の処分や利活用の問題が解決しない場合もあります。放棄が最善策かどうか、売却や共有物分割請求など他の方法も検討してみることが重要です。
実際の手続き例
ここでは、共有者A・B・Cが均等に持分を所有している物件で、Aが共有持分を放棄するケースを例に具体的な流れを示します。
- AがB・Cに「持分を放棄したい」と打診し、B・Cも受け入れる
- 司法書士に依頼して、放棄に関する書類(贈与契約書等)を作成
- A、B、Cが書類に署名捺印し、印鑑証明書などを用意
- 司法書士が法務局に登記申請
- BとCの持分が上がり、Aの持分は抹消される
- 税金(贈与税など)を申告・支払い(必要に応じて)
このように、放棄をすると自動的に登記が変わるわけではなく、手続きの流れがしっかり定まっていることがわかります。なお、税金や費用面の検討、また書類作成の正確さが求められるので、自力でやるにはハードルが高い場合が多いです。専門家を間に入れて、スムーズかつ安全に進めることをおすすめします。
まとめ
共有持分の放棄は「もう不動産に関わりたくない」という場合の有力な選択肢ですが、税金や費用の問題、共有者間の合意形成など、いくつかのハードルがあります。特に、放棄によって他の共有者に新たな税負担が発生する可能性があることは見落としがちです。また、自分の共有持分を放棄する行為は最終的に資産を手放すことでもあるため、本当にそれが最善の選択なのか、売却や持分買取なども含めて比較検討してみることが大切です。
もし、共有名義の不動産でトラブルや手続きの複雑さにお悩みなら、早めに専門家へ相談することをおすすめします。司法書士や弁護士、不動産鑑定士など、不動産に精通したプロの力を借りれば、適切な方法や最適な解決策を導き出せる可能性が高まります。
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