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2025年1月21日

不動産鑑定評価とは何か?初心者でもわかる重要性と活用シーンを徹底解説【専門家監修】

不動産を売買・相続・担保設定など、さまざまな場面で関わるときに目にするのが「不動産鑑定評価」という言葉です。不動産鑑定評価は、不動産の適正な価値を公平かつ客観的に示すためのプロセスであり、専門的な知識と豊富な経験を有する「不動産鑑定士」が担当します。しかし、不動産業界に馴染みのない方や、まだ一度も鑑定評価を依頼したことのない方にとっては、その内容や意義、必要性がイメージしづらい部分も多いでしょう。

本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の立場から、「不動産鑑定評価とは何か」を初歩からわかりやすく解説し、その重要性や具体的な活用シーン、鑑定評価が果たす役割について詳しくご紹介します。また、鑑定評価に関連する法的な背景や実務上の流れ、評価の依頼を検討する際のポイントなども総合的にまとめています。不動産の売買や相続、税務、さらには企業の財務戦略など、多方面にわたって大きな影響を与える「不動産鑑定評価」。その基礎から応用まで、ぜひ最後までお読みいただき、不動産に関する判断や意思決定の参考にしてみてください。

不動産鑑定評価の基礎知識

不動産鑑定評価とはそもそも何をするのか

不動産鑑定評価とは、法令に基づき「不動産の経済価値」を客観的かつ公正に算定する行為です。鑑定評価書は、一般的には国や地方公共団体、金融機関、裁判所などの公的機関が「不動産価値の目安」として利用するケースが多く、信頼性・公正性が重視されています。鑑定評価を行う際には、土地や建物の物的要因だけでなく、社会情勢や法律的な制約、市場動向など、多角的な視点から評価を行うのが特徴です。

また、不動産鑑定評価は「不動産鑑定士」という国家資格を持つ専門家のみが公式に行うことができます。宅地建物取引士や不動産コンサルタントなど、他にも不動産に関わる資格はありますが、法令に則った公的な鑑定評価書を作成できるのは不動産鑑定士だけです。この点で、不動産鑑定評価は高い専門性・信頼性を備えたものとして扱われています。

不動産鑑定評価と時価評価の違い

よく「時価評価」と「鑑定評価」が混同されることがあります。時価評価とは、一般的には市場で形成される実勢価格をベースに、不動産会社などが試算する価値です。一方、不動産鑑定評価は、法令に基づく厳格な手続きと根拠を明確に示しつつ、不動産の価値を「適正に」示したものです。もし裁判所など公的な場面で提出が必要な場合や、金融機関に正規の書類として提示したい場合は、不動産鑑定評価書のほうが圧倒的に有効性が高くなります。

不動産鑑定評価が必要となるシーン

売買や相続時の価格算定

不動産を売買する場面では、不動産会社の査定と合わせて「本当に適正な価格なのか」を確認するために鑑定評価を活用することがあります。特に大きな金額が動く不動産取引では、適正価格から大きくかけ離れた取引を避けるためにも、鑑定評価が果たす役割は大きいといえます。

また、相続においては、不動産の評価額をはっきりさせることで、遺産分割をスムーズに行うことができます。相続税の申告に際しても、評価方法に応じて課税額が大きく変わる可能性があるため、相続税対策として鑑定評価を依頼するケースも珍しくありません。

担保設定や融資審査

不動産を担保に融資を受ける際、金融機関は担保価値を厳密にチェックします。一般的には金融機関自身が独自の評価を行う場合も多いですが、場合によっては不動産鑑定評価書の提出を求められることがあります。銀行やノンバンクといった貸し手側が、貸付額を適切に設定するためにも鑑定評価の結果は重要な資料となります。

企業の財務戦略やM&A

企業が不動産を保有している場合、財務戦略上、「保有資産の価値がどの程度なのか」を把握することは欠かせません。決算の際に時価評価を行うケースが増加しており、特に上場企業などは適正な会計処理のために不動産鑑定評価書を活用することがあります。また、M&A(企業の合併・買収)のシーンでも、対象企業が所有する不動産の正確な価値を算定するために鑑定評価が用いられます。

