不動産投資と聞くと、マンション一棟や区分所有物件などを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、「共有持分」という形で投資を行う手法も存在します。通常の不動産投資とは異なる特徴やリスク・メリットを持つこの共有持分投資ですが、果たして本当に稼げるのでしょうか?
本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の視点から共有持分投資の基礎知識やリスク、収益化のポイントなどを初心者にもわかりやすく解説します。専門用語はできるだけ噛み砕きながら、検索上位を意識した構成でまとめています。不動産投資の新たな選択肢として、ぜひ最後までお読みください。
不動産の共有持分投資とは?
不動産を複数の人で所有している状況を「共有」と呼びます。そして、一人ひとりが持っている権利の割合を「共有持分」といいます。共有持分投資とは、この「共有持分」を購入・保有して投資利益を狙う方法です。
たとえば、ある土地や建物が「Aさん50%、Bさん30%、Cさん20%」の共有名義になっていたとします。このとき、Aさんが持っている50%の権利だけを買い取ることが可能で、その権利部分を保有する行為が共有持分投資になります。通常の不動産投資が「物件まるごとを買う」イメージなのに対し、共有持分投資は「あくまで一部の権利を買う」という点が大きな違いです。
共有持分投資で稼ぐ仕組み
共有持分を持っているだけでは、すぐに家賃収入が得られるわけではありません。なぜなら、共有状態にある不動産を賃貸に出したり、建て替えたり、売却したりするには共有者全員の合意が必要になるためです。
しかし、投資家の視点から見ると、以下のような手段で利益を得る可能性があります。
1. 他の共有者が持分を買い取ってくれる
自分が保有している共有持分を、同じ不動産の他の共有者が高値で買い取ってくれるケースがあります。なぜなら、共有状態だと不動産を自由に活用しづらいため、他の共有者が「全体を単独所有にして活用したい」と考えれば、投資家の持分を買い取って共有状態を解消したいと思うことがあるからです。
2. 第三者に共有持分を転売する
他の共有者ではなく、外部の投資家や不動産会社に共有持分を売却して利益を得る方法もあります。もちろん、共有持分のみを購入したい人は限られますが、特定の事情(隣接地との一体開発、将来的な土地活用など)を狙う投資家に売れる場合もあり、差益を得ることが期待できます。
3. 共有者全員で物件を売却して分配
共有者全員が「物件を売却して現金化しよう」という合意をすれば、不動産をまるごと売却できるので、通常の不動産取引と同様に売却益を共有者の持分割合に応じて分配できます。物件の査定が高く出れば、共有持分投資のリターンとしてまとまった利益を得ることも可能です。
共有持分投資のメリット
共有持分投資がどのように収益化するのかを理解したうえで、次に考えたいのは具体的なメリットです。通常の不動産投資とは異なるメリットがいくつか存在します。
1. 初期投資額が比較的低い
共有持分だけを買う場合、物件全体を購入するよりも投資額を抑えられる可能性があります。高額な不動産をまるごと買うのが難しくても、一部の持分なら手が届く場合があるでしょう。資金力に自信がない方でも、投資の入り口として利用しやすいという面があります。
2. 物件まるごとの投資より価格が割安になりやすい
一般的に、「共有持分だけ」を欲しがる買い手は少ないため、市場価格としては割安で買えることが多いです。つまり、まるごと一棟の不動産よりも低い単価で購入できるチャンスがあります。
後に、他の共有者や第三者が買い取りを希望した時に適正価格ややや高めの価格で売れれば、投資としての利益を得やすいと考えられます。
3. 珍しい投資ジャンルで競合が少ない
共有持分投資はまだまだマイナーな手法です。そのため、ノウハウや情報が一般の不動産投資より限られていますが、一方でライバルが少ないとも言えます。ユニークな不動産投資を探している人や、ニッチ市場で利益を狙いたい人にとっては魅力的かもしれません。
共有持分投資のデメリット・リスク
一方、共有持分投資には独特のリスクが存在します。事前にデメリットを十分に把握しておかないと、思わぬトラブルや損失が発生する可能性があります。
1. 利用・管理に制限が多い
自分が所有しているのはあくまで「不動産全体の一部分の権利」であり、単独で「この土地を貸したい」「建物を壊して新築したい」といったことを勝手に決めることはできません。
また、賃貸に出して家賃収入を得る場合も、他の共有者の合意が必要です。思い通りに活用できないという点は大きなハードルとなります。
2. 共有者との関係がトラブルに発展しやすい
共有者間で意見が対立すると、不動産をめぐる意思決定が遅れたり、管理費や修繕費の負担割合で揉めたりすることがあります。特に、共有者の誰かが行方不明だったり意思疎通が取れない場合、売却や賃貸への活用がストップしてしまうリスクがあります。
3. 流動性が低く売却しづらい
共有持分を欲しがる買い手は限られているため、通常の不動産以上に流動性が低いのが現状です。急に資金が必要になっても、すぐに共有持分を売却できるとは限りません。
