不動産を相続した場合、その物件が「共有持分(きょうゆうもちぶん)」という形で受け継がれるケースがあります。これは、一つの不動産を複数人で共有している状態のことです。親族などが複数人で相続した結果、1人だけで自由に処分できない状況になってしまうのが特徴といえるでしょう。こうした共有持分を「現金化したい」「売却して整理したい」と考える方も少なくありませんが、単独所有の物件を売るのとは異なる注意点が多々存在します。
本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の視点から、共有持分を相続したあとに仲介会社へ売却依頼を行う際の注意点をわかりやすく解説します。難しい専門用語はできるだけ避け、実務でのポイントを中心にまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。検索上位を目指すためのSEO対策も盛り込んでおりますので、共有持分の売却で悩んでいる方にとって有益な情報が得られるはずです。
共有持分とは?基本的な理解
共有持分とは、一つの不動産に対して複数の所有者がいる状態です。たとえば3人の相続人が平等に土地を相続した場合、各人が3分の1ずつの「共有持分」を持つことになります。単独所有とは異なり、不動産を売却・建て替えなど大きな手続きをするには、共有者全員の合意が必要になるなど制約が多いのが特徴です。
共有持分を売ること自体は法的に可能ですが、「買い手がつきにくい」「価格が低くなりやすい」などの問題点があるため、専門的なサポートが欠かせません。特に、仲介会社へ売却を依頼する場合は、他の共有者の理解や手続きに関する注意点が数多くあります。
共有持分売却の流れ:まずは整理が必要
共有持分を売却する場合、まず全体としてどのような流れになるのかを把握しておきましょう。
1. 不動産の状況を確認する
共有持分の物件がどこにあり、どんな利用状況なのかをしっかり把握することが第一歩です。建物や土地の登記情報、相続手続きの完了状況、他の共有者が実際に住んでいるかどうかなど、基本的なポイントを確認しましょう。
2. 他の共有者との話し合い
理論上、共有者の同意がなくても自分の持分だけを売ることはできます。しかし、買い手が見つからないことも多く、また売却後にトラブルが起こりやすいのも事実です。できれば最初に他の共有者に売却の意思を伝え、「共有状態の解消」「他の共有者による買い取り」の可能性を探るなど、スムーズに進めるための協議を行いましょう。
3. 仲介会社への相談と依頼
共有持分の売却実績がある仲介会社を探し、具体的な売却活動を依頼するステップです。通常の不動産売買に比べて難易度が高いため、仲介会社選びが非常に重要です。実際に過去の事例や得意分野を確認しておきましょう。
4. 売却価格の査定と売り出し
仲介会社がマーケット相場や物件の状況を踏まえて査定を行い、売り出し価格を決定します。単独所有の不動産と比べると、価格設定が低めになる傾向があることは理解しておきましょう。
5. 交渉・契約・引き渡し
実際に買主が見つかったら、売却条件や引き渡し時期などの交渉を行います。共有持分のみの売買契約になるため、通常の売却契約書とは異なる点が多々あります。仲介会社や司法書士など専門家のサポートを受けながら進めましょう。
仲介会社へ依頼する際の注意点
では実際に、仲介会社に共有持分の売却を依頼するにあたって、具体的にどんな点に気をつければよいのでしょうか。ここでは重要なポイントをいくつか紹介します。
1. 共有持分売却の経験があるか確認
すべての不動産会社が共有持分の取引に慣れているわけではありません。通常の売買と比較して、買い手の数が限られるうえ、法的調整や共有者とのコミュニケーションが必要になるため、経験とノウハウが要求されます。
「過去にどれくらい共有持分の売却を手掛けたことがあるのか」をヒアリングし、具体的な成功事例などを提示してもらうのがおすすめです。
2. 売却価格の根拠とディスカウント率
共有持分の査定は、単独所有の不動産と異なり、ディスカウントが大きくなる場合があります。その理由として「買い手が自由に利用しにくい」「他の共有者との合意が必要」などが挙げられます。
仲介会社から提示された査定額については、「どのような根拠で評価が下がっているのか」をしっかり確認しましょう。見積もりの妥当性を検証するために、複数の不動産会社に相談するのも一つの手段です。
3. 媒介契約の種類を理解する
仲介を依頼する際は、不動産会社との間で「媒介契約」を結ぶのが一般的です。媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」などの種類があり、それぞれで売却活動の進め方や依頼者の義務が異なります。共有持分の場合、物件をより広くアピールしたいのか、特定の不動産会社に集中してお願いしたいのかなど、希望に合わせて選択しましょう。
4. 他の共有者への配慮
共有持分だけを外部に売却すると、残りの共有者にとっては知らない第三者が共有者になるリスクが生じます。これが原因で対立が深まるケースも珍しくありません。売却を依頼する際には、他の共有者に知らせるタイミングや方法について、仲介会社と連携しながら慎重に進めることが大切です。
また、共有者全員が同意していれば、一括売却(物件を丸ごと売る)や持分の買い取り交渉など、より有利な条件を探ることも可能となります。
5. 契約書の内容を丁寧にチェック
持分のみを売却する場合、売買契約書の文面も通常とは異なる記載が必要です。物件全体ではなく「○分の1」という形をしっかり明記するだけでなく、共有者が複数いることによるリスクや特約事項なども加筆されることがあります。
後から「そんな話は聞いていなかった!」とならないよう、契約内容は仲介会社と十分に協議し、納得できるまで確認しましょう。
共有持分売却にまつわるよくある質問
ここでは、共有持分の売却依頼を検討している方からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめます。初心者の方がつまずきやすいポイントを整理しておきましょう。
Q1. 他の共有者が買い取ってくれる可能性は?