裁判や仲裁手続き

不動産をめぐる紛争が生じた場合、裁判所や仲裁機関では「その不動産の適正価値はどのくらいなのか」を公正に判断する材料が求められます。ここで、不動産鑑定評価書が裁判所に提出されると、客観的な根拠を持つ証拠として重視されるケースが多いです。競売や調停の場面でも、鑑定評価書が重要な役割を果たすことは珍しくありません。

不動産鑑定評価の法的根拠と評価手法

不動産の鑑定評価に関する法律

不動産鑑定評価は「不動産の鑑定評価に関する法律(不動産鑑定評価法)」によって規定されています。ここには、不動産鑑定士が遵守すべき倫理や鑑定評価の原則・手法などが明確に定められており、鑑定評価が社会的な信頼を得られるような仕組みが整備されています。また、国土交通省が策定した「不動産鑑定評価基準」は、不動産鑑定士が実際に評価を行う際の指針となり、不動産鑑定評価の品質向上や統一性を確保する役割を果たしています。

これらの法令や基準によって、鑑定評価書は公的な場面でも根拠をもって説明ができる書面として位置づけられます。鑑定評価書の作成には、関連法規だけでなく税法や建築基準法、都市計画法などさまざまな分野の知識が求められるため、鑑定士が高い専門性をもって評価にあたることが重要です。

鑑定評価の三手法(原価法・取引事例比較法・収益還元法)

不動産鑑定評価を行うにあたり、主に以下の三つの手法が用いられます。これらは不動産鑑定評価基準にもとづく基本的な考え方であり、不動産の性質や利用目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせて総合的に価値を求めるのが一般的です。

  1. 原価法
    土地と建物の再取得原価をベースに、減価修正(経年劣化や耐用年数を考慮)を行って不動産の価格を算定する手法です。特に建物が新しい場合や、特殊用途の建物などで比較事例が少ない場合に用いられることが多いです。
  2. 取引事例比較法
    対象不動産と類似の条件を持つ不動産の取引事例から、需要と供給、立地条件、物件の個別的要因などを比較して価格を導く方法です。市場原理を反映しやすいため、一般的な住宅地や商業地など多数の事例がある地域では、取引事例比較法が重視される傾向にあります。
  3. 収益還元法
    将来的に得られる家賃収入などの収益を割り引いて、不動産の現在価値を算定する手法です。投資用不動産やオフィスビル、商業施設などの収益物件の鑑定評価においては、収益還元法が中心的な役割を果たします。DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)や直接還元法といった具体的な手法があり、対象不動産の収益力やリスクを詳細に検討して価値を算定します。

不動産鑑定士の役割と専門性

国家資格としての不動産鑑定士

不動産鑑定士は国家試験に合格し、さらに実務修習を経て登録を行うことで初めて名乗ることができる資格です。試験科目には、経済学や会計学、建築工学、都市計画、法律(民法・不動産登記法・税法など)といった多岐にわたる知識が求められます。つまり、不動産の価格形成に影響を与えるあらゆる要素を総合的に理解しなければならないという点において、不動産鑑定士の専門性はきわめて高いといえます。

また、不動産鑑定士は鑑定評価の実務だけでなく、不動産コンサルティングや投資分析、事業再生のアドバイザーなど、専門知識を活かして活躍できるフィールドが幅広いのも特徴です。不動産に関わる紛争解決の場などで、公正中立な立場で意見を述べることができるのも、不動産鑑定士の職能の一つです。

不動産鑑定士と宅地建物取引士の違い

不動産取引において重要とされる資格には、不動産鑑定士のほかに「宅地建物取引士」があります。宅地建物取引士は、不動産の売買や賃貸借の仲介・代理業務に欠かせない資格であり、売買契約時の重要事項説明を行う役目を担います。一方、不動産鑑定士はあくまでも「鑑定評価」を行う専門家であり、取引を仲介・代理する立場とは別の役割です。

両者とも不動産に関わる専門家ですが、担う業務内容や目的は異なります。不動産鑑定評価書を作成し、それが取引や税務、裁判などで活用される場合も、実際の売買交渉や契約手続きは宅地建物取引士の業務範囲に含まれます。それぞれが専門性を持って連携し合うことで、不動産に関する問題をより正確かつ公平に解決へ導くことが可能となります。

