相続で両親の実家を兄弟で共有することになった場合、共有者間で意見が合わず、管理や費用負担をめぐってトラブルに発展してしまうケースは少なくありません。特に、遠方に住んでいる兄弟、実家に住みたい兄弟、できれば売却して現金化したいと考えている兄弟など、ライフスタイルや希望が異なるほど話し合いが難航しがちです。本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の視点から、兄弟で共有した実家をめぐる問題を円満に解決するためのヒントや実例をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしていただき、今後の相続や共有不動産の扱いに役立ててください。
なぜ兄弟で実家を共有するとトラブルが起こりやすい?
実家を相続して兄弟姉妹で共有状態になった場合、以下のような理由でトラブルが発生しやすくなります。
- 利用方法の違い:「実家に住みたい」「売却して現金化したい」「賃貸に出したい」など、兄弟それぞれの意向が異なると対立が起きやすい
- 管理費用・税金負担の不公平感:固定資産税や修繕費などの負担割合をめぐって意見が合わない
- 感情的な問題:生まれ育った思い出の詰まった家に対する愛着や、兄弟間の過去の確執などが合意形成を難しくする
- コミュニケーション不足:遠方に住んでいる兄弟がいる場合、連絡や話し合いがスムーズに進まず、問題が先送りになる
こうした要因が重なると、後になって兄弟同士で一切会話ができなくなるほど関係が悪化することもあります。事前に対策や話し合いのルールを設けることで、トラブルを最小限に抑えることが重要です。
【実例】兄弟3人で相続した実家をめぐるケース
ここでは、実際に起こりうる例として、兄弟3人が実家を共有しているケースを取り上げます。両親が亡くなり、長男・長女・次男の3名が土地と建物を相続し、持分は1/3ずつとします。
1. 長男は「住み続けたい」
長男は実家をそのまま残し、自分が住み続けたいと考えています。ただし、資金的な余裕はあまりなく、家の修繕費や固定資産税を全額負担するのは難しい状況です。また、過去の思い出や両親への思い入れが強いため、売却には強く反対しています。
2. 長女は「売却して現金を得たい」
長女は遠方に住んでおり、実家を利用する予定がありません。相続した持分を活用して子どもの教育資金や自宅ローンの返済に充てたいと考えており、現金化を強く希望しています。
3. 次男は「賃貸運用も検討したい」
次男は現在は別の地域で暮らしていますが、実家を賃貸に出して収益を得る案に興味を持っています。空き家のまま放置するよりは有効活用したいという考えです。ただし、長男が住みたいと言っているため、兄弟全員の合意を得るのが難しいと感じています。
円満解決のためのステップ
このように兄弟3人の意向がバラバラの場合、どのように解決へ導けばよいのでしょうか。以下のステップを踏むことで、話し合いをスムーズに進めやすくなります。
1. 不動産の価値を正確に把握する
まず大切なのは、実家(不動産)の正しい評価額を知ることです。不動産鑑定士や信頼できる不動産会社に査定を依頼し、客観的な根拠に基づいて話し合いを進めましょう。もし売却になった場合の市場価格や、賃貸に出した場合の家賃相場などを把握しておくと、具体的なメリット・デメリットがイメージしやすくなります。
2. 各自の希望・条件を明確化する
長男は住み続けたい、長女は売却して現金化したい、次男は賃貸に出したい――それぞれの意向が異なるなら、まずは全員が納得できる落としどころを探る必要があります。「住み続けたいならどのくらいの費用を負担できるのか」「売却価格の中からいくらを配分してほしいのか」など、数値や条件を明確にしておくと合意形成がしやすくなります。
3. 専門家(弁護士・不動産鑑定士・税理士など)に相談する
兄弟間だけで話し合いをすると、感情的に対立してしまいがちです。そこで、第三者の専門家(弁護士・不動産鑑定士・税理士など)を交えて冷静に議論するのがおすすめです。法律や税務、不動産評価の知識に基づき、公平な視点でアドバイスを受けることで、「共有物分割請求」などのトラブルに発展する前に解決策を見いだせる可能性が高まります。
4. 合意に至らない場合は共有物分割請求も検討
どうしても話し合いがまとまらない場合は、共有物分割請求という手段を考慮しなければならないこともあります。裁判所を通じて強制的に共有状態を解消する手続きですが、時間や費用がかかり、物件が競売にかけられるリスクも伴います。市場価格より低い金額での売却になる可能性が高いため、最終手段として位置づけるのが一般的です。
トラブル回避のための具体的な解決策
上記のステップを踏まえたうえで、実際にどのような解決策を取れるのか、いくつかのパターンを示します。
1. 長男が他の兄弟の持分を買い取る
もし長男が経済的に余裕があれば、他の共有者の持分を買い取って単独所有にするという方法があります。これにより、長女と次男は持分の売却代金として現金を得られ、長男は実家にそのまま住むことが可能です。ただし、買い取り資金の準備や名義変更の諸費用、税金負担などが生じる点に注意が必要です。
2. 全員の合意で売却し、売却益を分配する
長女が強く売却を望み、長男も買い取り資金を用意できない場合は、物件そのものを売却してしまい、売却代金を1/3ずつ分配する方法も考えられます。実家という思い入れが強い建物を手放すことに抵抗がある方もいますが、長期的に費用負担や維持管理を抱え込むよりも合理的な選択肢になる場合があります。
3. 賃貸に出す・部分的にリフォームして活用する
次男のように賃貸運用に興味がある場合は、リフォームや一部改修を施して賃貸物件として運用するのも手段の一つです。家賃収入を持分割合に応じて分配すれば、長男は実家を残せ、長女も一定の現金収入を得られ、次男が賃貸管理のリードを取ればそれぞれのメリットが得られます。ただし、リフォーム費用の負担や管理の責任分担などを明確にしておかないと、後々トラブルになる可能性があるので注意が必要です。
解決のポイントと注意点
兄弟で共有した実家を円満に処理するには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 事前のコミュニケーションが重要:相続前や相続直後の段階で、できるだけ早く話し合いをスタートし、お互いの希望を共有する。
- 客観的なデータを活用する:不動産鑑定士の評価額やリフォーム費用の見積もりなどを基に、感情論ではなく具体的な数字をもとに交渉する。
- 法的・税務面の専門家を活用する:弁護士や税理士、司法書士、不動産鑑定士などが連携してサポートすることで、手続きやトラブルのリスクを最小化できる。
- 柔軟な取り決めを文書化する:誰がどの費用を負担するか、家賃収入をどのように分配するかなど、口約束に留めず覚書や契約書に落とし込む。
- 最終手段は共有物分割請求:どうしても合意に至らない場合は、裁判手続きも視野に入れるが、時間と費用がかかることを念頭におく。
まとめ
兄弟で共有している実家は、「思い入れがある」「経済的な事情が絡む」「相続人が複数いる」などの要因が相まって、意思決定が難しくなりがちです。特に、以下の点に注意して進めれば、円満な解決に近づける可能性が高まります。
- 不動産の適正な評価や賃貸需要を確認し、現実的な数字をベースに話し合いを行う
- 互いの希望を明確にし、専門家の助言を活用しながら交渉を進める
- 買い取りや売却、賃貸運用など複数の選択肢を比較・検討する
- 合意内容を文書化し、費用負担や収益分配のルールを明確にする
いずれにせよ、放置すればするほど管理費や固定資産税だけがかかり、物件の老朽化も進んでしまいます。兄弟同士の関係を崩さず、実家という大切な資産を守るためにも、早めに話し合いと準備を進めておくことが肝心です。
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