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2023年9月19日

アパートの立ち退き交渉の手順と立ち退き料の目安について

 

所有しているアパートが老朽化などで建て替えの必要性が生じた際、入居者との立ち退き交渉が求められます。

退去してほしい時期の1年前~6ヶ月前には、入居者に「立ち退きをしてほしい」旨を告げておきたいところです。

 

ここではアパートの立ち退きの手順と、立ち退き料についてご紹介します。

 

 

アパートの立ち退き交渉の有無は賃貸契約で異なる

アパートの立ち退き交渉の有無は、入居の際に締結した賃貸契約で異なります。

賃貸物件は次のいずれかの契約が締結されるのが一般的です。

 

・定期借家契約

・普通借家契約(一般賃貸契約)

 

  普通借家契約(一般賃貸契約) 定期借家契約
契約 書面が基本ですが、口頭でも成立します 書面のみ有効です

期間満了=契約終了とする旨を契約書と別に作成する必要があります

月額賃料の増減 貸主(所有者)と借主(入居者)の双方で請求ができます 特約による排除も認められています
契約の更新 正当事由が存在しない限りは更新されます 更新はありません

※契約期間満了=契約終了のため

 

アパートの立ち退き交渉が必要となるのは普通借家契約(一般賃貸契約)です。

定期借家契約の場合には、契約期間満了と同時に賃貸契約が終了します。

 

アパートの立ち退き交渉には正当事由が必須である

普通借家契約(一般賃貸契約)で契約したアパートの立ち退き交渉には、正当事由が必須となります。正当事由として認められるものは次の4種類です。

 

・アパートの老朽化

・貸主(オーナー)が住居として使用する

・借主(入居者)の賃料の滞納や規約違反

・立ち退き料の支払い

 

アパートの老朽化

築年数が一定以上のアパートの場合、老朽化による建て替えが正当事由として認められるケースがあります。とはいえ、単に老朽化というだけでは正当事由に当てはまらないのが難しいところです。

 

・耐震性に乏しい

・雨漏りや浸水で生活に支障をきたす

・建物の倒壊の危険がある

 

正当事由とするためには、居住し続けることが借主(入居者)のリスクとなるか?否か?が重視されます。

 

貸主(オーナー)が住居として使用する

貸主(オーナー)および貸主の家族が、住居として使用するパターンも正当事由に含まれやすい傾向があります。たとえば経済的な事情で、新たな賃貸物件との契約が難しい場合です。

 

ほかにも、親御さんの介護や子どもの通学、貸主自身の通院事情なども正当事由として考慮されます。

 

借主(入居者)の賃料の滞納や規約違反

借主(入居者)の賃料の滞納や規約違反も、正当事由として認められます。

 

・賃料の滞納(長期間)

・詐欺などの犯罪行為に部屋を使用

・貸主の許可なく部屋を借主以外の人に貸している

 

立ち退き料の支払い

貸主が借主に対して立ち退き料を支払うことも、正当事由に該当します。

 

アパートの立ち退きの手順

アパートの立ち退きは、次の流れで行われるのが一般的です。

 

・アパートの立ち退きを入居者に告知

・入居者ごとに立ち退きの日程を決めていく

・入居者に立ち退き料の金額を提示する

・入居者の引っ越し(立ち退き)

 

アパートの立ち退きを入居者に告知

まずはアパートの立ち退きを入居者に告知することから始まります。

立ち退きの1年前から6ヶ月前には、書面にて告知をしましょう。

できるだけ余裕を持ったスケジュールで進めていくことが大切です。

 

入居者ごとに立ち退きの日程を決めていく

書面による立ち退きの告知を済ませましたら、入居者ごとに立ち退きの日程を決めていく作業に移ります。

この時点でしっかりと説明し、立ち退きを了承してもらえると、後の展開がスムーズになるのは確かです。

 

入居者に立ち退き料の金額を提示する

続いて、入居者に立ち退き料の具体的な金額を提示します。

立ち退きの日程を決める段階で、大まかな立ち退き料を伝えておくのも良いでしょう。

 

入居者の引っ越し(立ち退き)

すべての入居者の引っ越しが完了した時点で、立ち退き手続きも終了となります。

 

アパートの立ち退き料の目安

アパートの立ち退き料の目安は、賃料の5ヶ月分から6ヶ月分と言われています。

 

賃料 立ち退き料の目安(5ヶ月分) 立ち退き料の目安(6ヶ月分)
50,000円 250,000円 300,000円
60,000円 300,000円 360,000円
70,000円 350,000円 420,000円
80,000円 400,000円 480,000円
90,000円 450,000円 540,000円
100,000円 500,000円 600,000円

 

ただし、法律や条例などで明確に金額が定められているわけではありません。

立ち退き料そのものが支払われない立ち退きも存在します。

 

あくまでも立ち退き料は、立ち退き交渉を優位に進めるための方法のひとつです。

貸主と借主がきちんと立ち退き料について話し合うことが求められます。

 

アパートの立ち退きをスムーズに進めるためのコツ

アパートの立ち退きをスムーズに進めるためのコツとして、以下の2点があげられます。

 

・日程

・丁寧な説明

 

日程

アパートの立ち退き交渉は、早め早めの日程で動いていくことをおすすめします。

立ち退きを完了させたい1年前からスタートできると、トラブルにも対処しやすくなるでしょう。入居者が次の移転先を決めるまでの期間でもあります。

 

丁寧な説明

アパートの立ち退きの理由を丁寧に説明することも大切です。

どちらかと言えば「立ち退き」はネガティブな印象の言葉のため、「はい、そうですか」と受け入れない人もいるかもしれません。

 

円満な退去のためにも、きちんと納得してもらえるような説明が求められます。

 

まとめ

ここまで、アパートの立ち退き交渉の手順と、立ち退き料の目安について紹介してきました。

 

借地借家法では入居者(借主)に対して優位に定められています。

立ち退き交渉でトラブルを招かないためにも、最初の告知や説明が重要です。

決して高圧的にならぬよう、細心の注意を持って交渉に臨むことをおすすめします。

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