不動産鑑定評価の流れとポイント

1. 事前相談・依頼内容の確認

まずは、不動産鑑定士との間で「鑑定評価を依頼する目的」「対象不動産の概要」「希望する納期や費用」などを擦り合わせます。目的が売買なのか、相続税対策なのか、あるいは裁判用の証拠なのかによって、鑑定評価書に求められる要件も異なるため、事前のヒアリングが非常に大切です。

2. 現地調査・資料収集

鑑定士は、対象不動産がどのような状況かを正確に把握するため、現地調査を実施します。建物の構造や状態、敷地の形状や接道状況、周辺環境やインフラの整備状況など、多岐にわたるポイントを確認します。また、公図や登記簿謄本、固定資産税評価証明書、都市計画図などの各種資料を収集して法的要因や制限事項をチェックすることも欠かせません。

3. 評価手法の適用と価格の算出

前述した三手法(原価法、取引事例比較法、収益還元法)を対象不動産の特性や活用目的に応じて組み合わせ、最も合理的な価格を導き出します。例えば、単純に売買事例が多い住宅街の場合は取引事例比較法を重視し、投資用マンションであれば収益還元法を重視するなど、状況に応じてメインとなる手法が異なります。これらの結果を総合的に勘案し、不動産の鑑定評価額を最終確定します。

4. 鑑定評価書の作成と説明

算出した鑑定評価額や算定根拠を整理し、法令で定められた形式に沿って「鑑定評価書」を作成します。鑑定評価書には、評価の目的や対象不動産の概要、各種調査の結果、適用した評価手法と具体的な算定根拠などが詳細に記載されます。依頼者が不動産鑑定士から直接説明を受けることで、鑑定評価のプロセスや根拠への理解が深まり、後の意思決定や交渉に役立ちます。

不動産鑑定評価を利用するメリットとリスク

メリット1:公的・客観的な証拠としての活用

不動産鑑定評価は法律に基づく公的な手続きであり、裁判所や行政機関、金融機関などにおいて高い信頼性を誇ります。たとえば相続や離婚などでの財産分与、企業間取引やM&A交渉など、利害関係が複雑な場面ほど、客観的証拠としての鑑定評価書の存在は非常に重要です。

メリット2:取引リスクの軽減

不動産の売買や賃貸借では、高額かつ取引期間が長期にわたるため、正確な価値を把握せずに契約を結ぶと大きなリスクを背負う可能性があります。鑑定評価を受けることで、適正価格から大きく外れた条件で契約してしまうリスクを軽減し、安心して交渉や契約を進めることができます。

メリット3:交渉材料としての有効活用

不動産取引はしばしば価格交渉が発生しますが、その際の根拠が曖昧なままだと折り合いがつきにくくなることもあります。鑑定評価書があれば、双方が納得できる客観的データを用いて交渉を行えるため、合意形成をスムーズに進めやすいメリットがあります。

リスク1:費用と時間がかかる

不動産鑑定評価は高い専門性と手間を要するため、通常の不動産会社による査定よりも費用と時間がかかります。依頼者の事情や目的によっては、鑑定評価を得るまでに時間的な制約があるかもしれません。そのため、本当に必要な場面であるか、費用対効果を考慮したうえで判断することが重要です。

リスク2:鑑定評価額が市場価格と乖離する可能性

不動産鑑定評価は厳密な手法に基づくため、市場での一般的な取引価格と必ずしも完全に一致するわけではありません。不動産鑑定評価では、市場の変動要因を織り込む一方で、法令上の規制や特殊事情をより重視することがあるからです。したがって、鑑定評価額を根拠に売買金額を設定しようとした場合、市場で想定する価格とは乖離が生じる場合もあります。

不動産鑑定評価の費用相場と依頼時の注意点

鑑定評価の費用はどう決まる?