他の共有者が資金的に余裕がある場合や、相続した土地や建物を単独で管理したい意向がある場合には、買い取ってもらえる可能性があります。買い手探しを始める前に、まず共有者に打診してみるとスムーズな場合が多いです。
Q2. 買い手が見つかるまでにどれくらいの時間がかかる?
共有持分の売買は通常の不動産売買に比べて難易度が高く、買い手が見つかるまでに長い期間がかかることがあります。数カ月~1年程度は見ておいたほうがいいでしょう。早く現金化したい場合は、買取専門業者などを検討する手もありますが、その分価格は安くなる傾向があります。
Q3. 相続登記は済ませておくべき?
売却活動を始める前に、相続登記(名義変更)は必ず済ませておくのがおすすめです。名義が被相続人のままでは売買契約がスムーズに進まず、買い手も不安を抱える可能性が高いからです。法改正により相続登記が義務化される流れもあるため、早めの対応を心がけましょう。
Q4. 住んでいる人がいる場合、退去してもらわないと売れない?
共有物件に誰かが居住しているケースでは、売却条件をどうするかが問題です。通常、買い手は「物件を使用できる状態」で引き渡しを受けたいと思うでしょう。しかし、居住者が立ち退きに合意しない場合、トラブルが発生する可能性があります。
事前に居住者と相談し、賃貸契約の取り扱い(もし賃貸として貸しているなら)や退去の時期などについて合意を得られるかどうかが重要です。
Q5. 共有持分を売ったら固定資産税や管理費用はどうなる?
共有持分を手放せば、基本的にその不動産に対する所有権がなくなりますので、固定資産税や維持費などの負担はなくなります。もちろん、売却によって現金化できる一方、将来的に値上がりする可能性を手放すことにもなるため、総合的な判断が必要です。
トラブル回避のためのアドバイス
共有持分の売却においては、事前の準備と周囲の理解が欠かせません。以下のアドバイスを参考に、スムーズかつ安全な取引を目指しましょう。
1. 他の共有者とのコミュニケーションを大切に
持分の売却は自分だけの問題ではなく、他の共有者の暮らしや財産にも影響を与えます。いきなり売りに出すのではなく、まずは相談や打診を行い、お互いの意見をすり合わせる努力をしましょう。合意が得られれば、一括売却などでより高値を狙える可能性もあります。
2. 信頼できる専門家に相談する
共有持分の売買には、不動産の評価や法律、税金など多方面の知識が必要です。疑問や不安がある場合は、不動産鑑定士・宅地建物取引士・弁護士・税理士など、状況に応じて専門家に早めに相談するのが賢明です。
仲介会社の担当者ともこまめに情報交換を行い、「話が進まない」「価格が折り合わない」という場合は他の選択肢(持分買取業者、共有者への買取提案など)も検討してください。
3. 書面化してルールを明確に
共有持分の売却に際し、口頭のやり取りだけで進めてしまうと後でトラブルになるリスクがあります。重要な決定事項や共有者同士の合意内容は、なるべく書面で残すようにしましょう。契約書や覚書を作成するだけでなく、場合によっては公正証書にしておくことも安心材料となります。
まとめ
共有持分を相続し、それを仲介会社に売却依頼する場合は、通常の不動産売買以上に注意すべき点が多くあります。買い手探しが難航することや、他の共有者との関係性を考慮しなければならないなど、手続きの煩雑さが大きな特徴です。しかし、専門家や信頼できる仲介会社を上手に活用し、十分なコミュニケーションを取ることで、スムーズにトラブルを回避しつつ売却を完了できる可能性も高まります。
まずは、相続手続きや登記の確認を行い、他の共有者との意見交換をしたうえで、不動産会社を複数検討してみるとよいでしょう。売却価格の根拠や媒介契約の種類などをしっかりチェックし、自分に合った売却方法を選ぶことが大切です。もし途中で疑問や不安が生じた際には、気軽に専門家へ相談することをおすすめします。
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