相続によって生まれた「共有名義」は、一見すると公平な財産分割のように思えますが、実際には各共有者の意向やライフスタイルが異なるため、管理や処分の局面でさまざまな問題が生じがちです。特に、兄弟や親族同士で共有名義を続けている不動産は、早めに対策を講じないと想定外のリスクや負担が後々のトラブルに発展することが少なくありません。本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の専門知識をもとに、相続で生まれた共有名義を放置すると具体的にどのようなリスクがあるのか、またそれを解消するための解決策を詳しく解説します。ぜひ最後までご一読いただき、円滑な相続・財産管理に役立ててください。
共有名義はなぜ生まれる?
共有名義が生まれる主な理由は、「相続財産の分割方法」です。親から受け継いだ土地や建物を、相続人が複数いる場合に均等に分けようとすると、結果的に1つの不動産を複数人で所有する形(共有持分)になるケースが多いのです。相続人の数だけ名義が増え、各人が持分比率を持つことで公平性が担保される半面、管理や活用方針を巡っては合意形成が難しくなる傾向があります。
また、単に「不動産を売却せずに相続する」ことを選択してしまい、安易に共有状態が固定化されるケースも少なくありません。こうした共有名義は、一度成立すると、各共有者が能動的に動かない限り解消されないまま長期間放置されることが多いのです。
放置するとどうなる?共有名義が招くリスク
共有名義の不動産をそのままにしておくと、次のようなリスクや問題が浮上してきます。いずれも大きなトラブルにつながる可能性があるため、早めの対処が肝心です。
1. 運用・処分がスムーズに進まない
不動産を売却したい、賃貸経営を始めたい、リフォームしたい――こうした大きな意思決定を行う際には、共有者全員の合意が必要になります。ところが、各共有者の考え方やライフステージが違うと、意見がまとまらずに時間だけが経過するケースが多発します。その結果、資産価値を最大限に生かせないばかりか、固定資産税や維持管理費だけがかさんでしまうという悪循環に陥る可能性があります。
2. 管理費用や税金の負担で揉める
共有名義の不動産には固定資産税が課せられ、補修やリフォーム、管理のための費用もかかります。これらの費用負担をどのように分担するかは、共有者間でしっかりルールを決めておかないと不公平感が生まれ、遅延や未払いが問題化することがあります。特に、遠方に住む共有者が「自分は使わないのに負担だけさせられる」と不満を抱き、関係性が悪化するケースも少なくありません。
3. 相続が重なると共有者が増えすぎる
共有名義の不動産が次の世代へと相続されると、さらに共有者の人数が増えていきます。兄弟姉妹が複数いるうえに、その子供たちまで相続人として加わると、持分が細分化されて意思決定がほとんど不可能に近くなる場合があります。コミュニケーションが取れない共有者が増えるほど、不動産の売却や管理に必要な合意形成は一層難しくなります。
4. 第三者への持分売却リスク
法律上、共有名義人の一人が自分の持分を第三者に売却することは自由に認められています。その結果、まったくの他人が新たな共有者として加わる可能性があり、これがトラブルを助長する原因になることもあります。自分が知らないうちに共有状態が変化していて、後から大きな問題になったという事例も珍しくありません。
専門家が教える解決策:共有名義のまま放置しないために
では、こうしたリスクを避け、資産価値を守りながら円滑な運用を行うためには、具体的にどのような対策が必要なのでしょうか。ここからは、不動産鑑定士・宅地建物取引士の視点から、実践的な解決策をご紹介します。
1. 共有者全員で早めに話し合う
共有名義による問題の多くは、「放置する」ことで深刻化します。相続後のタイミングを逃さず、共有者全員が一堂に会して将来の方向性を話し合うことが重要です。たとえば、以下のようなポイントを整理しましょう。
- 不動産の現状と相場価格
- 活用方法の希望(売却、賃貸、活用保留など)
- 維持管理費や税金の負担割合
- 将来的な相続・譲渡の計画
意思疎通を図ることで、お互いの意向やライフプランを理解し合い、合意形成につなげやすくなります。特に、長期間放置されてきた不動産ほど、共有者の意見がバラバラになっていることが多いので、まずは現状認識を共有するところから始めると良いでしょう。
2. 不動産鑑定士による適正評価を依頼する
共有名義の不動産をめぐる協議で鍵を握るのが、「実際にどれくらいの価値があるか」という点です。個人的な感情や思い入れだけで価格を決めようとすると、交渉が難航しがちです。ここで役立つのが、不動産鑑定士による客観的な評価です。
不動産鑑定士は、市場相場や立地条件、法規制、将来的な需要などを総合的に分析し、正当な評価額を算定します。この評価額をベースにすれば、売却や買取などの具体的な方策を検討しやすくなり、共有者全員が納得しやすい状態を作れます。
3. 共有状態を解消する選択肢を検討
共有名義を放置している原因の多くは、「共有のままでもとりあえず困っていない」という心情です。しかし、前述した通りリスクは年々増大するため、共有状態そのものを解消することが最善策となる場合が多いです。具体的には、以下の方法があります。
- 全体売却:共有者全員が合意し、不動産そのものを売却して得た金銭を持分割合で分割する。
- 持分の買い取り:共有者の一人が他の共有者の持分を買い取り、単独所有に切り替える。
- 共有物分割請求(裁判):話し合いが全くまとまらない場合、裁判所に共有物の分割を請求し、最終的には競売となる可能性もある。
時間と費用が許すのであれば、まずは任意の交渉や調停で円満な解決を目指すことがおすすめです。やむを得ない場合は裁判手続きを選択せざるを得ませんが、競売では市場価格より低い値段で落札されるリスクが高いため、最終手段として位置づけるとよいでしょう。
4. 遺言書や生前贈与による対策
これから相続が発生する場合や、まだ親が存命の場合は、あらかじめ共有状態を避けるための生前対策を講じることができます。たとえば、遺言書で特定の相続人が不動産を単独で相続するよう指定したり、生前贈与で不動産を早めに移転させて共有にならないようにする手段があります。
ただし、相続人全員の納得を得るには公平性が求められるため、不動産の評価額を見極めたうえで、他の財産とのバランスを考慮する必要があります。ここでも不動産鑑定士の評価が大いに役立ち、弁護士や税理士と連携しながら最適な相続プランを設計することが望ましいでしょう。
まとめ
相続がきっかけで生まれた共有名義は、一見すると平等な財産分配のように思えますが、実際には管理や処分の自由度が低下し、次のようなリスクを抱えることになります。
- 不動産の運用・処分がスムーズにいかない
- 管理費・税金の負担を巡るトラブルが生じる
- 共有者が世代を追うごとに増え、合意形成が困難になる
- 一部共有者の持分が第三者に売却されるリスク
こうしたリスクを避けるためには、まずは共有者全員で現状認識を共有し、不動産鑑定士の評価をもとに売却や持分買い取りなどの方策を話し合うことが大切です。状況によっては遺言書や生前贈与を活用し、次世代への相続でさらに問題が複雑化しないようにする対策も検討しましょう。共有名義を放置していると、いずれ大きなトラブルや損失が発生しかねません。早めの行動と専門家との連携が、資産を守るための最善のアプローチとなります。
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