不動産鑑定評価にかかる費用(鑑定報酬)は、一般的に「不動産の規模」や「評価の難易度」「依頼内容の詳細」などによって変動します。例えば、大規模な商業施設や複数の不動産をまとめて評価する場合や、権利関係が複雑な物件(底地・借地など)を評価する場合は、調査や分析により時間を要するため費用が高くなりやすい傾向にあります。

また、裁判や紛争の証拠書類として利用する「裁判鑑定」の場合や、公的機関への提出が目的の評価など、社会的影響が大きいケースほど報酬が高額になることがあります。鑑定評価の費用が気になる場合は、複数の不動産鑑定士や鑑定事務所に見積もりを依頼し、比較検討するのが望ましいでしょう。

依頼先を選ぶ際のポイント

不動産鑑定評価を依頼する際には、以下のようなポイントを確認しながら鑑定士や鑑定事務所を選ぶとよいでしょう。

  • 実績:評価物件と類似の事例をどれだけ経験しているか。
  • 専門分野:投資用不動産に強い、相続関連に詳しいなど、得意分野を持っているか。
  • 料金体系:費用の見積もりが明確か、追加費用の有無など。
  • コミュニケーション:依頼者の意図や目的をしっかり聞き取り、柔軟に対応してくれるか。

鑑定評価は専門家にとっても高度な作業であり、依頼者との密な連携が求められます。疑問点や不安があれば遠慮なく質問し、納得のいく説明をしてくれる鑑定士を選ぶことで、スムーズに評価が進むでしょう。

不動産鑑定評価を知らない方へのアドバイス

まずは目的を明確にしよう

「なぜ不動産鑑定評価が必要なのか」「鑑定評価書をどのように活用したいのか」を明確にすることが最初のステップです。売買価格を適正に把握したいのか、相続税評価の根拠としたいのか、それとも紛争解決のために公的な証拠が必要なのか……目的によって必要となる評価の範囲や切り口は大きく変わります。あらかじめ目的をはっきりさせておくことで、鑑定士への依頼内容も的確になり、費用や期間の面でも効率的に進めることができます。

不動産会社の査定との使い分け

不動産会社が行う「不動産査定」は、売買の仲介や自社での買取を目的としていることが多いです。鑑定評価とは異なり、法令や基準にもとづく厳密な手続きまでは求められない場合もあるため、鑑定評価よりも手軽で低コストですむケースが多いでしょう。ただし、公的に認められる評価額としての強度は、やはり不動産鑑定評価書のほうが遥かに上です。「実際に売却する予定があり、市場感を知りたいだけなのか」「裁判や税務申告に必要なのか」によってどちらを選ぶかを決めるのがおすすめです。

信頼できる専門家との連携を意識する

不動産鑑定評価にとどまらず、実際に売買手続きや相続税申告を行う場合は、宅地建物取引士や税理士、弁護士など、他の専門家との連携が不可欠です。不動産関連の問題は法律、税務、経済など多岐にわたる要素が絡み合うため、ワンストップで対応できる体制を整えている事務所や専門家に依頼するとスムーズに進む可能性が高いです。特に相続問題など、家族間での感情面も絡むケースでは、より慎重に専門家選びをすることが大切です。

鑑定評価後の戦略を考えよう

不動産鑑定評価書を手にしたら、それで終わりというわけではありません。評価額を基に売買価格や賃料設定を考える、節税対策を見直す、財産分与の方法を決定するといったように、具体的なアクションを起こすことが次のステップとして待ち受けています。鑑定評価後の戦略や手続きも見据えたうえで、専門家に適切なタイミングで相談すると、より効果的な活用ができるでしょう。

まとめ

不動産鑑定評価は、高額かつ多種多様な性質を持つ不動産の「適正価値」を客観的に示すための重要な手段です。公的根拠を持ち、裁判所や行政機関、金融機関などさまざまな場面で信頼される「鑑定評価書」は、不動産取引や相続、企業活動においても大きなメリットをもたらします。とはいえ、費用や時間がかかる側面があるうえ、市場価格との違いが生じる可能性もあるため、鑑定評価の利用価値をしっかり理解したうえで、状況に応じた最適な判断を行うことが大切です。

初めて鑑定評価を依頼する方は、まず目的を明確にし、実績や専門性のある不動産鑑定士や鑑定事務所に相談するとよいでしょう。不動産会社の査定や税理士・弁護士など他の専門家と連携を図りながら、最も合理的かつ公平な価格を把握することで、不動産に関わるリスクを減らし、大きな利益や安心を手に入れることが可能となります。不動産は人生でもとりわけ大きな資産となることが多いため、正しい知識と専門家の力を活用して適切な判断を行うことが、将来のトラブル回避と資産価値の最大化につながるのです。

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