また、売りたいタイミングで他の共有者が合意してくれない場合や、周辺環境が悪化して不動産価値が下がる場合など、リスクは多岐にわたります。
共有持分投資で稼ぐためのポイント
共有持分投資で成功するには、以下のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。
1. 他の共有者との関係を把握する
投資対象となる不動産の他の共有者がどういう意図で物件を保有しているのか、売却意欲や活用意欲があるのかなどを事前に調査しましょう。
共有者が財政的に困っている場合や、早く現金化したいと考えている場合は、あなたの持分の買い取りを希望する可能性が高くなります。一方、全く売る気がない共有者が多い場合は収益化が難しくなるでしょう。
2. 価格交渉と相場調査を徹底する
共有持分の売買は市場での取引事例が少ないため、価格が不透明になりがちです。
そのため、複数の専門家や不動産会社に相談し、適正価格や近隣エリアの取引事例をよく調べましょう。安く買い叩かれてしまったり、逆に高値で買ってしまうと、後々の利益確保が難しくなります。
3. 不動産の将来性を見極める
共有持分投資も、結局は不動産の将来的な価値が鍵を握ります。再開発が見込まれるエリアや利便性が高まる地域など、将来性のある立地を選ぶと、物件全体の価値上昇が期待できます。
将来的に全体売却の合意が得られたり、他の共有者が買い取りを希望したときにより高い価格で売れる可能性が高まります。
4. 専門家のサポートを活用する
共有持分投資は法的な手続きや管理が複雑です。投資判断や契約書の内容確認、将来的な出口戦略の設計などは、不動産鑑定士・弁護士・司法書士などの専門家のアドバイスを受けることでリスクを下げやすくなります。
また、共有持分買取を専門とする業者も存在するため、必要に応じて連携するとスムーズに売却できる可能性が広がります。
共有持分投資とその他の不動産投資の比較
共有持分投資は、通常の不動産投資やREIT(不動産投資信託)などとどのように違うのでしょうか。簡単に比較してみましょう。
1. 通常の不動産投資(単独所有)
- メリット:活用自由度が高い、賃貸収入を独占できる
- デメリット:物件価格が高額になりやすい、初期投資のハードルが高い
単独所有だと意思決定がスピーディーですが、多額の資金が必要になります。
2. REIT(不動産投資信託)
- メリット:少額から投資可能、流動性が高い(株式のように売買できる)
- デメリット:運用先を自分で選べない、価格変動リスクが高い
REITは証券市場で売買されるため現金化が容易ですが、自分で不動産を選んでコントロールする楽しみは少ないかもしれません。
3. 共有持分投資
- メリット:初期資金が少なく済む可能性、割安価格で購入できることがある
- デメリット:流動性が低い、共有者との調整が必要、管理・活用に制限
共有持分投資は一種のニッチ戦略と言えます。専門知識や交渉力があれば大きなリターンが狙える一方、トラブルリスクも高い点は留意が必要です。
共有持分投資を始める前に確認すべきこと
最後に、共有持分投資を検討する際にチェックしておきたいポイントをまとめます。
1. 共有者の属性・意向
すでに共有している人たちがどんな状況にあるのか、売却意欲はあるのか、相続や資金需要などの背景を調査します。共有者が多いほど、意思決定が複雑になります。
2. 法的リスク・契約条件
共有持分の売買契約では、「何分の何を取得するのか」「他の共有者に優先交渉権はないのか」などを明確にしておきましょう。曖昧なままだと後々トラブルに発展しやすいです。
3. 投資期間・出口戦略
短期での転売を狙うのか、中長期で保有し全体売却を待つのかなど、事前に方針を定めておくと判断がブレにくくなります。出口戦略が不明確だと、なかなか資金を回収できない可能性があります。
4. 資金計画とリスク管理
共有持分を購入する際の資金や、保有中の固定資産税などの経費をどのように賄うかも重要です。また、突然の出費や共有者との紛争に備えたリスク管理も必要です。
まとめ
共有持分投資は、一般的な不動産投資とは異なる性質を持ち、上手に活用すれば割安価格で取得して高い利回りを得る可能性があります。特に、他の共有者が持分を買い取ってくれるケースや、将来的に不動産をまるごと売却するケースでは、まとまった利益を狙えるでしょう。
一方で、自由に活用できない、共有者との折衝が欠かせない、流動性が低いなどのリスクも大きいです。投資を検討する際は、物件の将来性や共有者の意向、法的リスクを十分に調査し、専門家の力を借りながら慎重に進めることが求められます。ニッチな投資手法であるからこそ、正しい知識と戦略が大きな差を生むポイントです。
もし共有持分投資に興味がある方は、最初から大きな金額を投じるのではなく、まずは小口の物件や専門家のコンサルを受けながらスタートするのが安心です。リスクを理解しつつ、ここにしかないチャンスを見極めて、上手に活用してみてください。
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